teruyastarはかく語りき

TVゲームを例に組織効率や人間関係を考える記事がメインのようだ。あと雑記。

甲子園・興南連覇の秘密

という番組がNHKでやってまして
なにせ沖縄勢初優勝、
加えて春夏初連覇の快挙を、
就任3年目の我喜屋監督率いる興南高校が達成し、
しかもそれが運だけではなく走攻守そろったチームの完成度で
圧倒的な差(13-1)をつけた決勝戦でもあったので、
いったいどんな指導、どんな練習でそれを成し遂げたのか?


と、興味津々で見てみると監督から出てきたキーワードが、

秘密のキーワード

五感を研ぎ澄ませる
挨拶大事
全力疾走
一人のミスをみんなでカバー


って、なんの秘密もありゃしねー(゚Д゚)
そんな精神論、優勝高校から聞いてもなーー。
、、とおもいきや、なかなか深いですよこれ。


五感を研ぎ澄ませる

我喜屋監督


2時間半のグラウンドだけでは勝てない。
勝負はその前から始まってる。
満開の花を咲かせるには根っこから育てないといけない。


根っことは練習だけでなく、
寝ることから、起きることから、あるいは散歩する、食事が終わるまで、
五感で感じ取りながら、発現する、表現するということの積み重ね。


興南野球部では朝の散歩を日課として、
そこから感じたことを1分間スピーチとして発表するそうです。


同じ道、同じ風景でも少しづつ違い感じ取ることは日によって違う。
桜の木の様子、日の当たりや、街の雑踏、風の動き、触れること、臭うこと。
最初はたわいもない感想だったのが、だんだんと
「桜の木は太陽をさんさんと浴びながら、根っこでは涼しい顔をしていました。」
というふうに日々変わっていったとか。


いや、どこの詩人だよw
野球と全く関係ないじゃんw
とは思うのですが、これは情報を読み取る能力の話だと思いました。

我喜屋監督

なんでもない日常の小さなことに気づくことが、大きなことを達成させることにつながるんだよ。


小さいことに気づかない人には、大きな危機がやってくるからね。


僕はこの日課が全てのスタート地点かなと思います。
毎日同じ練習をやってても、細かい情報を読み取るくせが根付いてると
選手一人一人が練習の意味や、自分なりの工夫を考えるだろうし、
練習にしても漫然とバットを振ってボールを投げるだけではなく、
そこからどれだけ細かい情報に気づけるか意識してるかどうかが、
同じ練習時間でも得られる成果が全然違うのではないかと。


挨拶大事

我喜屋監督


ただ挨拶しなさいというだけでは
子供たちは挨拶になんの意味もないと思って、やらなくなる。


挨拶の「挨」は心を開いて伝えることだよと。
挨拶の「拶」は相手を受け入れて返すことだよと。
挨と拶は絶対違うよ。
返さないと挨拶にはならないよと。


ちゃんと意味まで伝えてあげないといけない。


コミュニケーションの基本としての挨拶の意味。
これをわかって挨拶をするというのが、
それこそ仲間の調子や、チームワークなどの
普段気づかない情報をやりとりする
最初にお互いを尊敬、認識する段階なのでしょう。


上記のような挨拶ができるチームと、
出来ないチームではチームワークというか、
言いたいことをハッキリ言わない関係になってしまいそうです。


全力疾走


球児らしく、高校生らしく、
聖なる甲子園の地に立つものとして全力疾走は当たり前、、、
という話かと思いきや、

我喜屋監督


「マウンドにいくときも、ベンチに帰る時も
興南は全力疾走できびきびしていいですねえ。」
という解説者はちょっと深みが足りない。


全力疾走で守備位置に走って振り向いたときに
風の流れを計算できる、打者は何番から来るとか、
それにもとづいて誰に声をかけるとか、
時間が欲しいわけですよ。


そしてまた全力疾走でベンチに戻ることによって
打順は何番からだから前回はこういう失敗したから
こう修正していこうとか、
そういう会話をする時間が欲しい。


速く自分の時間を見つけるために、
情報を見つける時間を作るために、
全力疾走してるチームが強いんだと思います。


すごい。


振り返ってみれば甲子園で興南の守備はとても的確でした。
相手の打球が運良くフライに終わったものがたくさんあったのですが、
あれは偶然野手のいたところにボールが飛んでいっただけではなく
ほんとに細かい情報を読み取って、
ボールが飛んでくるであろう守備位置も投手と連携してるのか、
他のチームより2歩も3歩も
ボールが落ちてくる場所の判断が早かったからこそ
運がいい場所に落ちたように見えたのかもしれません。


また、点を取られたあと
ピッチャーもチームもまったく崩れないのがすごかった。
他のチームが何かのきっかけでガタガタになって
エラーまで連発するようになったのと比べて
興南は3点、5点先行されてもそういう場面がなかった。


これは単純に大舞台でも精神力が強いというわけではなく、
選手みんなが、現在の細かい情報を五感で読み取るクセがついてて
細かいところを読み取ることに頭がいっぱいだから
「点を取られたらどうしよう」
「ここでミスしたらどうしよう」
みたいな余計なことを考えてミスを重ねることがなかったのかもしれません。


一人のミスをみんなでカバー

我喜屋監督


興南高校の練習は(小さなことに気づいて)タイムが多いんですよ。
そこで一人のミスをみんなでどうカバーしあうか?
というのが共通認識。


カットプレーひとつにしても
カバーに入るのが野球の常識なんですけど
ややもするとみんな忘れるんですよ。
これは(練習中)小さいことに気がつかない、実行してないことの証拠です。


