teruyastarはかく語りき

TVゲームを例に組織効率や人間関係を考える記事がメインのようだ。あと雑記。

「会社員」の世界はやばい

「会社員」の世界はそんなにやばいのだろうか
http://anond.hatelabo.jp/20121013150514

ふつうの勤め人ってこんな難しいこと考えねえと仕事できないんだろうか。

それなりのあいだはてなにいて、
ホッテントリ読んだりなんだりしてるんだけど、なんかすごい。
交換不可能性がどうこうとか、
それ働く人間が考えなきゃいけないことなのか。
(略)

俺は現場からの叩き上げで、そのままその業種で自営になった人間だから、
勤め人の実際というものを知らない。
自営ともなれば、ときには寝食投げ打ってでも
働かなければならないときもあるし、
トータルでいえば負担はおそらく勤め人より重い。
上がいない、という気楽さはさておき、
それだけに自分の手で切り開いていかねばならぬ局面、解決すべきことは多い。

さておかれては困る。
人の精神衛生では「上がいない」というのが一番重要な要素だ。
「自分の権限で失敗する」のが経験値を一番多く積める。

ゆえに次の修正がしやすくなる。
他人である上司のジャッジで失敗した場合、部下は反省のしようがない。
部下も無理やりなんらかの至らない原因を考えることもできるが、
枝葉の話なのであまり意味はなく鬱を引き寄せるだけだ。

プロデューサーとかディレクターとか、C なんとか O(オー) みたいな
ジャッジ権限持ってる人より、持ってない人たちが多数なので
不景気が続き世の中が変わっていく今はずっと不安なんだよね。
ほとんどの「会社員」は会社にしかれた看板とサポートありきで
自分の判断で商売を開拓したという経験に乏しい。
だからもし今、会社が潰れたら、「自営」できない人ばかりだ。
自分でジャッジしてきた経験が無いのだから
似た業種の仕事でもある意味ゼロからの再スタートになる。
(転職できたらいいんだけど)

とすると、

別に商売始めるのに遅い早いはないんだからゼロからで当たり前では?

と言われそうだけど、
やはり長年ジャッジのできない所にいると牙を抜かれるもので
よほど技術力とか営業人脈とか何か同僚より飛び抜けたものを持ってないと
自営なんて自信は持てない。
ならばもっと効率良くなろうとライフハック記事は不安を埋める要素となる。

解決すべきことは多い。
しかしそれは決して「難しい考え」を要求するものではない。
必要なのは熟慮することと、人に当たること、
そしてリスクを把握したうえで実際に行動してみることだけだ。
(略)

必要性は目の前にぶら下がっている。
なにを学習すればいいのかは自明だ。

では、会社としても個人としても前にすすめるよう
新しい企画や商品やプロジェクトを考えたり
それを提案すればいいかというと「余計なことはするな」だ。
ジャッジ権限がない以上、どこのプロジェクトに会社のリソースを割くかは
当然だが役員が決めることで、従業員の役目ではない。


「必要性」はジャッジする人にしか手が出せない。
また、会社の理念とそこで働く人の理念が一致してることは稀だ。
目指す方向性が少し違うのに妥協して一緒に仕事してることが多い。
従業員それぞれが「必要性」を持って伸びるには
その従業員分のハイリスクやコストを会社が背負うことになる。


だが、ほとんどの会社の当面の目的は「会社が存続すること」である。
賭け金を連続ダブルアップすることではない。
もし小さなベンチャー企業のように、
その仕事の成否だけで会社の生死が問われるのなら
それはもう全員に「必要性」が降り掛かってくることだろう。
会社が潰れるぐらいのリスクが一番成長するに決まってる。
でも普通の会社はそうじゃない。
まず「存続」次に「安定」だ。
リスクなんてとんでもない。

「会社員」の「安定」の仕事

これまでと同じ事を、同じやり方でやる。これに尽きる。
世間ではもっと効率のいいやり方が編み出されたとしても
そのやり方のみんなの学習コスト、説得のコスト、
あるいは変更のリスクなんてのもあって、
なかなか仕事のやり方は進化しない。

もっともっとリスクを減らすため、ジャッジ権限を遠くへ複雑化する。
鉛筆買うのにハンコが3つ必要だったり、
企画の承認だけで半年たらい回しにする。
たぶん過去の失敗例全てにリスク対策をした結果であって
勝手に小口現金が減って帳簿が200円合わなかったり、
企画通りにくいから失敗する企画も激減してよかったよかった。
失敗が減れば上も責任取らないでいいしね。
みんな責任とりたくないよね。


こう書くと経営者が頭悪いみたいだけどそうじゃなくて、
会社がある程度の規模になると、
目が届かず、コミュニケーションがかなり複雑になって
小さなリスク管理が経営者から判断できないようになる。
これは小さなベンチャーと違って
全員が社長と同じ志を持つわけではないというすれ違いからくる。
(かといって思想を強制的に教育するのはより不健全だったり)

じゃあ大きなリクス管理だけしてればいいかというと
小さなリスクがシロアリのごとく本体を蝕んでいくこともあるもんで
そういうのを全部塞いでがんじがらめにしないと
そもそも経営ができないという誰もが通る道だったりします。


その安定を求めた古いやり方だとそのうち他社に負けそうなんだけど
会社存続のためコストもリスクもかけたくないので動けない状態。
これの何が怖いかというと
「現場」でみんな「必要性」が目に見えてるのに
「手を出しちゃいけない」という指令が下ってること。
何をやればいいか自明でも、古い非効率なやり方でやらないといけない。
これが「会社員」。

