teruyastarはかく語りき

TVゲームを例に組織効率や人間関係を考える記事がメインのようだ。あと雑記。

プログラミングのスピードを上げる方法2


http://d.hatena.ne.jp/teruyastar/20080308/1204965502
↑前の記事からの続き。

脳の予測機能

ほぼ日刊イトイ新聞 - ねむりと記憶。池谷裕二+糸井重里


糸井
池谷さんは音楽がお好きですが、
聴いてるときには、演奏するように
音楽をたどっていったりしませんか?


池谷
ああ。そうです、します。
BGMとして、仕事しながら聴くときは
そうではありませんが、
ちゃんと音楽を聴くときには、
その演奏に参加しています。


糸井
聴くことは、
未知のものが流れ込んでくるというイメージで
どちらかといえば受動的です。


でも、実際に好きで聴いてる音楽って、
主体と客体の転換が行われて、
音楽を追っかけていくようになります。
映画でも、小説でも、
まじりあって経験するように
鑑賞するんじゃないかな、と思うんです。


プログラムとは関係ない話になってきたが
まあ聞いておくれ>>1よ。



カラオケがうまく歌える人ってのは、
その曲をしっかり「予測」して
5秒先の未来をはっきりイメージして捉えてるからうまく歌える。


これが、
「歌うタイミングをはっきり予測イメージできてない」
「自分とオリジナル歌手とのイメージがあわなくてドギマギ」
「今の歌詞をおうのに精一杯で、先の予測が間に合わない」
「つまり緊張して上がっている」
と、うまくうたえない。


うまく歌える人、いやさうまく歌える曲ってのは
歌を完璧に覚えてるので、先の予測が容易。
イメージ先取りで、自分の声で演奏し
なんならちょいとアレンジ効かせたりするw



例えばコンサートがカラオケでも、
観客の知らない新曲はいまいち盛り上がらない。
聞いてる側が「予測」不可能だからだ。


これがみんなの知ってる大ヒット曲だと、
聞いてる側も「予測」がやりやすく、のってきやすい。
が、
予測がガッチリはまるのは、歌ってる人だけで
聞いてる側としたら予測を上回るような意外性が、
5分の中に何度かあったらベスト。
ところどころに曲無視でオリジナルより強い感情を入れたりとかw


池谷
予測を働かせて聴くときには、たしかに
次にこうなるだろう、こうなるだろうと
中に入り込んでいますね。


これは、聴いている人だけじゃなくて
演奏する人もそうです。
例えば、バイオリンの人は、
指揮者が手を上げたときに
弓を動かしはじめるのでは、遅いわけです。
指揮者が手を動かすだろうということを
予測して用意する。


「予測」は脳が得意とする、あるいは
必要とするプロセスです。
ひとつだけ、脳の機能をアップできるとしたら、
僕は「予測」を選びます。


脳は、いろんなことをやっています。
でも、そういういろいろなことは
突き詰めると、予測のためにやっている、
と言ってもいいぐらいです。

「期待予測」を上回るかどうか


予測が脳のプロセスとしたら
ちょうど予測通りいくというのは「シナプスの強化」にあたる。


これがうまくいくと当然その回路は強くなり
その系統の情報伝達が太く、賢くなる。


さらに!
上で言った「意外性」。
ときに曲を無視するかのような感情を込めた言葉。
これは「新しいシナプスの形成」を引き起こす。


この場合、強化されかかってたシナプスへの新しい刺激でもあるから気持ちいい。
意外性もやりすぎると、、
つまりあまりにオリジナルから関係ないような
つながりが見あたらないような意外性は
予測してたシナプスへの刺激ではないので面白くない。


この予測。
そのまま会話、ドラマ、お笑いなどにも当てはまる。
(じゃあ、このブログでも期待予測を上回ってみろとかいうハードル上げはなしの方向で、、)


期待予測以下の歌、
出だしは期待予測以上でも、そこから意外性のない歌。
そういうのは聞いても飽きられる。
もちろんみんなが知ってる曲ほど、期待予測に近づけやすい。

池谷


例えば明るい音楽を聴いていても、
そこに自分の感情が入っていないとき、つまり
予測する気も起こってないときは、
むしろ不快になりますね。
好きな音楽でもそうなります。
そういうときには聴かない。