甲子園のチームでもカバー入るのが遅いエラーとかありましたが
こういうのは常日頃監督さんから言われてると思うんですよ。
それでも治らない。


会社なんかでも同じで、
何度も同じこと言われてもやらない社員なんかは大きな失敗しますから、
これは野球でもそうなんですよ。


いや、これはその練習中タイムできる環境が凄いのかなと。
普通は誰かが気づいたとしても
みんなの練習を自分が止めるということはしづらいです。
別にたいしたことなくて白い目で見られるかもしれないとか、
お前がミスしなければカバーする必要ないじゃんとか
そんな細かいことは空気を読んで発言しにくい。


会社でもトヨタとかだと違和感があれば
すぐ工場のラインを頻繁に止めて改善するようですが
普通の会社は細かい違和感ぐらいでライン止めるようなことしませんからね。
野球部でもゴチャゴチャ細かい小さなことに
ひとつひとつこだわる部員なんかウザイと思いますよ。


多分これが出来るというのは、もっとどうでもいい、
桜の木やら散歩の風景をあれこれ気づいたとを
日課としてスピーチする場や、
挨拶の意味や小さなことを考える習慣が「根っこ」にあってこそ、
そのひとつ上の、練習を止めて自分たちで考え、
協力することができるんじゃないかと。


五感を研ぎ澄ます、日常から情報を読み取る想像力とは?


24時間野球だけしかやらない野球バカではなく、
何気ない日常生活の小さなことに想いを巡らす事。
これは学問でもスポーツでも大切なことかもしれません。


あくまで裏取りのない2chのソースですが

島袋はプロで通用するのか?
http://yuzuru.2ch.net/test/read.cgi/hsb/1281894637/l50


410 :名無しさん@実況は実況板で:2010/08/26(木) 22:33:37 cRa2AkiG0
みんなにこっそり教えてあげるね。
こうなん高校って普通科なの。高校で野球だけやってるわけではないの。
島袋くんは偏差値72あるのはホント。駿台の全国模試で80番台に入ったこともあるの。
ぶっちゃけ、医学部以外なら自力でどこの大学にもいけるの。


それの上を行くのが国吉大陸君。島袋君を抑えて学年で1番頭がいいの。
2年次には5回の定期試験で3回1位をとってるの。ちなみに残りの2回は大将くんが1位なの。

なぜに天はイケメンに2物も3物も与えるかw



五感を研ぎ澄ませて、小さな情報を見逃さず読み取る力が
勉強にもそのまま使えるとはいいませんが、
例えば、このブログの一番人気の記事で

人は「考え方」を手に入れると頭のよくなる生き物である - teruyastarはかく語りき
http://d.hatena.ne.jp/teruyastar/20100427/1272405426

結果を出す人たちがどれだけ物の関係性を重要視してるか?
子どもには何でもかんでも説明させよう

という話と、五感を研ぎ澄ませて小さなことにどんどん気づいていく習慣は
かなり通じる話に思えます。




我喜屋監督が言う

「なんでもない日常の小さなことに気づくことが、大きなことを達成させることにつながるんだよ。」

という毎日の積み重ねは、
人生に活きるとても素晴らしい教育の一環なのではないかと
高校野球を通して教えられました。*1


追記:

日本サッカーと欧州の違いは言語技術の差 | 時評コラム | nikkei BPnet 〈日経BPネット〉
http://www.nikkeibp.co.jp/article/column/20100531/228806/


(ドイツ)
サッカーの指導では、「ゲームフリーズ!」と言って、
ゲームを一時中断することが行われる。
子どもたちがパスミスなどのプレーをしたときに、
ゲームをとめて間違いを修正する。


ドイツでは、コーチが子どもたちに「どうしてそういうパスをしたのか」と聞く。
それを受けて、まだ12才の子ども同士が議論をする。
論理的思考をぶつけ合う訓練が、あたりまえに行われている。


一方、日本で同じことをやると、子どもたちは黙ってコーチの目を見る。
コーチの用意している答えを想定して、
そのとおりに答えなければいけないと思っているのだ。


子どもたちが自分のプレーについて論理的に説明できないと、
ドイツでは「何も考えないでプレーしているのではないか」と見なされる。
ひとつひとつのプレーに際し、
意識的に判断しながら論理的思考を養っているドイツの子どもに対して、
日本の子どもはなぜここでパスか、シュートかと考えずにプレーしているに等しい。
そういう指導法の差が10年、20年経つと、雲泥の差になる。
日本とヨーロッパの差は、言語技術の差でもある。


沖縄力―高校野球の心を求めて
沖縄力―高校野球の心を求めて
08年センバツ優勝、沖縄尚学。
08年夏ベスト4、浦添商。

そして07年夏、09年春甲子園出場、興南。

甲子園で結果を残した3チームを徹底取材したドキュメント
"沖縄力・うちなーぢから”。
そこには高校野球の本来の心がある。


僕はまだ読んでませんが、
この時の監督の話にも興味ありますね。



関連:

ジュースこぼしちゃった - teruyastarはかく語りき
http://d.hatena.ne.jp/teruyastar/20100805/1280954384

*1:散歩がてら何でもない日常から気づいたことや食事でいつもとは違うことに気づく感想をtwitterなんかにつぶやくのもいいかもしれませんね。