読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる


アメリカで少年少女バトル物が受け入れられない理由を考える


日本でひ弱な少年少女主人公が受け入れられる理由を考える
- teruyastarはかく語りき
http://d.hatena.ne.jp/teruyastar/20120822/1345635449


、、の続きなんですが、結論から言うとアメリカでは
「銃」「刃物」「子供の暴力」が社会的に全部アウトだからです。


これらの表現なしで少年少女主人公のバトル物を描くのはきつい。
バットマン」や「スパイダーマン」も基本的には銃火器とか使いませんしね。


日本では銃乱射事件やら、ナイフを使った校内暴力、
あるいは子供に対する暴力虐待など、
アメリカと比較して大問題とはなってない。
(ネグレクトとか日本でもあるけど)


そういう社会情勢でクリエーターが少年少女をバトル主人公にしないのは当然。
日本だと子供が「銃」を手に入れることがファンタジーみたいに難しいですが、
アメリカだと親父の書斎からくすねかねません。



と、いうことを前提に例外パターンで大ヒットした、
ガンダムW(ウイング)」
セーラームーン
ドラゴンボール
を考えてみたいと思います。



まず「アメリカ」の「ガンダム」の話。

アメリカで「5人の少年兵」「ガンダムW」が大ヒット?



富野由悠季が作る「ガンダムシリーズ」とはだいぶかけ離れた感じの、
ガンダムW(ウイング)」が、ネットの書き込み情報ですが
再放送で視聴率20%超、それが何度も再放送されるなどかなりヒットしたようです。
アメリカでも超大ヒットした「ドラゴンボールZ」が視聴率40%超だったので
その半分と考えてもかなり受け入れられた作品だと思います。*1


ちなみに本家の「ファーストガンダム」は「ドラゴンボールZ」の後、同じ時間帯で
視聴率1%だったとか。。。数話残して911テロのため放送中止なったそうです。
(アメリカではウイングが先に放送された)


「少年兵」やら「戦争」などアメリカの子供向けアニメとしては
いろんなタブーを破ってる「ガンダム」ですが、
なんで「ファースト」がだめで、「ウイング」がOKなんでしょうか?

それがアメリカのリアリティかどうか


「ファースト」でメインに描かれるのはアムロの葛藤や成長なんですね。
「どうせ僕にしかガンダム使えないんでしょ!」みたいな。
アメリカンキッズからするとアムロの葛藤とか知ったこっちゃない。
「主人公のくせにウジウジしてて気持ち悪い」と思うかもしれません。


戦争を子供たちに頼らないといけないという展開も、
学徒動員までした日本ならまだ理解できるとして、
アメリカからするとそんな状況に追い込まれた政治や軍の戦略が悪い
として全く共感してもらえないでしょう。



で、「ウイング」ですがこっちは
アメリカ人の大好きな「スパイ物」なんです。
アメリカのスパイというとCIAがあり、
そういう戦い方のほうがリアリティを感じる。
そして5人の少年スパイが「テロ」で目的を達成しようとする。
極端に言えば「ガンダム」がなくても目的が達成されれば良いと。


でもいくら911前だからといって、主人公が「テロ」をしていいのか?
というと、あくまでガンダム」に対する恐怖心を植え付ける「テロ」で、
無関係な民間人を巻き込む「無差別テロ」とは違う
ところでしょうか。
カトルはトチ狂いますけどねw
また、主人公達が必ずしも自分達のやり方や存在を肯定していなく、
目的が達成されたら存在を消滅させることもいとわないような言動も多くあるので
作品を通してテロによる解決が肯定されてはないこともあります。



他にもリアルな問題として、アメリカでは中東への軍事派遣に対する国内批判が
当時から強いものがありました。
「国際平和のためと言いながら、要は石油がほしいんだろ?」

と、自国のハッリウッド大作軍事映画でもたびたび批判テーマとして使われます。
「OZ(オズ)」VS「ガンダム」という劇中の対立は、
「アメリカ軍」VS「中東テロ」というふうに置き換えてみることができます。
(そこまで単純ではないにせよ)