好きな音楽でも、自分のメンタリティと一致しないときは
別のシナプスが強く、それに関連する情報を刺激する方が
当然気持ちいい。

糸井


人との会話なんかでも、
相手の聞き方や出した答えが
予測と違ったときに、
コミュニケーションが壊れますよね。


池谷


はい。ただ、会話の場合は、あまりにも
予測が当たりすぎてしまうのも、
どうでしょうかね。


糸井

たしかに、A、B、C、D、Eと
順番にしゃべるような話をされているときは
ちょっと腹が立ちますね。
ABCDEイロハとか言ってくれると、
いいです(笑)。


池谷


きっと夢の中のFの役割のように、会話では
相手が完全に予測したとおりに
動いちゃダメなんですね。
予測を壊してあげるコミュニケーションも
エンターテイメントです。


糸井

おもしろい言葉が
価値を持っているのは、
そこのあたりですよね。
自分の予測を刺激してくれるもの。


池谷

しかも、壊しすぎるんじゃない。
絶妙の塩梅で。

で、話をプログラム時の「スピードに乗ったフロー状態への移行、維持」とは?
に戻すと


しいていえば、

世の中は予測通りに動く


ここでは他人が引き起こす「意外性」は無視するとして、
自分が予測する未来、自分が意識的に起こす意外性の範囲で
予測通りになる。


でも未来は天気予報のようなもの。
バタフライエフェクトしまくり。
そんな未来誰も予測し得ない。
いや、大企業のボスなら携帯や、インターネットがこうなっていくとか
とんでもない先見の明で予測し得たりするが、
そういう人たちの話もひとまず置いておく。
(業界俯瞰、世界情勢俯瞰、お金の流れ、そしてその当事者予測という情報を持ち得てるので、
一般的には当てはまらない)


ただ、5年、10年先の予測は無理でも
5秒、10分先の予測は可能だ。
そして、みんなその予測通りになっているはず。


何を当たり前のことを??
10分先のつまらない予測が実現したからってどうしたっていうんだ??


そうじゃない。
つまらない予測。
それは、期待予測を下回ってるということだ。
人生というシナプス「強化」にも「意外性」にもなってない。
人生をうまく歌えてないのだよ。


誰でも10分先の期待予測を上回ることができる。


10分先に何も求めないのであれば、期待予測以下の人生。
それが予測通り実現されてしまう。


10分先を予測以上に求めて、
かつ自分なりのアレンジで意外性をもたせたら
それは自分で音楽を演奏してるのと同じ。
はじめて人生のステージに立てる。
みんなが注目してくれる。


ほんのちょっとした未来のイメージは誰でも支配できる。
演奏することができる。
望んだとおりの未来になる。

たかだか10分先の未来を実現しても大局で何か変わる訳じゃないから無駄だよ


というなら、それはそれで望み通りの期待を得れてるから良いのだ。
「どうせおれなんて期待予測以下の人間ですから」
という望みだって期待通りの自己実現に他ならない。


もっともっと大きな予測は


これが1年や1ヶ月、いやさ1日先の予測でも、
バタフライエフェクトが入り込みすぎなので
とても詳細な予測は不可能かもしれない。
(1日ぐらいは把握できるかな?人と環境によるか)


この場合、邪魔が入ってもそれに無理にあらがおうとせず
予測イメージだけ崩さないよう保持してればよい。


長期の予測未来を邪魔されたとき
それにあらがおうとした時点で、
「戦って苦労する自分」が新たに予測される。
そしれその苦労は実現するが、一時的になんとか勝つかもしれないが
これを毎日毎時対応してたら
とても長期予測を維持する体力なんてもちはしない。
ここでみんなが夢をあきらめるのはむしろ当然。


予測途中でバタフライエフェクトが起きたら予測をアップデートする

バタフライに逆らうんじゃなくて、受け流すように力として取り込む。
予定とは違うのだけど、新たに予測の道のりを書き換える。
それを取り込んだ形で書き換える。
大きな予測は常にそうしていく。
最終的な予測に到達するのであれば、道はどこからでもよいと思う。



逆に言えば昨日の記事での完璧なプリプロダクションや、
その環境整備はバタフライエフェクトを最大限押さえるやり方とも言えよう。


もちろん、そんな権限を持ってる人ばかりでもないので、
予測をアップデートするやり方もある。


どっちが正しくて間違ってるとかでもない。
ビジネス的には、納期をきちんとまもる完璧なプリプロダクションを求められるだろうが
それは最短距離で、予測通りにはまることを意味する。



