teruyastarはかく語りき

TVゲームを例に組織効率や人間関係を考える記事がメインのようだ。あと雑記。

授業や会議でファーストペンギンを守る方法


授業や会議で、
先生や進行役が「この件に関してみなさん意見はありますか?」
あるいは「みんなわかりましたか?」と言って
無反応になる状況をよくみかけます。


じゃあホントに意見や質問が何もなくて完全に理解しているのかというと
全然そんなことはなく、実は理解してなかったり、
授業終わってから質問したり、後から内輪でグダグダ文句を言ったりします。
学校や会社だけではなく、父母会だの自治会だのでも
何かの集まりでは似たようなもんでしょう。


そうそう、こういうの↓

ごめんなさい。 原子力安全神話は僕たちが形成した|森達也 リアル共同幻想論|ダイヤモンド・オンライン
http://diamond.jp/articles/-/15087


授業が終わると同時に、耳にイヤフォンを差し込んだまま、学生の一人が近づいてきた。


「質問だけどいいでしょうか」


「もちろん質問はいいけれど……」


 僕は言った。


「どうして授業中に質問しないのかな」


「だって誰も質問しなかったので」


「誰かが質問するまではできないということ?」


「場の空気がありますから」


 あっさりと言われて、僕はため息をつく。


「でもその『場の空気』は、あなたたちが作っているんだよ」


「それはそうですが、最初の一人はまずいです」


何がまずいのだろうと思いながら、「とにかく、そのイヤフォンをまずは外しなさい」と僕は言った。


(中略)


僕はもう一度、腕の時計を見る。そろそろ限界だ。まとめなくては。


「授業中に質問しないからだよ」


「……何ですか?」


「質問したいけれど、授業中は誰も質問しないからできない。そんな意識が日本人は強い。つまり場の空気に合わせようとする。同調バイアスですね。だからこそこんな事態になった」


「……僕たちを批判しているのでしょうか」


「どうとってもいいよ」


ファーストペンギンというのは、
天敵のシャチやトドがいるかもしれない危険な海へ
最初に飛び込み、身を持って安全性を確認するペンギンです。


まさに、授業で最初に質問する人みたいですね。
、、というと、「別に教室にシャチやトドがいるわけじゃあるまいし」
先生方から批判されるのですが、いるんですよ。生徒側に。

心理的トドの存在


誰かはわからないですが、生徒側の心で


シャチ「1回で理解しろッチ。そんなくだらない質問すなッチ。」
ぬすっトド「早く会議進めないとおにぎり盗んじゃうド~」


という隠れシャチや隠れトドが、女子会で批判のネタにします。
ほとんどの場合シャチやトドなんかいないのですが、
「いるかもしれない」とみんなが思うことで「非実在トド」が発生するわけです。


進行役の僕としては、この「非実在トド」から
ファーストペンギンを守らなければいけません。
どうするか?

先生が批判されるのは仕方ないが


本来シャチやトドが愚痴として狙うのは目立つ先生であり、進行役です。
誰からも好かれ、誰からも妬まれない先生というのはいないので
先生が批判されるのは仕方ありません。


でもファーストペンギンに標的が移るのは、
進行役が授業や会議の進行の責任を一時的でもペンギン全員に渡すからです。

誰にも嫌われないコツは誰からも目立たないこと


「みなさん質問はありませんか?」
こう言われたら、最初は全ペンギンの代表として
進行の責任をうまく返さなくてはいけないと思います。
しかし誰にとっても完璧な答えはない。
(進行役 x 全ペンギン代表)
ファーストペンギンなんて、リスク多くてリターンは同じ。
そんなの誰もやりたくありません。

なら最初は先生が指名する


なので、進行の責任は渡しません。
ここでは「○○さん。この件に関してどう思いますか?」
進行役がファーストペンギンを選ぶだけでOK。
こうすると、
「べ、別に私がでしゃばったわけじゃないんだからネッ!
でしゃばりたくないけど先生に当てられたから
仕方なく答えるだけなんだから!!」

と、あくまで進行役の責任のうちで
(進行役 x ツンデレさん)
という、1対1の関係に収まり、
非実在トドを意識すること無くペンギンの心理的負担を減らせます。*1

それぞれのキャラを見定めておく


そうやって自分と相性の良い人や、ムードメーカーな人、
特に分かってなさそうな人など
最初の2〜3人、セカンド、サードペンギンを選ぶだけで
後は次々意見や質問が出やすくなります。
でも、賢そうな人をファーストペンギンに選んで
ハードル上げるのはなるべく避けましょう。
むしろ不思議ちゃんな意見を出しそうな人から選んで
ハードルを下げてください。
そうすれば必ずそのズレに我慢出来ないエースペンギンが
翻訳、あるいは修正に入ります。

ランチェスターはかくかたりき


ランチェスター風に言いなおせば、
「巨大な壁にいきなり範囲魔法を使うな。
壁の薄そうな3点に局所攻撃をかけるだけでこの壁は崩れるぞ。キラッ☆彡」

というでしょうか。
僕はこのやり方で流れを止めたことはないので、
いきなり範囲魔法を連発して流れが止まる先生方におすすめです。


ある程度活気と反応のあるクラスや会議であれば、
最初に範囲魔法をかけて、
反応が弱いときだけ、すぐ局所攻撃に切り替える方法もいいですね。

*1:いじめとか、派閥とか、個別人間関係は、何やってもやらなくてもアレなんで別問題です。