teruyastarはかく語りき

TVゲームを例に組織効率や人間関係を考える記事がメインのようだ。あと雑記。

物やサービスがタダで手に入っても人が働く理由

note.mu
前澤さんがいろいろ説明不足な「お金のいらない国」を説いてるので、独自に補足したい。

teruyastar.hatenablog.com
詳しくは前に書いてて、ジャックフレスコ氏の動画もあるのだけど、また別の切り口で短く語ろう。


実は今現在「お金のいらない国」で働いてる人達がいる。
ネットのオープンソースソフトウェア作ってる人達だ。
彼らは他に本業を持っているからではある。
しかしオープンソースの世界だと、彼らはタダで働き、無料でソフトウェアやパッチやアドオンやアプリを配信している。ブラウザを使ってる人もその恩恵を受けてる、Androidもそうだし、その中で動くアドオンもそうだ。

これが実現できるのは、ソフトウェア配信がほぼコストゼロでいけるからだ。
配信にほぼお金がかからないからだ。

では彼らの動機は何かというと、「趣味」だったり人に頼られる「承認欲求」だったりみんなが困ってるからという「正義感」だったり、自分が困ってるからだったりする。

つまりコストゼロの世界では「趣味」「承認欲求」「困った人を助ける正義感」の3つがあれば人は働く理由になる。俺だってお金に縛られなければ困った人の所いって知恵や労力を使っても良い。

では、きつい、汚い、キケンな仕事は誰がやるのか?
というと、「サーバー」「ドローン」「ロボット」というリソースがコストゼロになればいい。この3つがコストゼロとなれば、オープンソースの人達が3Kの仕事を自働化してくれる。「お金のいらない国」だから3つのコストは実際ゼロになる。それらでまだ解決難しい仕事は人がやるが、人は遊んでばかりいると逆に退屈になる。お金の心配がないなら1日4時間ぐらい誰かの役に立とうという人もいる。

例えば親戚で引退した大工のおっちゃんは、材料費だけで喜んでいろんな親戚の家の修繕を手伝ったりしている。家でダラダラするよりそうやって運動してた方が健康にいいということだが、人に必要とされてる方がそりゃ長生きするだろう。これも「趣味」「承認欲求」「困った人を助ける正義感」としての無償の仕事だ。

ちなみにオープンソース思想は共産主義の計画生産ではない。
違う思想で同じようなソフトウェアが開発されたり、多種多様な遺伝的発達がある。「違う製品」は生まれるが「価格競争のためだけの質の悪い製品」はもう必要なくなる。

働くと言っても、全員働く必要はない。
エネルギーと食糧生産は今でも限りなく自動化されている。「お金のいらない国」で特に必要ない仕事は「株、銀行、保険、金融などのお金そのものを動かす仕事」「経理、税務署などの事務や決済のための無駄な会議」「お金のいらない国では犯罪や争いが激減するので弁護士も検事も減る」とか無数にあるのだけど、個人的には維持だけなら今の労働人口の2割が4時間も働くだけでも可能かなと思ってる。維持でなくサービスの進化のためには他にGoogle並のことやったり、宇宙開発したりとかへ人が流れるだろう。


では、「お金のいらない国」でも人が働くとしたら、「お金のいらない国」そのものの実現方法だ。

「お金のいらない国」は言い換えると「物とサービスに自由にアクセスできる国」だから、まず「お金と時間にある程度自由にアクセスできる企業」を作る。
例えばZOZOのような、同一賃金、業績連動、6時間労働などだ。

これで平社員も新入社員も地味な事務職員も、同じように「お金と時間」にアクセスできるようになる。こういう形態の会社のメリットは以下に書いた。

teruyastar.hatenablog.com

後は、そういう会社が増えたり、大きくなったりで、有権者の半分を超える所まで来ると、「公務員も同一賃金で国とのGDP連動スタイルがよくない?」というところまで政治を動かせる。そうすると、そういった「お金と時間に自由にアクセスできる」会社がさらに有利になるような法律が作られ、全部の会社が染まったら国全体が「もうお金いらなくない?」と舵を切れる。

別に「世界平和のために」こういう会社を作る必要はない。ただその方が儲かるとか、管理が楽とか、いろいろ都合がいいという理由でそんな会社が増えてもいい。時雨堂などはZOZOと違って最大10名という形で運営している。

当然まだ「貿易」には「お金」が必要なので、国民は全員GDP連動のサービス内容が受け取れるものの、海外との貿易は変わらない。しかし外国でもこういった企業が増えて、有権者の半数を超えて「お金のいらない国」に変わったら、「お金のいらない国同士は、連動したほうがお互いのGDP増え、研究も分け合い、都合がよくなる」というところまで来ると、世界は一気に「お金のいらない国」へ傾く。その方が多くの国民が儲かるから格差が広がって貧しい国民ほど支持せざるを得なくなる。イデオロギーや歴史よりも人は豊かさの平等な保証で手を取り合う。

まとめとして、
同一賃金、業績連動、労働時間の短縮が広まるほど、お金と時間への平等なアクセスが実現され、お金のない平和な世界に近づき、オープンソースの「サーバー」「ドローン」「ロボット」のコストゼロで、3Kの仕事は次第に片付き、「趣味」「承認欲求」「(自分を含む)困った人を助ける正義感」という単純な理屈で人は働く。

これは俺が「お金のいらない国」を調べてそう思ったことで、前澤さんがどう考えてるか、「お金のいらない国」のために会社運営してるかどうかはわからない。ただ上の記事で調べた「お金のいらない国」著者である長島氏やジャックフレスコ氏の動画を見てだいたいの目指す方向に、間を埋める理屈をつけるならこういうことだろうと思った。

さらに詳しいことは、長島、ジャックフレスコ、2人の動画もある上の2つの記事をどうぞ。