デザインの極意(2)

デザインの極意(1) - teruyastarはかく語りき
http://d.hatena.ne.jp/teruyastar/20090912/1252703154


前回からの続き。


Appleはニッチ市場を狙って大きくなったのか?

日本の家電メーカーが出す商品はなぜ”もっさい”のか - キャズムを超えろ!
http://d.hatena.ne.jp/wa-ren/20090911/p1



じゃぁなんで阻害されるの?美を追求したらいいじゃないという話になるが、そうはならないのだ。



なぜか。
大手家電メーカーは大変大きな企業体なので、
マスのなかのマスを相手に商売をすることを前提にした組織体系・意思決定機構になっている。
Appleのようにニッチを狙うことに慣れていないのである。
マスを狙うためには価格勝負をしないといけないし、
品質的にもマスクオリティが必要とされる。返品リスクも低減しないといけない。
その他様々な「ド・マスを狙うからこそこうしなければいけない理論」があって、
それは今のところ限りなく正解に近い。
だからこそ大手家電メーカーは高い株価をつけ、
安定した事業を行っている(ようにみえる)わけだ。


じゃぁそれが問題なんだからデザイン優先させましょうよ、
PanasonicSharpで実践したら多分会社がつぶれる。
そういうものを求めているのは(PanaやSharpが見ている市場規模からすると)一部のユーザーだから。
彼らはでかくなりすぎたのだ。



まぁメーカーも賢い人たちが集まった集団なので、
ええかげんAppleに一部市場をボコられ続けて10年ぐらい経てば
ちょっとは何かを見直そうという動きをしてくるはず、
なのだが・・・。


実態としては海外ケータイはすでにNOKIAMotorolaにボコられ終わって
iPhone何それ状態になってるし、
PC市場はDell HPにボコられまくった後に
ASUSACERにまでボコられてもういいや状態になっているだけに、
本丸のテレビやデジカメにやってこられない限りは動きはないかもしれないが。

違う。
これも全く逆。



AppleNOKIAこそ、七割近い「ド・マス」が求めてる使いやすい製品市場を狙い、
その他の会社がプチ玄人達の望むニッチ機能を、
100個付け加えて販売してるのが本当のところだ。



そうすると前回の記事で書いたように、トータルスピードが殺されて
「もっさり」した製品ができあがる。
これでは世界の「ド・マス」に対抗できるわけがない。




ところでこの部分はホントなのだ。

まぁメーカーも賢い人たちが集まった集団なので、

何でそういった賢い人たちが一生懸命仕事して
「ド・マス」を狙えないのだろうか?


製品開発の判断に重要な、「必要なもの」と、「必要でないもの」

大半の賢い人たちが勘違いしてるのがこれだ。
「必要でない物を排除し、必要な物をしっかり作っていけば商品は売れる」
「この判断がとても難しいのだが、、、、」



ごめん。
一つ訂正しよう。
こいつらは馬鹿だ。


でもみんな最初は馬鹿なんだから、
僕と一緒にたくさん間違えて学んでいけばいい。



話を戻して確かビジネス書のベストセラーだった
「7つの習慣」
にこういうマトリクスが出てくる。

7つの習慣―成功には原則があった!
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重要でないことをわけて、
緊急で重要なことはどうしようもないけどなるべく
緊急でなく重要なことに時間を多く使いましょうと。



小学生でもわかる基準だが、こういう考えはたいてい判断を狂わす。
というのもそのときそのときで重要な物や重要でないもの
緊急な物や緊急でないものが入れ替わって
結果、あれもこれも大半の物事が重要な領域を通過して振り回される。
その判断がとても難しいのというのはそういうことだ。



それをこう考えて欲しい。

製品開発の判断は、「必要なもの」と「ホントに必要なもの」だけがある。


必要でないものとか、緊急な物なんて猿でも判断できるので
そもそもそこで悩んだり判断したつもりになることはない。


しかし、やったら価値がある「必要なもの」と
やったらものすごく価値のある「ホントに必要なもの」は
どっちも重要なことなので、ここに予算や期限や技術などの徹底的に制限を設けて
「必要なもの」を切り捨てるべきである。



通常では様々なメンツやプライドや大人の事情があるはずの
価値のある「必要なもの」も
強い制限の中で、
4色しか使えないスプライトで
512kしかないメモリで
メジャーじゃない貧弱なCPUで
50音すら満足に載せられない状況で
「ホントに必要なもの」だけ詰め込んだ宝箱こそ輝きをいちだんと放つ。



