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管理職はなぜ書き込みをしないのか?


社内コミュニケーションとしてTwitterなどの
ソーシャル系サービスを使うのがとても有効だ
という記事をよく見かけます。
昨日見たホットエントリーでも、

脱電子メールの4年間:IBM社員のワークスタイル « WIRED.jp 世界最強の「テクノ」ジャーナリズム


IBM社で「電子メールを廃止」した者はスアレズ氏だけではない。
同氏はほかに数十人を知っているという。
例えば最高情報責任者オフィスのプロジェクト・マネージャーである
ジュリアナ・レオンは、スアレズ氏ほど徹底してはいないが、
同僚からメッセージが来た時にはConnectionsで答えるようにしている。
そうすると、質問してきた人物は他の人から回答を得られる場合も多いし、
その回答は公開されているので、他の人も読むことができるからだ。

(略)


「メッセージ製品について調査していたときに、
人々がメールの件名をどう使うかも調べた。
件名の8割は、”こんにちは”とかただのブランク(空白)だった。
つまり件名は時代遅れなのだ。

実際、電子メール自体が時代遅れなのだ」とグレアム氏は言う。

NTT研究所におけるYammerの取り組みと、社内Twitterの統計解析
http://www.slideshare.net/TokorotenNakayama/227p-for-publish-11115883


Yammerを導入してどうなった?


・研究所を跨いだコミュニケーションの実現
・ロケ間の解決(地方ごとの開発、営業所コミュ?)
・○○の発注にどこを使った?
・【急募】ポートミラーできるCiscoルータ
・☓☓なルールがあるのはうちだけ?
・それ面白い、共同で特許書こう。
セクショナリズムが薄れた
・モノの貸し借りが盛んになった
・議論が増えた、勉強会が増えた
・中堅社員から昔話(経験談?)を簡単に聞けるようになった


7ページ、33ページ


このリンク先で気になるのが、
「管理職はなかなか書き込みをしてくれない。」というやつです。

管理職は何故書き込みをしないのか?


・社内の他部署の人とコミュニケーションを行なって価値を生み出すことを仕事としていない
・社外の人とコミュニケーションを行なって価値を生み出すことを仕事としている
・一般社員はコミュニケーション能力があまっている。
・管理職は多くの人と付きあわねばならないため限界?
・管理職が愚痴りたい内容は社員にはきかせられない
・管理職より上は椅子取りゲームなので、情報を秘匿したほうが有利?


32ページ


一応僕も、社内SNSツールを体験したことがあり
そのときやっぱり管理職の人は書き込まなかったので、
なんで書かないのか? という仮説をひとつ。


一般社員より常に情報強者側にいなければ、上司、管理職としてのメンツが潰れる


トップダウンで情報が上から下に流れるだけだったら、
情報発信強者=上司や、管理職になるからいいのですけど、
一般社員から良いアイディアがでてきて、下から上に情報が流れるとき
もしそこにヘタなツッコミを突き合わせても、
「えっ? 部長何言ってるんですか?」なんて部下から言われるのはまずい。


今回上で決まったこの戦略はどうなんだろう? ではじまる、
凄く的確で厳しい下からのつっこみには池上彰レベルで答えられないと
上司、管理職としての能力を疑われる。



職種がフラットな扱いで、給料が完全に能力別で決まる組織なら、
別に管理職でもソーシャル上の発言ミスや失敗も全然構わないのですが、
管理職ということで給料が高いのなら、
ソーシャルとはいえ給料に合わない見当違いの発言は評価を落としかねる。
「なんでアイディアも出せず情報発信できない人が俺より給料高いの?」
などと部下に思われるかもしれませんし、
上の立場である管理職が、わざわざフラットな立場に降りてきて
この仕事を受注した意味を「ただの勘」「長い付き合いだから」「実は枕営業で」
なんて言っても納得するわけがない。


しかし、
会社や上司における完璧な戦略や完璧な指示なんてあるわけないので、
みんなが会社に文句を言わないで納得するような仕事なんて
ほんとはなかなか難しく、管理職ほどそのいろんな矛盾を抱えてる。

それをそのままフラットな場所へ降りていって
矛盾をつっこまれたり、ボロが出るような事になったら
せっかくの管理職という立場がぐらつくかもしれないのでメリットが薄い。


、、、という理由じゃないかと。


まあ、それで管理職が参加しにくいとしたらちょっと残念ですが、
ソーシャルツールそのものはとても役に立つと思います。


日本人こそソーシャルツールに向いてるかも


例えばアメリカだと、多民族多宗教の移民国家なわけで、
考え方や思想が違って当たり前の
「言わなきゃ分からない発言文化」で育ちますが、
日本はどっちかというと「空気を読む村社会文化」ですよね。


