teruyastarはかく語りき

TVゲームを例に組織効率や人間関係を考える記事がメインのようだ。あと雑記。

世の中は全てボードゲームだよ


世の中は全て自己責任だよ - 遥か彼方の彼方から
http://d.hatena.ne.jp/tek_koc/20090117/1232198099



運とか、周りの環境だとか、
そういうものも全部が自分の責任だって言うのなら、だけど。


僕はよくカタンで遊んでいます。
あのゲームで負けたのは、自己責任だ。
上手な取引や、心理戦、思い切った賭け、理論に基づいた冷静さ、
そういったものが要素としてはすごく大きいゲームです。
でも、2つのサイコロが出す目によっては、どうしようもないってことはある。



ゲームの終盤、勝ち組と負け組が見えてきた段階になって
「あのときこうすればよかった」というのは確かに出てくる。
結果論でなら何でも言えるからです。
先に家じゃなくてあそこで工場を建てれば勝てていた、とかね。*1
セオリー通りにやっても、それがかえって裏目に出ることはたくさんあります。*2



「あの時に、あれをしなかったお前が悪い」というのは、いささか厳しい。
机の引き出しを見るまで、猫が青いできそこないのロボットか、
黄色い優秀なロボットかわからない。*3


未来が訪れるまで、何をするべきだったか何てわからない。
だけど何をするべきだったかわからなかったから、何もしなかった、
ときの結果は受け容れないといけない。
何をするべきかはわかってたけど、めんどくさくて何もしなかったのも一緒。
そこからどんなに声高に政治を訴えても世の中何も変わらないし、
その訴えてる時間で余計ジリ貧を引き寄せてしまう。



勉強などの自己投資をしないから悪かったんだろ、と叫ぶ人たちがいる。
でもそれじゃあ、どこぞの世紀末救世主列伝のように経済も何もかもぶっ壊れて
胸に7つの傷のある男だけが価値のある時代が来たらどうだろう?
情報収集ばっかで一度も活用しようとしないから
お前の人生はもう死んでいると言われるかもしれない。



運だって、どうしようもない。
僕は今、社怪人なのですがおそらくこんな時代だから
常識に縛られると困ると思います。
それならもう、言葉だけでも発想だけでも先に
「僕は運が良い」としか言いようがない。
もちろん、仕事もやるだけやります。
お客さんが喜ぶことを考えます。
会社が喜ぶことを考えます。
みんながやってないことを考えます。
自分の仕事について必要な事はどんどん勉強していきます。
それでも「あと20年生まれる時期が遅かったら、俺はバブルで成功した」
という*4ギリギリな人は出てきます。



ボードゲームですら運に左右されるんです。



それに、愚かさだって仕方ないですよ。
勉強しなかったのが悪い、うまく立ち回らなかったのが悪い、
早めに行動しなかったのが悪い、確かにそうかもしれない。



でも、みんなが上手く生きられるかっていうと、そうじゃないですよ?
初めてプレイしたゲームのコツをいきなり見つけられる人もいますし、
上級者が業界のセオリーを知ってるがゆえ、
初心者に業界ではありえない発想を取られてやられることもあります。



世の中に自己責任はありえない、とまでは思わないです。
自業自得ってことも、あるんだと思う。
運の絡むゲームで、100回やって100回とも負けるのは
奇跡的確率でありえないけど、
1回も挑戦しないで、ゲームに勝てなかったということは充分ありえる。



実は、何でもかんでも自己責任だって一生懸命やる人は、
運の左右するゲームでも必ず勝てるんだ。
モノポリーでも、カタンでも、何でもいい。
必勝できる。
特に、ルールを聞いたばかりの奴相手に。




カタンは、4人のうち誰かが10点を先に取るボードゲーム
資源が増えるほどその人は圧倒的有利になる。
工場がたくさん建ったら、
家を2つしかもってない人にはもう太刀打ちできない。
勝ち組と、負け組に分かれたらまず目が当てられない。



しかし、勝ち組が9点をもって
なおかつ何周しても最後の1点が取れないことがよくある。
負け組3人が協力した場合だ。
盗賊が毎回トップをうろつきまわり、資源は封鎖され、
負け組の独占でもっていかれ
取引には応じず、資源もバーストし、道路を分断される。
ここで何度も大逆転が起こる。



