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アニメの制作期間は3分の1にできるのか?

アプリックス、アニメ制作期間を3分の1に  :日本経済新聞
http://www.nikkei.com/article/DGXNASDD150K8_V10C13A8TJ1000/


アニメ制作を効率化できる作業工程を新たに考案した。
制作期間が短くなるため、費用も1億円程度と従来の半分以下にできるという。

通常、数十人から数百人のアニメ制作者で
分業して作画を進めていく工程を見直し、
特定のキャラクターの作画は3人程度の専属担当者で行うようにした。

多数の制作者が作画する場合に比較して、
やり直し作業が大幅に減り、作業時間が短くなる。

アニメに声をふき込む「アフレコ」に使うスタジオや、
映像編集機材、配信システムなどをすべて自社の拠点に集約することで、
作業を効率化した。


アプリックスIPホールディングス株式会社日本経済新聞本紙および電子版で、当社グループによるアニメ制作の効率化実現に関する記事が掲載されました |ニュースリリース
http://www.aplix-ip.com/?p=4413

どういうことこれ?w
作業工程の見直しだけで費用半分になるの?
これだけアニメの歴史が長いのにむしろそんなに非効率だったのか?


あまりに情報が少なすぎて中身教えてほしいところなんだが、
この記事から妄想してみる。

実は日経と、プレスリリースで違う表現になってる箇所がある。

日経「アニメ制作期間を3分の1に」

こう書かれると、薄給のアニメーターをさらに3倍働かせるのか?
できる作画の人の負担を3倍に増やすのか?
それともクオリティを3分の1に落とすのか?
と思いがちだが、プレスリリースで書かれてるのはこう

プレスリリース「アニメ制作 納期1/3に」

そう、制作期間ではなく、納期。
同じ意味合いにも取れるが、どっちの言葉を使うかで視点が違ってくる。
ここでは納期のほうが、幅広い意味合いを持つ。
この単語がひっかかったのだが、
今回の見直しの本丸はサプライチェーンの話ではないだろうか?

サプライチェーン・マネジメント
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B5%E3%83%97%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%81%E3%82%A7%E3%83%BC%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%83%9E%E3%83%8D%E3%82%B8%E3%83%A1%E3%83%B3%E3%83%88

供給連鎖管理とは、物流システムをある1つの企業の内部に限定することなく、
複数の企業間で統合的な物流システムを構築し、
経営の成果を高めるためのマネジメントのことである。
なお、この場合の「複数の企業間」とは
旧来の親会社・子会社のような企業グループ内での関係に留まらず、
全く対等な企業間で構築される物流システムもサプライチェーン・マネジメントと呼ばれる

おおざっぱに誤解ありで言えば、
トヨタが先導してやってるような在庫を極限まで持たず、
必要になるときだけ必要な分、材料が手元に届くようにしたり、
発注からお客の家に届くまでの期間を極限まで短縮しつづけ、
その生産体制を外部の会社との関係にまで広げることだ。

普通は販売のチャンスロスを逃さないよう在庫を持つべきところ、
とことん発注を受けてから生産する。
でも生産のタイムロスが限りなく短いためそこまで待たせることはない。

Appleなんかもジョブズが存命の時から、現CEOのティム・クックによって、
異常なまでに統制の効いたサプライチェーンが築かれていて、
この2社の下請けに対するえげつない要求の話は枚挙にいとまがない。
(もちろん要求をこなせるならブランド力の高い優良な発注元である。)

で、アニメの現場を直接見る機会があった。

だいたい、
原画、
動画、
仕上げ(ゴミ取ったり、線つなげたり、色塗ったり)、
撮影、(全部つなげて、パンやズーム、エフェクトなど)
の流れで、動画や仕上げはアジアに発注することが多いとか。


しかしみんなとても早い。
機械のように正確な線を引いたり、超高速で色塗ったり、
なんでこの特殊能力で給与が安いと言われるのかw

ただまあ、人によって結構差がつくようだ。
ベテランと新人ならわかるが、新人でも1年ぐらいで
仕事の量と質が倍以上に開きがでたりかなり適正が絞られる模様。


んで、制作そのものは24時間体制。
寝てないという訳じゃなく、
流れの前工程が終わってないととりかかれないので、
必然的に夜や、深夜に仕事する人がいるわけだ。

オンラインでいろんな会社とつながってて、
担当ごとの部分部分のデータのやり取りしつつ
いろんなアニメが飛び交う。
同じ場所で1つのアニメをまるごと作ってるわけじゃなく、
いろんなアニメの部分的なカットだけが来ている。
アニメ会社間でそういうネットワーク網が築かれているのだろう。


