teruyastarはかく語りき

TVゲームを例に組織効率や人間関係を考える記事がメインのようだ。あと雑記。

「君の名は。」100億円突破

映画「君の名は。」の興行収入グラフが異常、東宝予想の10倍(200億円)も視野に : 市況かぶ全力2階建
http://kabumatome.doorblog.jp/archives/65875372.html

上の記事みてのちょっとした雑感。
ちなみに「君の名は。」まだ見てないのでネタバレなしです。


100億超えるのはジブリ、ディズニー以外初ということで凄い。これを達成するのは5年後の細田守か、庵野監督がナウシカ2を作るときかなと思ってました。むしろ新海監督は「言の葉の庭」が好きなんだけど、どこまでもモノローグの私小説的で大ヒット作はこないだろうと。「星を追う子ども」を見てさらにその確信を強めたのですが、土下座して手のひら返したいですね。


新海作品は「ほしのこえ」から「言の葉の庭」まで見ていてそれぞれの感想(こっちはちょっとネタバレぎみ)としては


ほしのこえ 予告編
25分とはいえ、これほぼ1人で作ったの? すげえw
でも1人で作るならもうひとつなメカ部分は省略しても成り立ったかも。


雲のむこう、約束の場所 パイロット版(200秒)
背景美術や作画、カメラワーク、音楽などがさらにレベルアップした初の90分長編と、とてもワクワクした予告編。得意じゃなさそうなメカもでてこないし順当な進化なんだけど、、どこまでもモノローグ中心でほしのこえと同じような私小説的な作り。気持ちのいいカタルシスで終わるような映画を期待してしまったのは僕の勘違い。モノローグ私小説で展開が2転3転するわけでもなく90分もたせるのは厳しいと思うので60分ぐらいに収めるとよかったかも。



「秒速5センチメートル」予告編HD
さらに進化をとげる背景と撮影美術。さらに20分のつながりある短編を3つという方式。予告編をみたときこれはほんと上手いと思った。どこまでも私小説ならばそれが一番いきる20分を、3つつなげる!! これが新海監督が出した答えか!…ってあれ?

気持ちよく終わらない。新海作品にハッピーエンドとかないのか…
俺はこの映像美でハッピーエンドが見たいのに!!

まあ私小説的だし、この主題歌にインスピレーション受けての作品なら仕方ないのだけれども。なんというか、デフレ時代の閉塞感漂う日本で、映画館へいってまで閉塞感を感じたくはないかなあというのが個人的印象。映画館は非日常であってほしいからね。好景気が続いてるバブル期とかなら逆にこういう映画のほうが非日常っぽくていいかも。



新海誠『星を追う子ども』予告編映像
116分。これはやっちまったな。新海作品で一番オススメできない作品。

その作画技術や作品評価からすでにポストジブリと持ち上げられてきたのを意識したのか、私小説を捨ててほんとにラピュタっぽいストーリーにチャレンジした作品。が、ジブリに似てるシーンが多いわりに、どれもジブリを超えてないというか、そこにいたる話の構成やキャラの躍動感、カタルシスはあまり感じられない。宮﨑駿は東映時代からルパンや、ハイジや、未来少年コナンとか、いろいろノウハウ積み上げた上でのナウシカ、ラピュタだったのだけど、「星を追う子ども」は自分たちの力でどれだけジブリを再現できるか? の土台がない実験作のようにみえた。

新海監督のここまでの私小説土台を活かすならば、同じジブリでも宮﨑駿のラピュタやもののけ姫ではなく、近藤喜文の「耳をすませば」だろう。「耳をすませば」を新海監督の背景美術で彩ってちゃんとカタルシスのあるハッピーエンドに落とすことができたらいいのに。



映画『言の葉の庭』予告編映像
これは文句なし。ここまでの作品で一番オススメ。新海監督私小説の完成品といっていいでしょう。いままでたりなかったキャラクターの色気も充分あってGood。45分という尺も丁度いい。主題歌もガッチリはまってる。なによりずっと欲しかったハッピーエンドがあるw そうだよ、こういうのがみたかったんだよ!!「ほしのこえ」から11年かかってやっと自分が見たいものを作ってくれた嬉しさがありました。


ただまあ、「ポストジブリ」「ポスト宮﨑駿」は過大評価だよなあ。どこまでも私小説的な人だから大衆受けする作品は細田守監督に期待しよう。とか思ってたのに、「君の名は。」どういうことだ。。。一体何があった? いつものように半数の人は「自意識過剰気持ち悪い」とかいう映画じゃないの? 撮影時間は朝焼けと、夕焼けしかないんじゃないの? 誰がどうやって新海監督を大衆受けする監督に変えてしまったのだ? などととまどってます。



Z会 「クロスロード」 120秒Ver.
で、これです。このCMは凄く驚きました。

言の葉が2013年でこちらのCMは2014年なんですが、こちらは初めてキャラクターが背景に負けてない。今までは背景を活かすためのキャラクターのような感じがしたんですが、この躍動感、ちょっとしたしぐさ、表情の豊かさとその差分など、非の打ち所がないCMです。これで映画作ったらいいんじゃないかと思ったら、「君の名は。」のキャラクターデザインがこのCMと同じ田中将賀(たなかまさよし)とタッグなんですね。東宝のプロデューサーが可能性を感じたのは過去作品よりむしろこのCMなんじゃないでしょうか? このCMレベルで映画が作れたのなら100億も納得です。

「君の名は」200億突破するか?

最初のリンク先では、「過去の大ヒット作をなぞるこの勢いなら200億もいくのでは?」と、話題になってますが、予告から見るに「君の名は」高校生の男女体が入れ替わるBoyMeetsGirlな映画でしょうか? メインターゲットが中高生カップルという話も聞いたので、それがここまで大ヒットするのも常識ハズレな気がしますが、果たして千と千尋やアナと雪の女王のようなロングラン上映になるのでしょうか?

とはいえ、300億の「千と千尋」や250億の「アナと雪の女王」はちょっと例外なんですよね。僕から見るこの2つの共通点は、「絵本にしても成り立つ教育上良いお話」という点です。

礼を欠いて自分勝手に行動してたらブタになるよとか、親がいなくても子供視点からちゃんと働くことを覚えて、困難を乗り切っていくんだよとか、アナにしてもふさぎ込んで傷つく必要はないんだよとか、家族も世界も女性として生きていくことを全肯定してあげるから自信もっていいんだとか。それをジブリやディズニーがAAAクオリティで仕掛け大人の鑑賞に耐えうる絵本というのが、その2作がロングランになった土台かと思います。

なので「君の名は」の場合は予告編見る限り「絵本にしても成り立つ教育上良いお話」ではないでしょう。200億いくには何か別のベクトルが必要かと思いますが、、、Z会のCMなみの完成度だとしたら、どこまで伸びるのか楽しみですね。