ゲームは1対1の世界ではない。
勝ち組は、勝ち組であることが弱点にもなる。
負け組は、負け組であることが利点にもなる。
ここで負け組が手を組むと世界が変わる。



ただし、これは負け組が協力した場合だ。
出し抜こうと疑われたり、*5
自分の利益優先で周りが見えてないと
あっさり勝ち組がゴールを納める。
僕はその勝ち組の策を指摘して、仲間2人を協力体制にもっていくのが楽しい。



さっきの必勝法だけど、ほんとにカタンでも可能な必勝法がある。


それは「すぐ諦める奴」を無理やり参加させることだ。

これだけで世界のルールは崩壊する。



普通はみんなルールに乗っ取って智略を駆使していくのだが、
「すぐ諦める奴」は、負け組に入り出すとゲームを放棄するようになる。
勝ち組との交渉で、ちょっとでも自分が得するように見えたら応じるし、
勝つつもりがないから3人で協力するという発想もないので、
ゲームへの影響力がなくなる。



勝ち組にとって、これはものすごく都合がいい。
だって負け組2人じゃ勝ち組を止める可能性が極端に減るからだ。
これだと逆転は起こらない。



この場合、勝ち組は最初から「すぐ諦める奴」を標的に狙う。
彼の気分を害さないようにうまい口車で搾取する。
負け組の2人は4人でゲームをしてると思ってるが、
実際最後まで諦めないプレーをしてるのは3人と、搾取される人が1人。
そして負け組の2人はその道徳心から、諦める奴を狙おうとせず、
むしろ助けようとまでする。
そうじゃないと、(平等な)ゲームにならないからだ。



対照的に勝ち組はゲームで切磋琢磨するのを楽しむのではなく、
自分が10点を取れるのが楽しいと思うので
「すぐ諦める奴」を心理的に保護するような言葉を吐く。
「ここはこうやるんだよ」
「君にはまだ無理かもしれないね」
「こういう常識があって、、、」
「違うよ、そうするとこうなるから負けちゃうよ」
など、常に相手の保護をしてるようで、自分の頭で考えさせないように仕向ける。
もちろん勝ち組が負けるようなアドバイスは絶対しない。
すでにこの時点で同じプレーヤーとして見てないどころか、
「すぐ諦める奴」も自分は守ってもらう程度のプレーヤーなんだと受け容れる。
勝ち組や負け組、上級者初心者に関係なく、
同じプレイヤーのアドバイスを言われたまま受け容れる時点でおかしいのだけど、
誰もそれに気づかない。*6



こんなものはもう、カタンではない。
すぐ諦める奴も、モラルを大事にする奴も、ゲームにならないことを身にしみて
参加することをやめてしまう。
卑劣な勝ち組は、自分のルールで勝ち逃げできる。
そしてプレイヤーのいなくなったゲームの世界は崩壊して、誰も勝てなくなる。



ここで誰が悪いのかという議論をするつもりはない。
しかし、実際のプレーヤー達はゲームの世界を守るために現実的な手を打つ。
それは「すぐに諦める奴をゲームに参加させない」ことだ。



プレーヤー3人が出した結論は

「勝負を諦めるアイツが、世界のルールを崩壊させる原因だ!」と。


、、、人生はボードゲームと同じで次がある。
明日がくる。
来週もある。
来月も、来年も、いつだってやり直せる。
勝つ気があれば見えなかったチャンスも転がってる。
仲間を見つけ、協力するなら打てる手はほぼ無限に広がる。
悔しいなら次に頑張ればいい。
勝ち目がないから退屈とか、そんなことで世界を崩壊させる訳にはいかない。



スタンダードカタン
スタンダードカタン
おすすめ平均
stars評判通りの傑作ゲームです!
stars暇つぶしでは済まないゲーム
starsボードゲームブームの火付け役
starsボードゲームはじめました。
stars2人でもできる



ポータブル カタン
ポータブル カタン
おすすめ平均
starsこじんまりさが出てしまいます。
starsこれは凄いゲームです!!
starsあのカタン

*1:家を建てたところの資源がもらえる。もってる家を工場にするとそのまわりの資源が2倍もらえる。

*2:みんな裏かきまくりなので、何がセオリーなのやら

*3:あれ?どっちもいないぞ?

*4:いろんな意味で

*5:最後は誰かが勝つんだから疑わざるを得ないけど

*6:勝手に才能や天才とかラベルを貼って、自分がオリジナルの可能性をもつプレイヤーなんだという意識がない