これは何も製品開発だけの話ではない。
経営とか人生に置き換えても同じことである。

仕事は、「価値あるもの」と「ホントに価値あるもの」だけがある。
価値のある仕事をしてると、ホントに価値のある仕事が腐ってしまう。

人生は、「価値あること」と「ホントに価値あること」だけがある。
価値のあることをしてると、ホントに価値のあることがみえなくなってしまう。

あるいは

優良が、最良を殺す。

という人もいたような気がする。


この見分け方は仕事に、人生に大きな制限をかけることだ。
例えばスティーブジョブスの伝説の大学スピーチで
こういうことを言っている。

明日死ぬとしたら、私は今日何をするだろうか?


ここまで厳しい制限をかけるかどうかはひとそれぞれだが
ジョブスだったら、ほんとに明日死ぬとしても
今日の仕事を未来につなげるために出社するかもしれない。



ここでしめるとキリが良さそうなんだが
どうしても発言したい故人がいるらしいw



戦後の日本人はそうやってきた

じゃぁそれが問題なんだからデザイン優先させましょうよ、
PanasonicSharpで実践したら多分会社がつぶれる。
そういうものを求めているのは(PanaやSharpが見ている市場規模からすると)
一部のユーザーだから。彼らはでかくなりすぎたのだ。


そのPanasonicの創始者の言葉。

客の好むものも売るな。
客のためになるものを売れ。


松下幸之助

これをきいてもまだPanaはプチ玄人が好むニッチ新機能を付け加え続けるのだろうか?



そしてソニー

ウォークマンの商品化の是非について


社内では


「再生だけしかできない機械が売れるはず無い」


と反対意見が多数だった。
盛田は


「もし3万台売れなかったら、会長を辞める」


といい、商品化に踏み切った。



盛田昭夫


草葉の陰で泣きまくってるね。



この理念を実現してる日本の大手といえば任天堂
ゲームキューブ時代は据え置き期におけるシェアが
世界3番目にまで落ち込み、そんなとき発表された
次世代機レボリューション(のちのWii)は
高解像度HD非対応という発表が。。。。
よりリアルなグラフィックでゼルダなんかをやりたかったゲーマー達は失望しました。

「レボリューション」はHDをサポートせず | インサイド
http://www.inside-games.jp/article/2005/06/14/16518.htm



任天堂がそのように考えるのは不合理です。
それが本当ならば正直に言って、理解できないし失敗だと思います。
全く疑問の余地がありません。
とても刺激的なものを導入しないハードメーカーがあるのは少し悲しいです」

「レボリューション」はHDをサポートせず - Nintendo iNSIDE - わぱのつれづれ日記
http://d.hatena.ne.jp/wapa/20050613/p2


とりあえず、これでレボリューションの目は消えたかな。
少なくとも、HDに対応しないものを「次世代機」とは呼びたくないですね。
インタフェースとかそのあたりで工夫してくると思いますけど、
それはあくまでニンテンドーDSと同じ、「別のベクトルの機種」という感じです。
自分の以前の記事で述べたように、これからの時代はHDが必須でしょう。
HD対応ディスプレイが増える中、いつまでもVGAで遊ばせる、任天堂の気がしれません。
「唯一の未来でない」と言ってますが、そんなのはいいわけ。
HD対応していてもSD出力は当然できます。
だから、それを理由にHD対応しないなんて、単なる怠慢ですね。



レボリューションのHD非サポート、考え直して欲しいと呼びかけ - QUITER - わぱのつれづれ日記
http://d.hatena.ne.jp/wapa/20050615/p1


もちろんWiiの結果は周知の通り。*1

任天堂 宮本茂氏が本音の本音でゲームデザインを語る。海外誌インタビュー - Game*Spark
http://gs.inside-games.jp/news/121/12148.html


私のゲームデザインについて一つ言えることは、ユーザーが望んでいるものを見つけて、それに合わせたゲームをデザインしようとしたことはこれまで一度もありません。



私はゲームを誰かにプレイしてもらうとき、意見を聞いたり、アンケートを取ったりしません。ただ、ゲームをプレイする彼らの目や表情を観察するだけです。彼らは笑っていますか?あるいは苛立っていますか?これは全くもって科学的な方法ではありませんが、そのように私は自分のゲームをテストするのです。