んで見たり聞いたりして思ったのだが、

やたら待ち時間が長い

だいたい、前工程が予定通りに終わることはなく、
3時間ほどまったり、
時には何時間も待って仕事そのものが入らないこともままある。
*1

そのうえアップロード後のチェックが入るのだが、
これにも1−2時間待ちが当たり前である。
すぐ終わることもあれば、なぜ数秒に満たないカットのチェックで
こんなに時間がかかるのか、現場の人に聞いても要領をえなく
他にも多数依頼してる細切れになった全てのカットを、
同じ時間に全部受けてチェックしてるのか、
延々と連絡が返ってこない時は
時間が不規則すぎて寝落ちしてるのかと疑うw

現場が待ってる間は、携帯いじったり、PCでネット見たり、
ブラウザゲーやったり、力尽きてその場で寝てたりしながら電話で起きる。


制作進行の人とは話したことないので、増田から引用する。

アニメーターが好きなのに、愛することが出来ない理由。
http://anond.hatelabo.jp/20121209165935

”アニメーターは大変だ”、”アニメーターは生活に苦しい”、”お金にならない”

業界で7年間見ていて思う事がある。
申し訳ないが、ほとんどの人に関してそれらは当然だと、自業自得だと。

”アニメーターの平均給与は10万以下”、センセーショナルなタイトルだ。
でもこう思う。「だって10万以下の働きしかしてないし」

ごく一部、頑張っている人には申し訳ない。
が、そんな人たちはすぐに稼げるポジションに就いていく。

気づけば俺たち進行よりお金を稼いでいる。
羨ましいけれども、それもまた当然だろう。

何かを勘違いした新人動画マンたちが、
ベテラン原画勢と同じ生活リズムで働く。

定時に来て定時には絶対に居ることが分かってれば
それなりに仕事を取ってくる。

頑張る人には稼いで欲しいと思う、線が少ない作品を取ってきたい。
社内作品のスケジュールがいい話数を回したい。

技術的な向上心があるなら難しいのだって探す。
パチンコ作品を1%も抜かずに回してあげたい。

けれど、昼の12時にいるかどうかも分からない、
夕方の何時に入るかも分からない。

そんな人間に責任を負ってまで仕事を取ってくる義理までは無いと叫びたい。
それが仕事だからやりはするが、げんなりする事だって多々ある。

イスに座ってたら勝手に仕事が来ると思ってるんじゃないのか。
そんなわけないだろう。誰かが仕事を取ってきてるんだ。
誰かが仕事を発注してるんだ。

落とした責任を負うのはその仕事を取ってきた、発注したデスク、進行達だぞ。

賠償金、請求しないだろ。
その金額が今の給与に反映してると思ってもらっても過言じゃない。

第一、甘えて稼ぐなんて普通の業界でも無理だろう。

甘えて稼ぎたいならなんで東○に入らなかった?ジ○リに入らなかった?シ○エイに入らなかった?京○アニメーション(D○じゃなくて本社班)に入らなかった?

動画に固定給出してる会社は別にこれだけじゃなくて
探せば多くは無いがありはするだろ。
小さな無名の会社でも社員を大切にしてる会社はある。
T○Kやグ○フィニカとかも外からみたらそう見えるけれども?

仮に10時間会社に居たとして机に向かってる時間は何時間だ?

5時間しか筆を動かしてないのに10万以下だと騒ぐなよ。
時給800円コンビニバイトでも、5時間しか働かなくて週2日休んでりゃ、
10万しかもらえないだろ。

逆に、作画スタジオの人間でも”○時には絶対に×さんが居るから”
って言う安心感があればそこに真っ先に電話をする。
そんな安心感のある人たちを何人も見てきた。


(略)