そして劇中ではヒロインの国が「非武装の完全平和主義」などという理想を掲げながら
主人公が別の思想で「ガンダム」を使って守るなど、
本当の政治みたいな「建前」と「現実」を使い分ける。
敵側のボスが「戦争のゲーム化」や「無人戦闘機開発」への強い批判をする
など
出てくる主要人物それぞれが、
敵味方関係なくそれぞれ理想とする思想が少しづつ違ってて
答えのない「平和と戦争」についての理想と立場を貫きます。
また、5人の立場や複数の敵対勢力図がめまぐるしく変わり、
これは現代の「平和と戦争」を考える「ディベート」のネタとして
とてもいろんな視点を与えてくれるわけですね。


アメリカの大人達は子供に
「銃」や「ナイフ」「暴力」に対して憧れをもって欲しくない。
だけど、アメリカの現状の「軍」や「政治」に対して、
学生のときから真剣に考えてほしい。

とすると、
「ファースト」における「アムロの葛藤と成長」や
「衛星国家のジオン」と「地球連邦」の対立はあまりピンとこなくて、
「ウイング」における、「OZ」と「ガンダムテロ」の対立や、
「平和と戦争のあり方」についての話は子供に見せていい、
それなら「銃」も「ナイフ」も「暴力」も込みで見て考えて欲しい

と思ってるかもしれません。




ガンダムの話はここまで、閑話休題

アメリカ人はなぜ「スパイ」とか「忍者」が大好きなの?


スパイ大作戦」や「007」、今だと「ミッションインポッシブル」でしょうか。
それらに準じた「スパイ」ヒーロー像がかなり確立されてますね。


仮説なんですけど、たぶんソ連との東西冷戦の中、
裏ではKGBとCIAのやりとりがかなりあったはず。
まあ、両国ともそれ以外の秘密諜報機関がいっぱいあると噂されてますが。
映画としてリアリティを出すためにも
当時アメリカと張り合える巨大な仮想敵国はソ連しかいないわけで、
直接の戦闘ができない以上、スパイこそが国のヒーロー扱いされてもおかしくないかと。


冷戦のため自然と007みたいなヒーロー像が確立されたこともあるでしょうが、
もしかしたらCIAの将来的な人材を集めるための
プロパガンダ映画だったかもしれませんねw


で、「スパイ」の歴史をたどったとき、
一番古く完成された「スパイ」というのが「忍者」だと思うのです。
さすがにイギリスもアメリカもその時代に完成された「スパイ」は持ちえてない。
日本の映画などを見て、「スパイ」人気が、どこかで
「忍者」へ転化されたと思うんですね。


アメリカで「NARUTO」が大人気みたいですが、
「忍者」が刀を使っちゃダメとはさすがにアメリカ人でも言わないでしょう。
「忍者」と「スパイ」はリアリティとして共感してもらえる
良い抜け道かもしれません。

仮説ですけど。



次に、「セーラームーン」というか「魔法」の話。

「銃」や「暴力」はだめだけど、「魔法」だったらOK!


イギリスの児童文学「ハリーポッター」なんかは、
ハリウッドで映画化されて大ヒットしましたね。
ハリーポッター」がバトル物か? というと微妙ですが
少年少女のバトルありで大人も楽しめるわりと例外的なものかと。


子供が混ざってることを海外でなんだかんだ批判される
ファイナルファンタジーも、「魔法世界」というクッションを置いてるので
ワールドワイドで500万本と受け入れてくれるのかもしれません。


この意味で、日本からの輸出で大ヒットした
セーラームーン」も魔法少女のバトル物。
魔法前提なら結構受け入れられる余地がありそうです。
ただ、リアリティや独創的な世界観を持った魔法世界というのは
かなりハードル高そうではあります。


この仮説でいうと、ほぼ魔法で戦ってたセーラームーンと比べ、
肉体的暴力が8割の「プリキュアシリーズ」はクレイジーの極みでしょう。
ちょっと検索してみると、、、


プリキュア、アメリカから撤退 シリーズの黄昏
|タコカフェバー(九条ひかり&シャイニールミナスと運命を共にするブログ)
http://ameblo.jp/hikaruminosekai/entry-10151406239.html


ULTIMO SPALPEEN:
ふたりはプリキュア」、北米で初の公式キャラクター商品発売(Tシャツ・トートバッグ)
http://willowick.seesaa.net/article/137484775.html


