teruyastarはかく語りき

TVゲームを例に組織効率や人間関係を考える記事がメインのようだ。あと雑記。

人をラベリングで見るな( ゚д゚ )

頭はいい筈なのにデキない新入社員をどうするか真剣に悩んだ。
http://anond.hatelabo.jp/20101104205832


「あいつは頭は良いけどバカなんだよな」と言われる若手社員
http://anond.hatelabo.jp/20101104194834


あー・・・。この増田見て、イヤーな記憶を思い出したのでここに書く。
昔、人事で採用担当と配属をやってた俺は元増田と同じことで悩んだ。
スペックは寧ろ高い筈なのに、
頭はいい筈なのにデキない新入社員をどうするか真剣に悩んだ。


悩みに悩んだ結果、間逆のタイプの上司につけることにしてみた。
頭は良くないが要領がズバ抜けていいどこの会社にも一人はいるヤツ。
日本語はほとんど通じないけど仕事は出来るやつ。
友人になりたくない人間の典型。


その結果で言うと、頭いい組の新入社員は物の見事に全滅し、
その上司と俺もキッチリ詰め腹を切らされた。
いや、全滅するだけならまだ良かったんだが、
三年経って使い物になった瞬間競合他社に移られた。それも数人セットで。


今でも思うけれど、俺の戦略は基本的には間違ってなかったと思う。
基本的に頭の良かった彼らは時間こそかかったものの、確実に成長はした。
ただ、成長した一方で徹底的に会社を憎んでたんだよなぁ・・・。


慰留にかかった俺は辞めた彼らにクソミソに言われ、
上からもクソミソに言われ結局転職する羽目になった。
その上司も責任を取らされた。
まだ会社にはいるようだけれど、この先目はないだろう。
何せ、自分のチームの実務隊数人全部辞職してしまったんだ。
課の実務要員が一時に全滅したわけだから、ほんとに悲惨な事態だった。


もし、「頭がいいけど要領が悪い」部下を持ってしまった人は、
彼らを舐め過ぎない方がいい。
基本的に彼らは時間さえかければ必ず、並よりは遥かに多い知識を吸収する。
しかも、恐ろしいことに家でも勉強する。
これが一人で孤立させられるならまだいいが、
同期数人で頑張られた日にはもうどうにもならない。
配属で上手くばらばらにするか、
あるいはやさしくじっくり育てた方が絶対にいい。
彼らはそう簡単には辞めないが、最悪のタイミングで辞めるんだ・・・。


育てるのに数年かかっても、10年くらいいてくれればペイはする。
三年目でやっと責任ある仕事を任せた矢先、
集団で辞表を叩きつけられるくらいなら、
数年くらいは非効率にやらせた方がマシだった。


基本、アカデミック型の子は伸びが遅い。ただ、伸びしろは大きい。
ヘタな育て方をすると、程よく育ったところで他所に持ってかれる。
そこまで頭が回らなかったんだよな、当時の俺は。想像力が無かった。
というより、彼らを舐めてた。

何か共感できそうな文体にみえますが。
人を「ラベリング」して扱うと、
めんどくさく考えること減ってひとまとめにできそうで
結局はラベリング外の想像力を全て殺すことになり、
人の扱いを誤り、トラブルを余計に増やす事があります。


例えば、

「頭は良くないが要領がズバ抜けていいどこの会社にも一人はいるヤツ。」

頭良くないのに要領がズバ抜けていい?
というのは頭の善し悪しを大学の出身でラベリングしてるのでしょうか?
ほんとは頭も良くて要領もズバ抜けてて性格が悪いのかもしれませんよ?

「日本語はほとんど通じないけど仕事は出来るやつ。」
「友人になりたくない人間の典型。」

コミュ力のない技術オタクというラベリング?
別に同じ会社であっても友人になる必要はないのに
なぜそんな余計な一言をw
仲悪くて嫉妬に見えなくもないです。

「頭はいい筈なのにデキない新入社員」

良い大学をでた新人が、仕事デキないのでしょうか?
結構みんな、自分の新人の頃忘れたり美化したり、
得意分野が違うことを誇ったりしませんか?