美術は落さない、仮に落としたとしても連絡が先に来る。

仕上も落さない、仮に落としたとしても連絡が先に来る。

撮影も落さない、仮に落としたとしても連絡が先に来る。

アニメーターは落す。連絡無しで落す。原画マンでも、動画マンでも。

進行が連絡しろ? 連絡しても落すじゃないか。

それに美術も仕上も撮影も向こうから連絡が来る。

僕が見たところでは、ちゃんと予定の時間に入って待ってたし*2
給料もその例ほど悪くはなかったので、増田の限りではないが
裁量労働制でこのパターンは破綻するに決まってる。

こんなに待ち時間が発生してたのでは、
裁量労働制のアニメーターが定時に会社に来ることがおかしい。
普通仕事がすぐ始められる時間にわざと遅れて来ようとするだろう。
でも、次の仕事の予定もあるので、
来た瞬間片付けないとホントに間に合わなくなる。
時間通りにいてほしいという人がいても、
時間通りに発注されるわけじゃない。

でも僕の話はどっちかというと仕上げ、撮影なので、スタートである原画がなぜ?
という感じ。

交通渋滞の原因

交通渋滞というのは、上り坂に差し掛かるときや暗いトンネル前の
無意識の減速ブレーキが8割を占めて、
次の車のもう少し強いブレーキとなりそれが連鎖して渋滞となるそうだ。


同じ理屈でアニメじゃないプロジェクトや生産現場の進行も、
前工程のわずか5分の遅れが、
後工程の3日の遅れになるなんてことはざらにある。

こうならないよう、各工程で仕掛り品という在庫バッファをもうけるのだが
全工程と担当員がバッファをもつと、とんでもないコストになり
商品に新しいエンジンを積むとか、
発売後にどんどんVerを上げて修正していく変化には
今ある全部の在庫が消えない限り対応できない。
大半の企業は売上の数%が利益になるので、
在庫バッファをどれだけもつかどうかで利益率が何倍にも違うどころか、
在庫は時代の流れが変わった瞬間、大赤字におちいる危険性を持つ。
それがトヨタAppleが狂ったようにサプライチェーンを統制する理由だ。

アニメ渋滞の原因

上の制作進行から推測するに、
アニメーションの進行がうまくいかないのは、
第一工程の原画と第二工程の動画が落ちることにある。*3
スタートからつまづいてるじゃないか。

これがたんに自宅作業してて、ギリギリまで手を付けない
夏休み症候群にでもおちいってるのなら、
強制的に会社にこさせて描かせたらいいだろう。
優秀な原画かけるなら社員待遇も有りかと思う。

そうじゃなく、いつまでもキャラを設定に似せられず提出できないとか
提出しても作画監督の修正をくらいまくってるとしたらどうだろうか?

また、各話ごとに作画監督が違うのもまずい。

アニメの作画比較まとめ - NAVER まとめ
http://matome.naver.jp/odai/2128927137846541901

同じ草薙素子でこれだけ顔が違ったら、
いったいどの作画監督に似せて原画を描かなければいけないのか?

また、業界がこれだけ複数のアニメを掛け持ちする状態ならば、
原画マンも常に、複数のアニメを手がけてるかもしれない。
優秀な原画マンはどこも喉から手が出るほどほしいだろう。
義理立てして、全部の作品に顔を出してるかもしれない。
複数のアニメそれぞれに、複数作画監督では、
どうやって原画は絵柄を統一するのか。*4
これでは手戻り修正が大量発生しても仕方ないだろう。
そのわずかな遅れが、後工程の待ち時間に影響しようとも、
裁量労働制で被害を受けるのは会社じゃなく現場の人達である。
いや、ほんとに間に合わないレベルだと、会社ごと死ぬ。
でもこうしないと今のアニメは成り立たないわけだ。


、、というのは、

通常、数十人から数百人のアニメ制作者で
分業して作画を進めていく工程を見直し、
特定のキャラクターの作画は3人程度の専属担当者で行うようにした。

多数の制作者が作画する場合に比較して、やり直し作業が大幅に減り、
作業時間が短くなる。

これを逆算して考えてみた。


原画を複数分担させず、最初のボトルネックを徹底して取り除く。
原画の問題を解決すれば、作業が予定通り進みやすくなる。
すると後工程の無駄な待ち時間は大幅に減る。これは大きい。

