耳の痛い話だったので記録しておく。
実際のところ、大半の開発者が同程度に、結局なにか目の前で不味いことが起きていても気付かないだろう。似たような要件で仕様が上がってきたら、多くの開発者が同じようなことをやるだろう。 上から目線で評論家気取りでこれは酷いなどとのたまうばかり、火事場を外から眺めて他人事で自分のことは棚に上げ、 人のふり見て我が振り直しもしない、お前もお前もお前も、漫然とインターネットをしている醜い卑しい下賤の生き物ばかり。なんとかしてくれ。
ブラウザなんて詳しくないのでこの件にコメントしたことはないが、過去に正義感ぶって社会批判するような事は一通りしてきたわけで、なんなら今でも気づかず無意識でやってる事もあるだろう。自分は生半可に知ってる業界の方で無根拠な批判をしがちだ。たまに叩かれてる人を擁護するのは、卑しい我が身を振り返るためでもある。
今回の件もサーバーサイドに不要な情報送ってるのは悪かと思ってはいたのだが、、
サーバーサイドでDMを読んでいるTwitterクライアントの話
あるサードパーティのTwitterクライアントアプリは、Direct Messageをサーバーサイドで受信している。理由は単純で、そうしないとプッシュ通知が実現出来ないからだ。 クライアントサイドだけではなく、サーバー側でもTwitterのトークンを保持していることになる。
利用者に分かりやすく説明されているかと言うと、されていない。 自分は「利用者がそのことを知らなかったり、意識しなくなっているのは問題だ」ということは言うが 「このアプリはマルウェアだ、スパイウェアだ」であるとか「このTwitterクライアントは社員がDMを盗み見るために、わざわざサーバーサイドで処理している」なんてことは口が裂けても言わない。
同様に、クラウド変換機能を持っているIMEをキーロガーだと言ったりはしない。
この処理はクライアントサイドでやるのが当たり前とか、この処理はサーバーサイドでやるのが当たり前とか、そういう概念はとっくに壊れている。
サーバーサイドでのデータの取扱いが信用ならないといって、マルウェアだのスパイウェアだの運営元が邪悪だのと騒ぐことをしない。 単純に失礼だからというのもあるし、仕事でサービスの運営に関わったりあるいはセキュリティの診断をしたりといったことでお金を稼いでいる、プロとしての誇りがある。
この辺、貧弱なスマホ環境で使い勝手の良いサービスを提供する手段としても使えるのだろう。一般的に、セキュリティ度外視すればとても良いUIやユーザー体験作れたりするが、その相反するものを両立させるのはとても難しい。
7年前、AndroidのWebViewでJavaScriptから任意コード実行出来まくって、アプリのパーミッションによってはアドレス帳ぶっこ抜きとか出来たんだけど、そのときの。今でもあんまり変わらない。https://t.co/EkNjmJHTzz
— mala (@bulkneets) 2020年12月22日
本来、脆弱性の詳細とかは、修正版のリリースを待ってから載せる予定だったけれど、どうしても伝えたい。あのな、雑な分析でマルウェアだスパイウェアだとか騒ぐのやめろ。規約やアプリの説明が不足してるのも、アプリ自体の実装も、同程度に酷いと言うだけ。ハンロンの剃刀ってやつだ。
— mala (@bulkneets) 2020年12月21日
Never attribute to malice that which is adequately explained by stupidity.
無能で十分説明されることに悪意を見出すな
スマホブラウザ「Smooz」のマネタイズで得た知見 - Speaker Deck
マネタイズも月額半分、無課金ユーザーへの広告半分、検索アフィが少しというところ。他人のサイト表示内にDOM広告埋め込むのはさすがにどうかと思うが、この3つでマネタイズ自体は伸ばしてるので、ユーザーの個人情報を悪用したり売ったりで儲けたというにはまだ判断早いか。
engage-mate.jp
そのライトニングトークや、経歴こみで顔出しインタビュー受けるのは、ほんとに悪いやつがすることでは無い気もする。ほんとに悪いやつはこういう流行り言葉でPRしないというか、そもそも前に出ない。
ひどい実装は指摘され批判されても仕方ないが、そこに悪意や陰謀があるかどうかまではわからない。なにせ自分はネットのやりすぎで悪意を見出す陰謀論にコロッと騙されるタイプだし、政治や企業や運営関連でも悪意と取り違えたネットリンチを何十回と見てきたので、なおさら気をつけたい。
上から目線で評論家気取りでこれは酷いなどとのたまうばかりだと、自分は完璧なプラン意外何も(再)スタートさせないが、スタート時に完璧なものは存在しないので、一生何もしない、できないまま他人の足を引っ張り続けるという呪いにかかる。
誤ちは指摘するかもしれない。しかし確証ない悪意をわざわざ見いださないよう、社会を必要以上に押さえつけ、自分に呪いをかける悪循環の正義は何度も反省したい。