「基本、アカデミック型の子は伸びが遅い。ただ、伸びしろは大きい。」

大学生にそんな型も傾向もないですw

バーナム効果 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%90%E3%83%BC%E3%83%8A%E3%83%A0%E5%8A%B9%E6%9E%9C


誰にでも該当するような曖昧で一般的な性格をあらわす記述を、
自分だけに当てはまる正確なものだと捉えてしまう心理学の現象。

というか、ほんとに占い師みたいに当てはまりそうなセリフのオンパレードですね。

「頭はいい筈なのにデキない」
「頭は良くないが要領がズバ抜けていい」
「日本語はほとんど通じないけど仕事は出来る」
「友人になりたくない人間の典型。」
「俺の戦略は基本的には間違ってなかったと思う。
(略)
ほんとに悲惨な事態だった。」
「基本的に(略)、基本的に(略)、基本的に(略)、あるいは、、」
「そう簡単には辞めないが、最悪のタイミングで辞める」
「ヘタな育て方をすると、程よく育ったところで他所に持ってかれる。」
「想像力が無かった。というより、彼らを舐めてた。」

*1

慰留にかかった俺は辞めた彼らにクソミソに言われ、
上からもクソミソに言われ結局転職する羽目になった。

あと、不思議なんですが、
慰留にかかってクソミソ言われるのはまだしも
なんで新人の人事権あるだけの人が
上からもクソミソに言われて辞めなきゃいけないのでしょうか?
ここでクソミソに言われて辞めなきゃいけないのは、
頭が悪くて要領だけ良くて、友達にしたくない人のはず。


もしかして嫌われてたのは、、
言葉の端々がちょっとアレなセリフになってますが、、

「恐ろしいことに家でも勉強する。」
「これが一人で孤立させられるならまだいいが、」
「配属で上手くばらばらにするか、」
「彼らを舐めてた。」

世の中のラベルは「変な人」だらけ。


僕がよく聞くセリフで
「うちの会社は変な人が多い」
「うちの親戚は変な人が多い」
「うちの家族は変な人ばっかり」
というのがどこいってもあるのですが、
これは「普通の人」を基準に、ちゃんと長い間、
深い関係を保ってるから分かることですよね。


で、「変じゃない普通の人」というのは、
ただ単に「関係を深く持ってないあまりよく知らない人」なだけで、
深く付き合えば絶対変な人なわけです。
とにかく自分の価値観と少しでも違う人は「変な人」です。
「普通」というのは、「自分の価値観」のことですから。


でも周りが99%変な人なら、
自分もその99%から見たらまた「変な人」で確定です。
すると、「普通の人」なんてどこにいるのでしょうか?

ラベリングは思考停止の元


そう考えてから、僕は人を
一つのラベリングでは見なくなりました。
ブログの記事なら、「IT」とか「ライフハック」とか、
2~3のタグでラベリングすることは可能かもしれませんが、
一人の人間がもってる情報量のタグは無数にあります。


「給与に執着するか?」
「向上心はあるか?」
「金はパーッと使うほうか?」
「リスクより安定を望むか?」
「兄弟ではどの立場か?」
「技術や業界興味は?」
「酒は飲めるか?」
「ネットはやるか?」
「趣味は何か? 今度の仕事には繋がるか?」
「恋人、配偶者はいるか?」
「今日の調子は?」
「本人がやりたいことは?」
「会社とは違う夢は?」
「今の仕事の将来性をどう思うか?」
etc,etc,,,


特にこっちが質問するわけではなく、
いろんな場所で気軽に興味あることをしゃべってもらえるように
話を振り、聞き上手になることで、
これら無数のおしゃべりが、無数のタグになり、
しかも「男子三日会わざれば刮目してみよ」となると、
日々、刻々と人は変わっていくんですよね。
そうなるとラベリングなんてまったく役に立たないぐらい
人は違うというのがわかる。