これはサプライチェーンなどを分かってる人の発想だ。
もちろん、親会社のアプリックスがシステム会社なので、
本業の当然の発想を、子会社化したアニメに当てはめただけのことである。
むしろ、なぜいままでアニメ会社に誰もコンサルしなかったのかと。
まあ、親会社でなければ聞く耳持たないだろうし、
現場を社員化してるいくつかのアニメ会社ではこういう問題おきにくいだろうけど。

さらなるサプライチェーンの追求

アニメに声をふき込む「アフレコ」に使うスタジオや、
映像編集機材、配信システムなどをすべて自社の拠点に集約することで、
作業を効率化した。

本来自社でなんでもかんでも用意するのは、
人件費と家賃、設備維持などでリスクなのだが、
数億で劇場用作れるアニメの規模で、
親会社がそのリスクを吸収できればありだろう。

スタジオを抑えるのも、納品して届けるのもコストなので、
意外とここを軽視して、絵のないアフレコに声優さんが想像で頑張ったり
必ずどこかでトラブったりしても、社内にあるまではギリギリまで
バッファの融通が効きやすくなる。

京都アニメーションなどは全部というわけにはいかないが、こうかかれている。

京都アニメーション - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BA%AC%E9%83%BD%E3%82%A2%E3%83%8B%E3%83%A1%E3%83%BC%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%B3

制作体制

地方にあるプロダクションであり、
近場に外注を出せる制作会社がないこともあって、
演出、作画、仕上げ、美術、撮影、
デジタルエフェクトまでのプロダクション作業を
社内で行なえる体制を構築しており、
外注による分業体制を取るプロダクションに対して、
スタッフのコミュニケーションが密に取れることが特徴となっている。

作画・仕上げ・美術の工程を国内の複数社に委託することは少なく、
編集・音響を除く工程の一部が子会社のアニメーションDoならびに
協力会社の韓国のアニメスタジオ
「Studio Blue(旧:Ani Village)」よってまかなわれている。
現在のところ、他社へのグロス出しは
フルメタル・パニック? ふもっふ』を除いて行われていない。


このサプライチェーンをさらに追求していったらどうなるか?
原画、動画、仕上げ、撮影、自社完結の一貫した制作体制というと、
フル3Dアニメが、まさにそのものである。

しかし日本は2Dアニメが強すぎて、
3Dを求める監督も客も育つ土壌そのものがない。
原作がマンガやラノベイラストとなると、3D向きでもない。*5
唯一、ゲームムービーが気を吐いていたが、ストーリーがががg。。*6

3Dは高コスト?

一度モデリング作ったらそれでおしまいじゃないか、
といえばそういう面もあるのですが

3Dの品質そのものが向上しつづけてるので、
2Dと違って映像が劣化しやすくそれを追わなければいけないのと、*7
ワンカットしかない都市全景でもモデリングを作る必要があるとか、
2Dアニメと同じことを表現しようとすれば
3Dでは絶対不可能な歪曲空間の建物や、飛行機や、人物を表現するのに
特別なモデリングをワンカットごとに作りなおすとかすると、
高コストになります。
カットごとにモデル作るんだったら、全部2Dで描くわと。

でも、問題がそれだけなら、いかに作りやすいノウハウを
これから貯めるかどうかなんですよね。

4Gamer.net ― アニメ制作会社サンジゲンが目指す日本流のフルCGアニメーションとは?――サンジゲン代表取締役・松浦裕暁氏に聞くアニメ業界の現状とこれから
http://www.4gamer.net/games/000/G000000/20121227019/

4Gamer
 アニメーションにおける3DCGの活用では,“コストが割高になる”という問題があると聞きますが。

松浦氏:
 それ,いろんな方に言われるんですけど,サンジゲンに関して言えば,手描きでアニメーションを作るよりもCGで作ってしまった方が安いですよ。もちろん,ロボット部分だけ3DCGにしましょうとか,部分的な使い方をすればCGは割高になるんですが,全部をCGで作るって体制/組織を一度構築してしまえば,実はセル画より断然安上がりなんです。

4Gamer
 そうなんですか?

