teruyastarはかく語りき

TVゲームを例に組織効率や人間関係を考える記事がメインのようだ。あと雑記。

ホームレスの人を笑える神経

笑えるというのは自分の文化圏内でのパロディだと思うのです。

最近、笑いの規準がわかりません。 : ひろゆき@オープンSNS
http://www.asks.jp/users/hiro/59642.html


さて、酒井素樹さんというホームレスのおじさんが、
替え歌を歌っているわけですが、


「土手で倒れても、
土の匂いのする初老の僕じゃ
誰も助けてはくれない。
やはり、
酒井の命はゴミより軽い」


という歌詞をスタジオでは笑っているのですね。





この人の職業を知っていて、
この歌詞を聴いて、
笑える神経がよくわからないです。


ひな壇でゲラゲラ笑ってる人もそうだし、
それが面白いと思って放映してる
テレビ局の人の感覚もよくわからないのですが、
わからないのはおいらだけなんでしょうか?


世間的には、こういうのって面白いんですかね?


高給取って、その日暮しの人を笑うのって、
悪趣味だと思うんですけどねぇ。。


確かにそこだけみたらそう見えなくもないですが、
それじゃあもう少し巻き戻して観てみましょう。



なんと、歌詞の内容からホームレスと思われた酒井さんは
貧乏?な印刷会社の社長として紹介されてます。


そしてこの人が身を挺して笑いを提供してくれる、
この番組の定番キャラだという前提知識も初見の人に知らせています。
そこまで身を挺してるなら、笑わない方が本人にとってもつらいかもしれません。
キットカット盗んで裸足で逃げる下りなんか、
どうしても、歌詞が前提にあるネタにしか思えません。*1


また、最初の動画のリンクからパフォーマー酒井という紹介もありました。
http://www.youtube.com/watch?v=z33Ny1isL_U


いくらネタでも、やらせでも、そんな自虐芸を笑えるのか?

高給取って、その日暮しの人を笑うのって、
悪趣味だと思うんですけどねぇ。。


どっちかというと、明日は我が身の人の方がまだ笑えると思うんです。
それに近いワーキングプアな人やリストラの恐怖に合うお父さん方とか。


綾小路きみまろを観に行って、
ひたすら自分たちの悪口を言われて笑うおばちゃんたちも
にたようなもんじゃないでしょうか。


自虐かどうかに関係なく、自分の文化圏内での極端なパロディが笑えると思うんです。


だから高給取りの人は自分がホームレスになるとは思わないから、
これは本気でもやらせでも笑えない。
哀れむ対象にしか見えない。


子供に綾小路きみまろライブを見せても全然自分たちに関係ないから面白くないだろうし、
インターネットをしない人に2chネタをいっても全然受けない。
ガンダムを知らない人にシャアのパロディ台詞を言ってもダメだし、
哲学書を読まない人に、カントだゲーテルだの台詞を絡めてもわからない、
北米で大ヒットするようなお笑い映画も、日本ではそこまでヒットしない。


ホームレスを笑える神経があるかどうかというのは、
自分がその生活水準近くで過ごしたことがあるか、
今現在そうなる可能性を否定できない人達の方かもしれません。


これを笑えないというのは、
そういう生活水準を異常とし、徹底的に受け容れられない人ではないでしょうか。
それが悪いということではなく、寧ろ健全なぐらいですが
だからといってそれを笑う文化圏の人を非難することはないと思います。


いや、そういう人はやはり価値観として
どうしても否定しなければいけないかもしれませんが、
あえて公の場で公言したり、とがめたりするのは避けた方がいいというぐらい。


TVの制作スタッフは割と似たような劣悪環境かもしれません。
局長とADでピンキリではあるでしょうが,だからそういう番組が作れるし、
日本人の生活水準が下がる程、
生活水準の低い方に合わせた番組が受けるのかもしれない。


それに、出演者や観客達にも罪はない。
笑いを提供する番組で、笑って盛り上げない方が視聴者への罪になります。



ゲラゲラ笑ってるように見える中で、
浅田美代子?が『も〜いいよ,信じられない』と発言してるあたり
少しでも倫理に配慮しようとする出演者のバランスを感じました。

*1:あと、ゴミより軽い〜の部分は、さすがに編集笑いしかないですし