「大学」は共通話題や、地域地元、
選択研究学科の引き出しとしてのタグだし、
「沸点が低くてすぐ切れる怖い人」というのは、
そういうテクニックの人もいれば、
何か仕事以外の不安を抱えて、
会社の誰かが助けになることもありますし、
みんなが避ける中、話してみたら
全然小さなすれ違いだった事ばかりですし、
「コミュ力に欠ける技術オタク」とも、
あまり僕が詳しくないアニメの歴史とか教えてもらったら
アニメの言語から何を日本語で話したいのか
だんだん空気でわかるようになってきてw
他人にうまく通訳?するとかでとても活躍してくれますし、
「あの人は仕事できない」という何か根本的な理由があって、
教え方の改善のチャンスだったときもあれば、
完全な配属ミスだったときもあるし、
「会社のやり方」の強要を外して、
「その人のペース」と「その人の特別なやり方」を認めたら、
ガッチリ給料以上の成果を出すようなこともありました。
このときは会社の求める「効率」や「規則」よりも、
人に合わせた「結果」をとることもあるわけです。


ラベリングでみないというのは、
部下の可能性や限界を自分の常識で決めつけないで、
部下が言語化しない本当に望むものを引っ張り出し、提供する。
という、

代替えの効く部品ではなく、一人の人間としての可能性を、権限内で融通のきく最大限尊重する。

ことだと思います。
(権限外でも上にバレなきゃいいかなとw)


隠れた人材は社内にいて、
社内の人材が自分でも気づいてないようなチャンスのタグを抱えてる。
そんな風に思って扱ってくれる人がいて、
会社にもそのチャンスを活かす風土があれば、
会社の限界も感じずに辞めることはないでしょう。


市場規模はこれだけで、人件費はこれだけでと、
数字でしか人を見ないリーダーだと、
市場拡大のチャンスを社内から見つけるのは
難しいかもしれません。


なんて、、実は、任天堂岩田聡社長を見習ってから人が観えるようになったんですけどね。


任天堂の前、HAL研究所が潰れかかったピンチときに
HAL研社長として指名されたときの話。

ほぼ日刊イトイ新聞 - 社長に学べ!
http://www.1101.com/president/iwata-index.html


10.面談はこんなに大事なのか!


最初に全員に話をきいてみて
「面談してはじめてわかったこと」が
ものすごく多かったんです。

「人は逆さにして振らないとこんなにもモノをいえないのか」

とあらためて思いました。


わたしなんかはわりと
相手に機会を作ってもらわなくても
機会を自分で作って伝えればいい、
と思っているほうです。


自分のような人の集まりなら
面談は要らないでしょう。
必要なことは相手にいいますから。
でも、そうではありませんよね。


わたしは

「人は全員ちがう。そしてどんどん変わる」

と前から思っていました。
もちろん変わらない人もたくさんいます。


でも、人が変わっていくんだということを
理解しないリーダーの下では、
わたしははたらきたくないと思ったんです。


自分が変わったら
それをちゃんとわかってくれる
ボスの下ではたらきたい……
自分がどんな会社ではたらきたいかというと

「ボスがちゃんと自分のことをわかってくれる会社」や
「ボスが自分の幸せをちゃんと考えてくれる会社」

であってほしいと思ったんですね。


それが面談をはじめた動機です。
たいへんだけど、
自分の得るものも多いなとわかりました。

社員4500人の任天堂社長になった今は、
さすがに全員の面談は無理みたいですが、
それでも定期的な面談は続けてるようで、
「社長が訊く」という、
なぜ多忙な任天堂の社長自らが
自社や、開発他社まじえてクリエイターインタビューをしてる
コーナーがあるのか?、というのもその延長みたいですよ。


会社情報:社長が訊く リンク集
http://www.nintendo.co.jp/corporate/links/index.html


まとめ

ラベリングで人を分類すると、
その人を構成してるいろんなものを見落とす。
全員いろんなことが違う「変な人」としてみるぐらいでちょうどいい。
他人をひとりの人間として尊重しないと、
社員であれ、お客様であれ、コストが高くつく。


関連:


フレームワーク脳を打ち破る宮本茂の言葉 - teruyastarはかく語りき
http://d.hatena.ne.jp/teruyastar/20090128/1233071017


なぜ新人は聞きに来ないのか? - teruyastarはかく語りき
http://d.hatena.ne.jp/teruyastar/20091118/1258499089

*1:まあ、このブログでも断言したいこと以外で、揚げ足取られたくない箇所に無意識でパーナム効化多用されて人の事いえないですか。