Apple

スティーヴ・ジョブスが何人かのインディペンデントレコードレーベルの人に
iTunes Music Storeのちょっとしたプレゼンを行いました。
その日の私のお気に入りの台詞は、彼らが手を上げて「それはxはできるの?」、
「あなたはyを追加する予定ですか?」と尋ねたときのことです。


最後にジョブスは言いました、「待ってくれ、待ってくれ - 手を下ろしてくれ。
いいかい。君たちがiTunesに入れることができる1000ものクールなアイディアがあるのは分かっている。
もちろん僕たちもだ。
でも、僕たちには1000のアイディアはいらない。
それはみっともないよ。
イノベーションは全てのことに対してイエスと言うことじゃない。
それは最も重大な機能を除いて、全てにノーと言うことだよ。



スティーブ・ジョブス, CEO,

Google

Google 会社情報: Google の理念
http://www.google.co.jp/intl/ja/corporate/tenthings.htm


2. 1 つのことを極めて本当にうまくやるのが一番。


Google は検索を行う会社です。
検索問題を解決することだけに焦点を置いた世界最大の研究グループの 1 つを有する Google は、
自分たちにできることが何か、それをもっとうまくやるにはどうすればいいかを知っています。
他の会社で障害となるような複雑な問題も反復に反復を重ねて解決し、
ウェブ上で最高と言われるサービスをそれ以上のものにすべく、
何百万というユーザーが情報をすばやくシームレスに検索できるよう、
絶え間ない改善を行ってきました。
検索分野で培った技術は、GmailGoogle デスクトップ、Google Maps などの
新しいサービスにも応用されています。
検索技術と同様に新しいサービスの開発に力を注ぎ、
他の分野でも検索技術を活用することで、
ユーザーが生活のあらゆる面においてさまざまな情報にアクセスして
利用できるよう努力を続けています。



3. 遅いより速い方がいい。


Google は、"今すぐの喜び" を信じています。
答えを求めるユーザーは、答えが今すぐ手に入ることを望んでいます。
これは明らかな事実です。
ユーザーが一刻も早くウェブサイトを離れることを目標に掲げている会社は、
世界広しといえ Google 以外にはないでしょう。


Google は、Google のサイトのページから余計なビットやバイトを残らず削ぎ落とすこと、
そしてサーバー環境の効率を向上させることに全力を傾け、
自己の持つスピード記録を何度も塗り替えています。
他の会社が大量のデータを処理するには大規模サーバーが最も速いと決めつけている一方、
Google は、PC のネットワークを利用した方が高速であることに気付きました。


他の会社が検索アルゴリズムに起因するスピードの限界を容認する一方、
Google は、新しいアルゴリズムを記述して限界がないことを証明しました。
そして Google は、さらなるスピード アップを目指して努力を続けています。

ちょっと待ってくれ。もう充分な高速化はなされてる。これ以上のスピードには意味がない。有り余るパワーを多機能に割り振るのがそんなに悪いことかい? 大半の人はたくさんの選択肢から必要な物だけ使えばいいだろう?


ノー。


最初にいったように、多機能は毎回選択をする必要がある。
これは無意識レベルでの話だ。
仮によく使う機能だけ選択肢が上に上がってくるデザインだとしても
無意識で無視という選択の負荷を抱えることになる。


それが何を意味するか。
あいまいな口に出てくるのは
「なんとなください」
「なんとなくつかれる」
実際にわずかな心理的負荷がかかってるからその通りだ。
多機能とはそれだけで散らかってる部屋のようなものだ。


感覚的に受け入れられないデザインというのは
そういうなんとなくの心理が作用している。

では、ハードでは難しいとしても、個別に使わない機能を表示OFFできるようにせめてソフトウェアの方を改良してはどうか?


それは素晴らしい次善のアイディアだ。


次善のというのは、
結局その大半の人が使わない機能を開発するためのコスト。
機能を隠すという新機能。
処理が複雑になることでの指数関数的な壊れやすさ。
使わない機能を載せるための高価なハードウェア。
機能の分だけのサポートの増加。


つまりその製品が生まれる企画段階から、
旅だった後のアフターケアまで、
あなたがすべてを抱えて行く覚悟があれば、
それもいいアイディアかもしれません。



まだ足りない?
もう充分だろうteruyastar?



これはたった一つのことを考えるきっかけのためのエントリーでした。

*1:僕もゲーマーなのでそれはないわーと、当時思ってましたがw