松浦氏:
 そりゃ,Pixarのような豪勢なフルアニメーションを作ろうとしたら,それは高コストになると思いますが,違うやり方だったり,いろいろな工夫をしていくことで,ちゃんと採算の取れるものが作れます。実際,「009 RE:CYBORG」の制作でもそうですし,サンジゲンが手がけているアニメシリーズの制作でも,キチンとコスト内に収めて作れていますから。

4Gamer
 でも,サンジゲンさん以外でそれをやっているところってあまり聞かないような……。

松浦氏:
 それは,日本のアニメ会社がどこも,フルCGアニメで安く仕上げるって努力を本気でやろうとしなかっただけの話じゃないですか。

4Gamer
 なるほど,そうなのかもしれません。

松浦氏:
 セルルックであることや,リミテッドアニメーション(※)にこだわった理由も,安く仕上げるための工夫の一つですね。実際,セルルックにして,リミテッドアニメーションを作ってみたら,生産性が2〜3倍になった。それって実質半分以下のコストで作れるってことですから,「これだったらしばらくはやっていけるな」と。

※動きを簡略化しセル画の枚数を減らす表現手法


もちろん原画、動画、仕上げ、撮影の基本が自社完結してるので、
普通のアニメ会社ほど、スタッフが分散してないし待ち時間も発生しづらいです。
ゲームとかだとコストかかるけど物語にそこまで重要でない
高度な背景モデリングなんか中国に発注しはじめてますけどね。


サンジゲンが元GONZOスタッフということで、
3Dに力を入れてたGONZOがヒット作を連発してたら、
もうちょっと3Dの普及も速かったと思うのですが、
サプライチェーンとストーリーの面白さは全く関係ないので
3D普及にはどうしても原作や監督ありきですよね。

フル3Dに可能性を感じる監督が増えてきたら、
アニメーターの働き方も変わってくるかもしれません。

そもそもなぜ、自社で完結するアニメ会社が少ないのか?

なぜアニメ会社がこれまでコンサルを受け付けなかったのか?
という問いでもあります。

さかのぼってみると、国産初のテレビアニメを作った
手塚治虫虫プロにたどり着きました。
国産初の手探りなのだからもちろん全部自分達でやってた。
その虫プロが潰れて、サンライズが誕生した経緯にはこうあります。

サンライズ (アニメ制作会社) - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B5%E3%83%B3%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%82%BA_(%E3%82%A2%E3%83%8B%E3%83%A1%E5%88%B6%E4%BD%9C%E4%BC%9A%E7%A4%BE)

1972年、経営難に陥った旧虫プロダクション虫プロ)から独立した営業・制作畑のスタッフが中心となって、有限会社サンライズスタジオという名で創業。


創業メンバーは、虫プロが倒産直前の末期的様相を呈する前に独立した面々ではあるものの、虫プロの内情と体質的な問題を組織内部から見て知る人物達で、この虫プロの企業体質はサンライズスタジオの経営における大きな教訓となり、現在まで受け継がれている。すなわち、サンライズにおける「クリエーターが経営陣に入ってはいけない」という経営ポリシーの確立である。そのため、創業以来、自社スタジオは構える一方で、制作進行管理業務以外の実制作作業は外注スタッフがほぼ全てを担っており、既に約40年の歴史を持つ企業ながら同社一筋のプロパー正社員として監督を務めた人物もいない。これはアニメ制作に必要なスタッフや専門職の大半を自社で正規雇用として抱え続けたために昇給・人件費増加・社内ポストなどの問題が解決できずに労働争議に至って破綻した虫プロの反省でもあり、その様な意味において言えば、サンライズでヒット作を手掛けてその名を知られる富野由悠季高橋良輔などの監督や塩山紀生安彦良和木村貴宏などの著名アニメーターも外注スタッフに過ぎず、クリエイターは携わっても作品単位での企画・制作までにとどまっている。

ちなみにクリエイター側は、マッドハウスを立ち上げる。

マッドハウス - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9E%E3%83%83%E3%83%89%E3%83%8F%E3%82%A6%E3%82%B9

1972年10月、虫プロダクション(旧社)の従業員だった丸山正雄出崎統りんたろう川尻善昭らが、同社の経営危機をきっかけに独立して設立。同社の石神井スタジオのメンバーが中心になった。

今は日本テレビの子会社となったマッドハウスと、サンライズを比べると、
クリエイターは外注という成功モデルを決定づけたのかもしれない。
サンライズの大黒柱であるガンダムを生み出した富野由悠季に印税などはない。

