teruyastarはかく語りき

TVゲームを例に組織効率や人間関係を考える記事がメインのようだ。あと雑記。

「郵便ポスト」の時代を終えて「宅配ボックス」へ転換するには

この辺の話題に関していくつか考えてみました。

「アマゾン多過ぎ」ヤマトドライバーから悲鳴続出、「利便性」が生んだ過酷な実態 - 弁護士ドットコム
●ネットショッピングでドライバー疲弊
●終わらない「再配達」、コンビニ配送は「オアシス」
●業務効率でカバー図るも「現場はパンク状態」
●「送料無料」を求める消費者


佐川急便が年末の荷物量増加で遅配多発→練馬営業所は音信不通に - Togetterまとめ

痛いニュース(ノ∀`) : 【動画】 不在にブチ切れた佐川配達員、客の荷物を投げる蹴る - ライブドアブログ


荷物を投げる蹴る!! 佐川急便配達員!!


この動画はいったい何があったのでしょうか。
5回ぐらい依頼主指定で再配達したけど不在で、依頼主に「遅いからもう近くのショップで買ったのでそれ返品して」とでも言われたんですかね?
どういう理由があっても荷物を投げるのは擁護できないですが、それだけ12月の現場は大変な状況のようです。


最初の記事で「再配達」に言及されてますが、これはかなり非効率なままなもよう。

報道発表資料:「宅配の再配達の削減に向けた受取方法の多様化の促進等に関する検討会」報告書の公表について - 国土交通省
http://www.mlit.go.jp/report/press/tokatsu01_hh_000234.html

宅配再配達による社会的損失
再配達により、以下の社会的損失が発生していることが判明。
・営業用トラックの年間排出量の1%に相当する年約42万トンのCO2が発生
(山手線の内側の2.5倍の面積のスギ林の年間の吸収量に相当)
・年間約1.8億時間・年約9万人分の労働力に相当

労力の2割が再配達なので、これをなくせたらいくらかマシになりそうですね。
ほとんどの家庭に郵便ポストはありますが、これは「はがき」や「A4封筒」「新聞」あたりを前提としたもの。

ネットショッピングの拡大で、宅配便の利用が増えている。国土交通省によると、2015年度の宅配便は37億4493万個。この10年間で約8億個(約27.3%)も増加した。

しかし今はもう郵便ポストではなく「宅配ボックス」の設置が必須となりそうな時代です。でも誰も自分では設置しないですよね。余計な出費はしたくないし、設置も面倒そうだし、「なくても特別困ってない」ですから。でもあれば利用者にも便利なのでAmazonさんに背中を押していただきたい。例えば、

宅配ボックスで受け取るとAmazonポイントが付く

というのはどうでしょう?
メリットとして

1.ポイント付与の誘導でAmazonの利用者が増える。

2.Amazon配送を扱うヤマト、日本郵便の再配達が減る。

3.Amazonと配送業者のコスト交渉が緩和される。(Amazonは送料無料から、2016年4月に2000円以上送料無料となった。実質ヤマト、日本郵便との交渉で送料支払いをアップしてるか、少なくとも細かな配送負担を減らしてると思われる。状況によってはまた完全無料に戻れるかもしれない。)

4.すっぴんで扉を開けたくない人、寝起きの人、引きこもりの人、トイレシャワー中でも対応可能。

5.配送側にしても、在宅でもボックス利用したほうが余計な待ち時間を取らず配達が効率化される。

6.Amazonをメインに扱わない佐川や中小の運送業者にとっても、宅配ボックスの設置誘導はありがたい。

?.楽天、ヤフーショップ、ヨドバシもポイントで追随して、一気に宅配ボックスが普及するかもしれない。

などがあげられます。


実は過去に近い取り組みはしてた

2014年10月の記事ですが

Amazon、再配達減らす次世代大型ポストを販売 日本郵便とナスタと共同開発 - ITmedia ニュース

これですね……しかし、

高い!!!
小さい!!!
コレジャナイ!!


アイリスオーヤマ ポスト ネット通販ボックス H-NB13

アイリスオーヤマ ポスト ネット通販ボックス H-NB13

現在「宅配ボックス」で検索して出て来るベストセラーはこっち。
プラスチック製ですがこれで利便性が上がってポイント付くならありでしょう。
レビュー見ても宅配ボックスとして使って高評価ですが、これ「鍵」がついてないただのボックスですね。


小さな南京錠がついた折りたためる宅配ボックスはこっちになります。
これは中に100均で買えるようなハンコ置いといて、配送業者がハンコ押して鍵かけるタイプですね。ボックスごと持っていかれないように簡易的なワイヤーもついてます。折りたためるのも高評価かと。マンションに備え付けられてるコインロッカータイプなどに比べればどっちにしろ完全な防犯は無理ですが注文時に1万円以上の品はボックスに入れない指定とかできたらいいですね。