授業だろうが、会議だろうが、国際政治だろうが、
空気を読みすぎてなかなか自ら発言したりはしない。
でも、内向きにはめちゃくちゃしゃべる。


古い記事ですが。

世界中のブログで使われている言語は日本語が一番多い - GIGAZINE
http://gigazine.net/news/20070406_technorati_blog/


世界一のツイッター大国| ニューズウィーク日本版
http://www.newsweekjapan.jp/foreignpolicy/2010/07/post-143.php


ツイッターが本当にビッグバンを起こしているのはアメリカではなく、
日本だった。
ツイッターを利用しているネットユーザーの割合は、
アメリカでは10%に過ぎないが日本では16%に達している。

会議で何かひっかかったり思うところがあっても、
それが完璧の正解だと思えなければ発言しない。

(実際しょうもない意見でみんなの時間奪うのも気が引けるし)
でも、もしそこで発言してたら
誰かが後で活かすことができたかもしれないアイディアは
表にでてこないまま、その人の頭の中で死んでしまいます。


しかし、
特に注目されず、発言に責任も取らないでいい喫煙所では
結構いいたいこといってたり
(なんでそれを会議で言わないw)
意外とその喫煙所の方がお互いのアイディア重ねて
物事が決まる事も多いのですから、
それこそ社内Twitterみたいな
未完成で、無責任なアイディアを公開できる場所があれば、
誰かがうまく補完してくれる可能性も高まります。


そういう内気な日本人にこそ、
無責任なソーシャルツールがぴったりなんじゃないでしょうか?


社内ソーシャル 活用3タイプ


多分、会社の文化によって
どこまで深く利用するか分かれると思うんです。
ソーシャルツールと相性いい文化は、
ボトムアップから仕事が作られる文化なんでしょうけど
利益考えなくていい大学の研究機関じゃあるまいし、
普通はみんなトップダウンですよね。


タイプ1・ Googleボトムアップ

へ〜たのめも:Google のソフトウェア・エンジニアリング - livedoor Blog(ブログ)
http://blog.livedoor.jp/heitatta/archives/54439839.html


・基本的にボトムアップ
エンジニアが「こういうのがやりたい」と思ったら、
人を募ってプロジェクトにしていく


・例の「20% ルール」。
「とにかく 20% は、まったく違ったことをヤレ」
ということになっている。
他のプロジェクトに協力するとか、
今までやったことの無いことをやるとかして、
新しいアイデアを生み出す


・売れるかどうかは考えない。
それがたくさんの人に使ってもらえそうかどうかが大事。
社内のデモ・サイトで使われなかったり、
Google Labs で人気が出ないヤツはまずダメ


Google では、偉い人ほどコードを書きまくっている。


・「創造的であるためには、情報は共有しなくてはならない」がモットー。
コミュニケーションは活発で、プロジェクト内はもちろん、
プロジェクト間の壁もあまり無い。


・進捗は snippet (週報。何をやったか、何をするか)を書く。
他の人が何をやっているのか、何で困っているのか、
どんなウマイことやったのかを、全員で共有


・一部屋に 2〜4人。同じ部屋で開発。
ちょっとしたバッドノウハウをすぐに後の人に聞けるので、個室よりもいい


・食事の時間も例の無料社内レストランなので、そこも情報共有の場


・Tech Talk。
エンジニアが自分の知っている技術的な内容を
他の人にプレゼンテーションする。
Mountain View ではほぼ毎日、日本でも可能な限り頻繁に。
聞く方はもちろん、喋る方にもメリットがある


・上から「何をやれ」というのはまったくない。
上司は「こういうプロジェクトがあるよ」とか
「これはこの人に聞けばいいよ」とかルーティングしてくれるだけ。
エンジニアの視点から見て詰まるところをうまくフォローしてくれるのが上司。


・変化についていく。
Google 社内は変化が早い。社内システムの入れ変わりも早い

いいアジャイルと悪いアジャイル
http://www.aoky.net/articles/steve_yegge/good_agile_bad_agile.htm


・一種のマネージャはいるが、彼らのほとんどは少なくとも時間の半分は
コードを書くのに使っており、テクニカルリードに近い。


Googleには開発者に何をやれと言わない哲学があり、
開発者たちはそのことをとても重く受け止めている。


・開発者は、自分のチームやプロジェクトを、
いつでも好きなときに、何も聞かれることなく変えることができる。
ただそうすると言えば、運送屋がやってきて
翌日には新しいオフィスで新しいチームと働くことになる。