他にも虫プロから派生したアニメーション会社はいろいろあって、
Wikiたどると面白いけど割愛。
京都アニメーション

虫プロダクションで仕上げ経験のある八田陽子が、1981年に近所の主婦らと、タツノコプロサンライズの仕上げの仕事を始めた。

だったりする。


しかし、この漫画を読む限り

ブラック・ジャック創作秘話〜手筭治虫の仕事場から〜 (少年チャンピオン・コミックス・エクストラ)
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手塚治虫が、安い依頼をスケジュール溢れてもまったく断らず、
放送直前までクオリティに妥協しないどころか、
放送後に発売予定がないものを全修正するとか、
病的なほど作品重視で経営なんてしていないことが問題であって
1社完結がまずいわけではない。

クリエイターが経営に向かないというのはそのとおりで、
宮崎駿だって、自分でプロデューサーをかねてたら
いつ完成するかわかったもんじゃない。
でもジブリのように鈴木敏夫の経営と宮崎駿のクリエイターは同居可能だ。

アニメーターの昇給、ポスト問題は?

確かに、薄給のアニメーターが給料を上げていくのは難しい話だ。
これはサプライチェーンに収まる話ではない。
なぜ難しいのかというと、給料が出来高制のままなので
大ヒットしてもアニメーターにお金が降りてこないからだ。

しかし、クリエイターというのは本来
大ヒットしたら印税生活があるからこそ夢を持って望める仕事である。
漫画家や、バンドと違って アニメーターはここが根本的におかしい。


これは前回の記事だが

「従業員」というシステムはもう限界にきている - teruyastarはかく語りき
http://d.hatena.ne.jp/teruyastar/20130812/1376306182

銀行や株主に頼らず、社員が出資して、社員が金利とボーナスを受け取る。
というモデルは、アニメ会社こそふさわしいのではないか?

エヴァンゲリオンを大ヒットさせても
一番儲かるのはガイナックスではなく、製作委員会である。
当然主体のガイナックスもリターンはこの出資比率だけだ。

アニメ会社のリスク分散には良いシステムだが、
クリエイターとして「上がる」ことは絶対ありえないシステム。
これをくつがえす近い先行例も、ヱヴァンゲリオンを作るカラーである。

ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%B1%E3%83%B4%E3%82%A1%E3%83%B3%E3%82%B2%E3%83%AA%E3%83%B2%E3%83%B3%E6%96%B0%E5%8A%87%E5%A0%B4%E7%89%88:%E5%BA%8F

本作品は、近年のアニメ製作に多い製作委員会方式ではなく、スタジオカラー資金を直接調達する自社製作を行っている。また配給・宣伝も大手の配給会社や広告代理店に依頼せず、小規模な会社と組んだ上でこれも自社で行っている。このため、作品の知名度に比べると公開前の宣伝は小規模であり、公開館も封切り段階では85に留まった。

しかし、序の興行収益は20億。
破で40億。
Qで56億。
グッズによる版権収入とか含めると初代エヴァではえられなかった
「上がり」を確実に手に入れただろう。

ヒット確定のエヴァだから出来たことでは?

もちろん、全くのオリジナル劇場アニメに個人が出資なんて赤字の危険がある。
だけど、深夜アニメなど原作ありきで、
業界にいる人ならある程度数字の読めるものが多いのではないだろうか?
アニメーターがこの原作でどの監督や制作がどの布陣なら、
どれだけヒットするか読むのは、難しくないだろう。
あるいはシリーズの劇場版にアニメーター達の優先出資枠を設けるのでもいい。
そもそも製作委員会のエヴァが、自社制作にもっていけたなら不可能はないだろう。*8

出来高制の人たちは、厳密にアニメ会社へ所属してるわけじゃないのだから
クリエイターとして身銭を切って勝負するのが
正しい博打の打ち方ではないだろうか?