プリキュアシリーズってアメリカとかでも同時期に放送されてるんですか?
Yahoo!知恵袋
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1337867848


アメリカでは一度も放映されず放映権が手放され、
イタリア、ドイツ、スペインでは一応2作まで放送。
カナダでやっと放送が始まるとか。
さすがにセーラームーンの大ヒットには程遠い感じ。


たぶん、セーラームーンが大ヒットした上で次の権利を買ったと思うんですが、
まさか女子中学生が、格闘バトルするとは思わなかったでしょうね(^_^;)



最後、暴力満載の「ドラゴンボール」ですが、

ヒットしたのは「ドラゴンボール」ではなく「ドラゴンボールZ」


要は「悟空」が大人になってからの話ですね。
ラディッツサイヤ人襲来からの話です。
子供の悟空はいない。
銃も使わない。
スーパーマンのように空を飛び
スーパーサイヤ人に「変身」すると強くなり敵は宇宙人だとか、
完全にアメコミヒーローの条件に当てはまります。


しかも東洋の黒髪青年が、金髪白人になると超強くなるのですから、
「金髪白人最強(゚д゚)!!」みたいな面白い誤解を与えたかもしれません。
(鳥山明としては髪のベタを塗るのがめんどくさかっただけだそうで)


ただ、Zの初期はまだ3〜4歳の「悟飯」が巻き込まれるのがアウトなんですが
彼らが空を飛び、気を放ち、瞬間移動するのは
「魔法超能力世界」の分類として扱っていいでしょうし、

ピッコロが悟飯を闘いに向いてないと否定する場面もあります。


ここでは第三者から見て悟空が悪いお父さんの扱いで、
ピッコロがそれをカバーする形になるので、
ガンダムW」もそうなんですが「子供が戦うことを否定するメッセージ」が
劇中でちゃんと表現されてたらアメリカで子供が戦っても
多少許してくれるのかもしれません。

アメリカで少年少女主人公のバトルコンテンツをヒットさせるには?


ここまでまとめると、アメリカで子供向けバトルコンテンツをヒットさせるために
主人公が「少年少女」であっても構わない場合はあります。


1.
話を盛り上げるためのバトルは必要ですが、
「銃」や「刃物」はもちろん「子供の暴力」はいけない。


2.
「魔法」や「超能力」はOK。
「忍者」や「スパイ」なら仕方ない。
それだけの世界観とリアリティがちゃんとあるのならば。


3.
子供が戦う場面に追い込まれたとしても、
作品としてそれを否定するメッセージが込められてなければならない。


4.
上記設定をやぶってでも、
大人から子供に伝えたいメッセージが作品内に込められている場合。



この条件の中で、「ドラゴンボールZ」なり「セーラームーン」なり
ガンダムW」なりを作るのは結構大変だと思います。
二番煎じにならないようさらなる組み合わせが必要でしょう。
あえてここから最適解を考えるなら、「遊戯王」とか「ポケモン」だと思います。
どちらもゲームが元ですけど、アニメやストーリー表現として、


5.
「子供主人公が召喚するモンスターで、代理戦争をしてもらうこと。」


子供自身が暴力をつかわず、頭を使って戦う形だったら親も文句はでないでしょう。
(召喚される側はたまったもんじゃないけど、むしろ代理戦争とかアメリカらしいか)


もうひとつ、「ジョジョの奇妙な冒険」における
「スタンド」という表現もいいですね。
超能力を視覚化しただけであって、暴力を振るってるのは本人ではありません。
という言い訳が、、、、できないですかね?w
もし「少年少女」がスタンドを使うとしても、スタンドがやられるだけで
本人もぶっ飛ばされるという設定はなくさないといけないでしょうが。





新機動戦記ガンダム W DVD COLLECTION 1

*1:ネットで、ウイングはオタク層に受けたのではなく美少年好きのTeenGirlsに受けただけ。という話もありますが、再放送視聴率20%という数字からすると、たぶんアメリカでそれを取材した雑誌なりTVなりがオタク層を取材してもつまらないからTeenGirlsのところだけを偏向報道したとかじゃないんですかね? 美少年アニメが必ず視聴率取れるわけじゃないでしょうし。