個人的にはプラスチック製でいいので頑丈で鍵が付いてれば、適当にワイヤーつけますし。


例えばこちらはバイクの後ろにつけるボックスですが、ちゃんと鍵がついてます。バイク用なので宅配ボックスに使えるか、鍵無しでフタを閉めて置けるか、配送業者がロックできるかどうかわかりませんが、これで色や形が宅配ボックスとわかりやすく、両脇に2Lペットボトルを挟めるような設計にして風で飛ばないようにとかできるといいですね。


Amazonがナスタと共同開発したボックスは元々5万円というのが高すぎなので、今度はアイリスオーヤマと共同開発して2000円きった価格で提供してほしい。なんならプライム会員には無料提供とか、半年で15回以上Amazon利用する人にプレゼントしても2割の再配達コストを考えるとすぐ元が取れるかもしれません。

Amazonは宅配ボックスシステムにもっと投資してもいい

Amazonの純利益が過去最高に 成長経営で顧客満足度を極限まで追求 - ライブドアニュース
http://news.livedoor.com/article/detail/11917734/

Amazonは年度の利益を残さず全部投資につぎ込んで大きくなる会社です。自社販売システム、Kindle、AWS、自動仕分けロボ、これからのドローン配達、自社物流システム、無人コンビニなどなど。このお金の一部を宅配ボックス開発へ向けてもいいですよね。


もちろん、ヤマトとアイリスオーヤマで開発してもOKですが、その場合Amazonポイントじゃなくクロネコポイントになるでしょうね。クロネコのポイントはどう使っていいかわからないので、Amazonギフト券とかにして欲しいところですが。

折りたたみ式を1000円ぐらいで作れないだろうか?

もし、折りたたみ式の宅配ボックスを大量生産で1000円以下のコストで提供できたら、ヤマト単体で宅配ボックスを配布していく可能性もありですね。不在が多い家から順に取り扱い方を説明して、配達員が2分ぐらいで設置して以後はボックスへ配達するようにできれば。折りたためないプラスチック製だと車にいくつも積めないですが、折りたためるのなら配達のついでに設置もできそうです。


アイリスオーヤマが上記の価格で通販ボックスを提供しているなら1000円とは言わないまでも、再配達コストより折り合いのつくポイントもあると思うのですがどうでしょう。


他の緩和策です。

自宅、コンビニの2段階受取

自宅に不在だったとき、あらかじめ登録した近くのコンビニへ流すシステム。Amazonの注文時に指定できるといいですね。もちろんコンビニじゃなくヤマト営業所でも可。単身者が20時に家へ帰れなかったときコンビニに届けたメール通知がくれば、帰りにコンビニへよって荷物受け取って家路につくと明日再配達してもらわないでも、その日に荷物が受け取れます。

17-23時配達

「荷物が多くて、まとまった休憩が取れません。12月は、お歳暮、クリスマス、おせちと1年で一番忙しい。朝7時半から夜11時くらいまで働いています」

繁忙期ゆえの忙しさということもありますが、普段の再配達が21時までやってることを考えても日常的に長い労働時間がうかがえます。

しかし、単身者にしろ共働きにしろ、何か用事や趣味がある主婦にしても昼はいないことが多いですよね。会社への配達は昼でいいですが、家庭への配達中心時間は夜のほうが効率よくないでしょうか? 23時になると深夜手当もつきますが、17-23時なら6時間労働で1時間の(労働法的な)休憩を挟む必要はありません。

昼間8時間で配りきれない配達を、夜の6時間でできるわけがないのですが、地域によってどれだけ効率があがるか試験的にやってみてもいいかと。働く時間が変わって困るドライバーもいるでしょうが、給料が変わらず働く時間が短くなるなら喜んで夜に働くドライバーもいるかもしれません。


もし宅配ボックスが全国的に普及したあとなら、車も少なく渋滞のない「深夜配達」が一番効率よさそうではあります。

まとめ

やはりインフラとして足りてないのは「宅配ボックス」であって、もう「郵便ポスト」と「手渡し」ではどうにもならない通販社会になってきました。しかし、これは運送会社の問題であって、Amazonで注文する利用者としては無くても何も困らないし、ボックスなんて使ったこと無いからその便利さも実感できません。例え2000円や1000円になっても買う動機がないので普及はまだまだ遅れそうです。なのでこのインフラを後押しするにはAmazonなりヤマトなりが協力して設置誘導する必要があるかと思われます。

「郵便ポスト」が「宅配ボックス」に置き換わって、Amazonで注文するときに「深夜配達OK」にチェックする。寝る前にTwitterで気になってた商品が朝起きて届いてたときが物流革命のひとつかもしれません。