予測をアップデートするのは、バタフライエフェクトの力を取り込むことなので
より大きな期待予測を得られることになる。
それならどっちもありだ。



例に出した「スマブラX」は完璧なプリプロダクションに近い形で
当初から「スネーク」などの参戦も決まっていた。
桜井氏は、最初からキャラクターの全部を決めてしまう方が制作として幸せだと強調している。


しかし。
そこで「ソニック」は例外だった。
「ソニック」だけは2007年になって予定外の参入となっている。
ここで桜井氏が、最初の完璧な予測を曲げずに通してたら「ソニック」はなかっただろうが
そこで予測のアップデートをしたことでさらに賑やかになった。

 桜井氏が提示した講演のテーマはキャラクタデザイン。
スマブラX」は数多くの有名キャラクタが登場するゲームだが、
初期の企画立案の際に登場キャラクタも決めてしまうと言う。
スマブラX」の企画が決定したのが2005年7月7日。
つまり2年半前にはキャラクタが決定していたことになる。


 キャラクタ選定について桜井氏は、
「最初に決めていかないと入るものも入らなくなる。
その代わり、多めに考えていって、随時カットしていく。
ただし、全力で可能な限り詰め込んだつもり」と独自のポリシーを語った。
ちなみに今回はソニックだけは例外で2007年に入ってから決まったという。


 キャラクタ選定の基準については、
キャラが立っていること、
固有の技を持っていること、
開発的に不可能ではないこと、
シリーズ間でバランスを取ることの4点を挙げた。
特に重要視しているのが、


「そのキャラクタにしかできないことは何か」だという。


「最初からコンセプトを明確にすることがゲーム全体を引き締めるポイントになる。
ディレクターはこのキャラクタはこういう方向だということを形容できる必要がある」と、
初期コンセプトデザインの明確化を強調した。


桜井氏は具体例として「スマブラX」の新キャラである
アイク、メタナイトゼロスーツサムス、スネークの4人は、
開発初期段階からキャラクタの方向性を言葉で明確化したという。


大きな予測に達した人たちは口を揃えて言う。


まさかと思うような困難が、あれもこれもたくさん起きたが
最後はそれを素直に受け入れ、乗り越えてきた今を振り返って思うと
実はそれが今ここにこうやって立っている最短の道であった。


もちろん予測以上の期待を手にしてだ。


まとめ


「フロー状態とは、自分の期待予測通り、又は期待予測以上の現在支配を指す」


「5分先の期待予測ぐらいは、ちょっと前向きになるだけで誰でも支配できる」


「1年先の期待予測は、バタフライエフェクトに抵抗せず
 素直に取り込んで力に変える形でその分、予測をアップデートする」


「何が起こるか分からないので、予測は一本道の論理的思考よりも、
 何が起こってもイメージだけの感覚的思考で期待予測を作り替えていく」

「つまり、常に5分先の自分をワクワクのイメージで支配する」
「何が起きても受け入れイメージはそのまま」
「論理的思考をはさむと無数の道が閉ざされる」
「それはイメージを、自分自身を信じること」


フロー状態の発動と維持に関しての別解釈でした。


あとがき


これ書きながら公文式のCMを思い出した。


日本の算数教育はこう

4+8x8=?


ヨーロッパのどこかはこう


?+3/?=8



算数は論理的思考そのもののはずなんだけど、
あきらかに、日本は一本道の解答以外の答えがなく
ヨーロッパのそれは、答えに至る道が無数に存在しえる。
マニュアルに頼らない、世の中のバタフライに臨機応変に対応できるのは。。


日本語や、日本の文化、八百万の神みたいな宗教観
むしろ答えを一つに絞らず
感覚的矛盾をあいまいのまま許容してたところに
複数の答えを全てよしとして、
それによるおおらかな豊かさがあったと思うのだが、
いつからか、論理的も論理的な思考の教育ばかりに僕たちは育てられ
たくさんのひずみが生まれてきたのかもなと思う次第。



そして、話はここで終わらない。
次に、登さんの言う論理的思考の破棄の無茶ぶりを、
無茶ぶりのまま解釈するのに挑戦する。



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