・ミーティングがあまりない。
平均的な開発者はたぶん週に3回くらいのミーティングに参加し、
これには自分のチームのリーダーとの1対1のものも含まれる。


ガントチャートや、日/タスク/担当者が書かれたスプレッドシートや、
そのほか何であれ、目に見えるプロジェクト管理を示すものは見たことがない。


CEOが変わってますので、今もこうなのかはわかりませんが、
20%ルールはもとより、現代でもわりと特殊なボトムアップ型企業ですね。
Web業界というあまりに変化が早すぎる世界で生き残るためにも、
大企業のまま柔軟に対応できる一つ理想型かもしれません。
ソーシャルツールを一番活用できる組織形態でしょう。


しかし Googleプログラマー主体かつ、
巨大なクラウドサーバーからの無料サービスで、
そして初期からフラットな組織体系だったことが
もっとも適してたわけで、
元々トップダウンの大きな会社が
いきなりGoogle型組織になるのは不可能でしょう。


小さなIT企業が拡大するときや、
新しく起業するときの、あくまでひとつの参考例ですね。
もちろん、トップダウンの大企業といえど
研究開発室や、企画室などの新しい特区作りで
参考になるポイントはあるかもしれません。


タイプ2・ 従来型トップダウン+20%ルール適用


上から「何をやれ」と仕事が降ってくるのはそのままですが、
20%は社員ボトムアップから全く違うことをやって、
少量のプロトタイプを試作販売するぐらいの予算もつける。
というのもソーシャルツールとは相性いいでしょう。


開発、企画、営業などどこまで適用するかは会社の文化次第ですが、
交代制の期間限定特区などから試せると思います。
基本的に本業が充分な黒字であることが望ましいですかね。


これぐらいの自由度があると、
管理職も自身とは関係ない自由な20%の部分には降りて来やすくなるし
他社との連携や、必要な情報の調達などしてくれるかもしれません。
管理職やその情報が降りてくれば、よりソーシャルの連携も強くなります。


タイプ3・ 従来型トップダウンのまま


「別にボトムアップ企業に変わらなくてもいい!!」
という考え方もありだと思います。
それでもソーシャルツールは社内のコミュニケーションや
フリーダムな事を言うガス抜きに使えたり、
管理職に責任が及ばない範囲での
横の協力関係やノウハウの伝授も有効でしょう。


ボトムアップから企画が上がることも、
管理職がソーシャルへ降りてくることもないかもしれませんが
同じIT企業でも、Appleなんかは怖いほどのトップダウンだったわけで、
企業の規模、方針、文化、などによって
何が最適なのかは違ってくると思います。


社内ソーシャルツールは本当に有効なのか?


3タイプ上げたのはつまり、
「会社の無駄な縦割りや、空気読みでコミュニケーション不全になるところを
ソーシャルツールで効率的に解消しよう」…ということではなく、


元々、会社は矛盾だらけで不都合で、
管理職以上は(社長や顧客や銀行などとも)板挟みで、不完全なものだから、
「不完全な会社側に合わせて」ゆっくり融合して使っていこう。

ということです。



短い体験上では、
不完全な組織(メンバー)に、密度の高いコミュニケーションツールを与えた所で
「正しい VS 正しくない、売れる VS 売れない」のムダな衝突や、
情熱空回りで燃え尽きるメンバーと、理解の足らない上司の距離がさらに開くなど、
不協和音がよけいひどくなることもあるのです。

そんな結果になるぐらいだったら、
コミュニケーション不全にして目の前の仕事してくれたほうがいいw



その点、NTT研究所のYammerは珍しいパターンのようで、
1年で6%の閲覧ユーザーという広がりは
ちょうどいい普及ペースなのかもしれません。
中身も少しフリーダムだし愚痴も言えるようですし。


一気呵成に、
わが社もGoogleボトムアップのような
効率的なコミュニケーション組織になるぞ。
というのは、
みんなが技術力や、意識の高いメンバーで、
かつ強いリーダーシップがあれば可能かもしれませんが
なかなかそう条件は揃わない。


あくまで組織の現状肯定のままソーシャルツールは無理なく、
「楽しく使い続ける」ことによって、
気がついたらいつの間にか社内の雰囲気が変わってた。

というぐらいが、理想じゃないかと思います。




む、、
単なるツッコミ記事のつもりが、
個人的反省会のようになってしまいましたが、
何かの参考になる人がいたら幸いです。