そのために数千円でも数万円からでも始められるシステムが望まれる。
数千円でも間違って大ヒットして、何倍にもなって返ってきたら
アニメを作りながら生きていける実感が分かるはずだ。

ほんとは劇場や、TVシリーズという博打よりも、もっと安い博打がうてたらいい。
ニコニコや、Youtubeなどの課金システムはまだその域に達してないのだろうか?
アニメは世界でもわりとニッチで大人気なのにそこの収入もえられてないのだから、
翻訳の問題はあっても、なにかやり方ないのかと歯がゆいのだが。*9

おわり。雑感。

僕はアニメそんなに詳しくないのだけど、、、とは言えないほど調べてみました。
元記事から調べ始めてどうにも根が深い問題で、
一つの単語から妄想しすぎる悪い癖です。
あくまで妄想なので、僕がみたり聞いたりした範囲も限定的だし
いろいろ的はずれな所があるかもしれません。
そこは適当に突っ込んでください。

自分で書いておいてなんですが、トヨタAppleと違って
アニメの在庫というのはわからんですよねw
作ってたら放送したり販売したりするチャンスは有ると思うので。
でも放送時期を1クール逃したら、3ヶ月給料払えないうえ金利が増えます。
映画の公開時期や、漫画原作と連動してたら
原作がネタバレしないうちに追いついて同時に終わりたいし。
もちろん待ち時間作らないのはコスト圧縮に重要ですよ。

納期が3分の1、3ヶ月で1クール作るというのも、
緊急事態になれば今のアニメーションシステムでも
スタッフをいろんな所からかき集めて
全力徹夜で作れば、放送の溜めなしで1周間に1本仕上げることは可能でしょう。
最悪、作画の荒れはDVDで直すとか、総集編を挟むとかになりそうですが
こういう対応ができるのも、
今の分散式アニメーションシステムの利点かもしれません。
そういう状態になるの仕組みは不健全ですけどね。

で、タイトルの『制作期間は3分の1にできるのか?』ですけど、妄想上では
これだけ手戻りと待ちが大きいものをまともにできたら、
「納期は」3分の1にできると思うんですよ。
クオリティに関係なく。
むしろ作画のブレがなくなるでしょう。
ストーリーはどうしようもないですけど。

わからないのは、費用が半分になると書かれてるところですね。
作画もある程度ひとつの作品に集中するということは、
十本同時進行とかしないだけで、
そりゃ集中して片付けたほうが平行するより納期は早いけど、、
そもそも工程待ちのコストは現場の人が払ってたコストなので、
費用に計算されてなかったはず。


待ち時間の無駄な家賃や電気代ぐらいは圧縮できますし、
あと管理費の圧縮とか、伝達コストも減るし、製作委員会の投資金利とかも
圧縮できますが、、半分にまで減るかな?
「配信システム」とあったので、『発注からお客の目に届けるまで』の納期を考えたら
原画以前のスタッフ集めや絵コンテ、撮影完成以後の放送の流れにも
相当な問題があったのかもしれません。


でもアニメ作るのに数十人から数百人かかるのは、
ものすごい伝達コストと伝達ミスが発生しそうです。
誰も雇うリスクをもたないからか
優秀な第一原画が多数の作品をかけもつせいか、
自然とすべての作品に顔を出すことが、
現場の保身になるとかはあるんでしょうか?



アプリックスが今後本当にうまくいったら、
自然と今あちこちつながってるアニメーションネットワークに漏れると思うんですけど
3Dもそうですが、いくら良いシステムでも
話が面白く無いとシステムそのものが叩かれるので最初の何作かは、
割と本気で人選して欲しいものです。
ヒットしたあかつきにはこんな妄想でなく、
ぜひアプリックスに解説して欲しいものですね。











サプライチェーンとか初めて聞いたという人はこちら。
赤字のグループ会社を、製品の質でなく、生産管理でどう蘇らせるか?
という筆者のコンサルを元にした小説です。

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Appleサプライチェーンの話はこっちに少し書いてます。

Apple と日本の家電メーカーのデザインの違いを考える - teruyastarはかく語りき
http://d.hatena.ne.jp/teruyastar/20111001/1317458330

*1:もちろん来た時すでに仕事が入ってるということもある。

*2:というか原画、動画は、、ほぼいなかったか

*3:原画もさらに第一原画と第二原画に別れるらしいのでややこしい

*4:それとも作画監督原画マンがセットなんだろうか? 比較まとめからすると1話分だけ似てたらいいようにみえるが?

*5:ピクサーは大ヒットしたり、宣伝ほどヒットしなかったりで日本では扱い難しい

*6:最初のFF MOVIEが、FINAL FANTASY VII ADVENT CHILDREN だったら時代は違ってたかもしれない

*7:昔のアニメは見れるけど、昔のCGシーンは見れないでしょ?

*8:もちろん元の委員会にいくらかは入ってるかもしれないけど

*9:無声映画でも作る?