(ホントにそれで安定な会社もあるので必ずしも否定的な意味ではない。)

多くの仕事は、たとえ大卒でなければなれない職業であろうとも
「働きはじめてから」覚えるものだろう。
だとすれば、それは決して人間ができないようにはできていない。
にもかかわらず、人が仕事に関して自分の存在意義をからめて考えたり、
あるいは24時間すべてを有効活用して
仕事にかからなければならないのだとしたら、
それは、人間の限界を越えた仕事が質量ともに
個人のうえにのしかかっていることを意味するだろう。

ジャッジができず、必要性へ勝手に手が出せない会社員なら
自分の存在意義を絡めて考えこむのは当然かと。
少しでも時間を有効活用して
なんとかジャッジ判断できる役職へ抜け出したい。
それは、人間の限界を越えた仕事があるわけじゃなくて、
自分の能力を最大限発揮できないことに対するストレスと
本来やらなくてもいいはずの仕事で残業が埋まるストレス

2重にかかっているから。

「生きてるだけで丸儲け」の意味 - teruyastarはかく語りき
http://d.hatena.ne.jp/teruyastar/20111024/1319401678


人間の最大の幸福感、「充実している」、「生きている」とは、
自分の能力が最大限発揮されてるその「瞬間」のことである。

この定義で言えば、ジャッジできない人は自分の能力の発揮より
周り(会社)に合わせることにばかり気を使い幸せになりにくい。

もちろん会社が上向きだったり、
googleみたいな20%ルールというかなりでかい投資してたり
風通しが良く権限が結構降ろされたタスクチームであればいい。

ミクロではどんな仕事でもジャッジしているのだから
仕事を気楽に考えれたらいいのだけど。
マクロ判断が失敗してるとやはり人生考えちゃうかなあ。

なぜ低学歴?の人より、大卒のまともな企業に勤めてる人間が仕事に悩むのか

俺自身は低学歴で、かつ低学歴でもやれる仕事で今日まで食ってきてる。
たぶん明日も明後日も、おそらく1年後も
同じ仕事をやって食っていっていると思われる。

そういう人間と、たとえば大卒で「まともな」企業に勤めてる人間では
それほどに「働く」ということに関して
考えなければならないことの質が違うのだろうか。

それは大卒だから。
日本の大学は「良い所に就職すること」を教えてくれるのであって
「起業すること」やそのための学びは基本的に教えてくれない。

だから大学からはジャッジのない「安定した会社員」しか
選択肢が見えない。


「仮に」でいいから「どこかで起業する」というキャリア計画は
高校の進路指導で一度作っておくべきだと思う。
結果、会社員でも公務員でもうまく収まってくれたらそれはそれで構わないので
選択肢や学びの上で必ずその可能性を考慮したうえでの進路というのが
これからますます大事になるんじゃないかと。

最後、

僕らは24時間効率的に生きなければいけないのか?

そしてあの強迫的なライフハック記事の群れだ。
人間の24時間は絶対的に有効に活用されねばならぬ。
人間には無駄はあってはならぬ。
無駄があるのだとしたら、それは次なる有益のためでなければならない
とでも言いたげな一連のライフハックどもだ。

これ、多分トヨタのせいじゃないかとw
カンバン方式やジャストインタイム、
乾いた雑巾をさらに絞るような極限の効率化で1兆円の利益を叩き出し
その教えが車以外のいろんな企業にも伝播して、
日本の働き方の教科書みたいなものになったのではと。


でも、カンバン方式とか、ジャストインタイムっていうのは
「必要な物を、必要な時に、必要な量だけ生産する」という哲学なので
これはまさに、元記事増田さんの言うところなんですよね。

多くの仕事は、たとえ大卒でなければなれない職業であろうとも
「働きはじめてから」覚えるものだろう。
だとすれば、それは決して人間ができないようにはできていない。
(略)

解決すべきことは多い。
しかしそれは決して「難しい考え」を要求するものではない。
必要なのは熟慮することと、人に当たること、
そしてリスクを把握したうえで実際に行動してみることだけだ。
(略)

必要性は目の前にぶら下がっている。
なにを学習すればいいのかは自明だ。

必要なときにライフハック記事を「検索」すればいいわけで、
必要ない時に読むほど時間効率の悪いことはない。

もちろん「必要性」に手を出せない「会社員」はつらいけど。


トヨタが悪いというより、
トヨタみたいな効率の良い企業の本質を真似れない企業(や人)が
トヨタと努力や根性で競争することが悪いようですね。


まとめ


仕事があまり順調でない、かつ改善の権限がないときに
ライフハック記事にハマってたらそれは空回ってる証拠。

仕事を立て直す、転職の準備を始める、起業の準備を始める
などの選択肢をやる「必要性」が目に見えています。

60歳からはじめても畑違いの分野で一流に上り詰めた人はいるので
どこからでも起業を含めたキャリアパスを再構築できます。


「ヒマ」だという口癖や、
なんとなくTVやネットやゲームに時間を潰している場合、
あなたにとって「本当に必要なもの」が見えてない状態です。

それらを観るなというわけじゃなく僕も無駄な時間が大好きですが、
必要のないインプットをむやみやたらに取り込んでこぼしていくよりも
「まず何かアウトプットをひとつ決めて」、
そのアウトプットのために、それを常に考えながら
TVやネットやゲームをしてみてはどうでしょうか?
自分のやりたいことがひとつ決まった上で
やる無駄ならもっと面白いと思うんです。


「そのアウトプットが一番面白い」という形こそ
「本当に必要なもの」が見えている状態。
アウトプットファーストです。