teruyastarはかく語りき

TVゲームを例に組織効率や人間関係を考える記事がメインのようだ。あと雑記。

同じ3月に3人が語った、数打ちゃ当たるのシンクロニシティ

魔法先生ネギま! 25 (25) (少年マガジンコミックス)
魔法先生ネギま! 25 (25) (少年マガジンコミックス)赤松 健

おすすめ平均
stars戦闘シーンが魅力!
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こちらのマンガが大ヒット中の作者の日記。

日記帳 3月21日
http://www.ailove.net/diaries/diary.cgi


この季節、よく学生さんから「漫画家になりたいのですが」
という質問メールが来ます。
そんな時、私は必ず「進学」を勧めることにしています。


投稿にしろ持ち込みにしろ、学生などのモラトリアムな状況下で活動していかないと、
自分の力なんかは出し切れないのですよ。
失敗できる環境なら、ラッキーパンチを狙いに行くことも可能ですから、
本来の実力以上の戦績が期待できます。
失敗できない環境だと、どうしても安全策をとって小さくまとまらざるを得ません。


漫画家になるために進学しないとか会社を辞めるなど、もってのほか。
自分を追い詰めて良い結果が出ることは、現実世界では殆ど無いのです。
(スポーツとかならあり得そうですが、実際には、勝つ人は普段から練習している。
負けても大丈夫な環境で。)


よく、「自分を信じて続けていけば、必ず夢は叶う」とかアドバイスするプロがいますが、
責任とれないはずなので、いい加減なことを言うのはやめて欲しいです。
しかし「モラトリアムな状況下で、ラッキーパンチを出来るだけ多く狙っていけば、
夢が叶う可能性が高まる」とは言い切れます。


既存のプロを押しのけてデビューしようっていうんだから、
まともに戦ったってなかなか通用しませんよ。


同感。
ニッチの隙間に入り、新しい分野を開拓し、それを育て成長させるには
それだけ膨大なトライ&エラーが必要です。
1回や2回だけ万馬券に賭けるのは
例えその学生がどれだけ自信と実力があっても
運にやぶれる可能性だって高い。


たくさんのチャレンジをするには、
たくさんのチャレンジができる環境を保持しておくことが基盤となると思います。

3月25日
任天堂社長の岩田聡氏が3年ぶりに基調講演 -GAME Watch
http://game.watch.impress.co.jp/docs/news/20090326_79989.html


 岩田氏は講演の冒頭に、ゲーム開発における「Death Spiral(死のスパイラル)」を挙げた。これは予算の問題で開発期間が取れず、ゲームの質が落ち、売り上げも落ちるというもの。これはすなわち、予算がないからいいゲームが作れないということなのだが、これを打破するものとして、同社の宮本茂氏のゲーム開発スタイルを「Upward Spiral(上昇スパイラル)」と呼んで紹介した。


 まずゲーム開発の初期段階において、プロトタイプの制作に時間をかけるという。ただし、その開発チームは小規模で組み、同時に複数のプロジェクトを動かす。そしてトライアンドエラーを繰り返していく。宮本氏といえば、プロジェクトを根底からやり直す「ちゃぶ台返し」のエピソードが有名だが、これについては「彼はひっくり返した後、最適化している」とフォローしていた。これが終わって、ようやく製品化に取り組むことになる。

とてもありがちというか耳が痛いというか、
予算が取れない死のスパイラルを上昇スパイラルに転換するため
小規模プロジェクトの複数展開で、ひたすらトライアンドエラーの回数を増やす方策をとってます。


そこで最適化して一番育ってきたところに予算を投入。
Googleの社内プロジェクト>>GoogleLab>>ベータテスト製品>>本サービス
のスパイラルにも似てますね。


プロに学べ!脳活用法スペシャル これが“育て”の極意だ!(2009年3月31日放送) | NHK プロフェッショナル 仕事の流儀
http://www.nhk.or.jp/professional/backnumber/090331/index.html


「安全基地」になる


未知の世界へ果敢に挑戦する心を育むために、茂木が注目するキーワードが、「安全基地」。安全で安心できる場所という意味で、例えば、赤ちゃんにとっての保護者が「安全基地」にあたる。茂木は、「安全基地」になるためのポイントを4つ挙げた。


(1)やりたいことをやらせる
(2)応援団に徹する
(3)欠点も受け入れる
(4)困った時こそ、手助けする


「安全基地」は、子供を育てるときだけでなく、職場で部下を育てるときにも重要だと、茂木は言う。「そばで見守っている存在=安全基地があるからこそ、人は安心して新しいことに挑戦できるようになるんです」


番組では、赤ちゃんがもの凄いきおいで学習していく様子をそう表現していた。
赤ちゃんには失敗という概念もなければ、
全肯定されるという愛情の大きな環境にいて
新しいチャレンジという意味で
大人の何百倍ものトライアンドエラーを繰り返すことができる。


これは大人にもあてはまることで
やはり僕の知ってるNo1の実績を上げてた上司が
「責任は全部俺がとるから、おまえらは思いっきりやれ!」という頼もしい人で
それでいながら、どこに目がついてるのかわからないぐらい
チーム1人1人を細かく観ていては、少しでもうまくいったことろをきっちり褒めてい。ました。

プロに学べ!脳活用法スペシャル これが“育て”の極意だ!(2009年3月31日放送) | NHK プロフェッショナル 仕事の流儀
http://www.nhk.or.jp/professional/backnumber/090331/index.html


ひたすら待つ ただし、観察しながら


自発性は、いつ出るかわからない。だから、粘り強く待ち続けるのが基本だ。だが、ただ待つだけではなく、相手の様子をよく観察することが大切だ。観察するのは、相手の微妙な変化。わずかな疑問や興味などの“自発性の芽”は、よく観察していないと見えてこない。


まさに番組通りの行動を地でいってたような人で
チームを変えてもこの上司のところの成果はいつも圧倒的No1。
これができるからか叱る姿も見たこともありませんでした。


しかし膨大なトライアンドエラーには短期的コストがかかる


むしろ無駄になることの方が多いでしょう。
新しいチャレンジやトライアンドエラーの全部が報われるわけなく
芽が出るのはせいぜい1割以下。


しかし死のスパイラルのままジリ品になっていくよりは
社員の才能を一番いい方向に伸ばすやり方、
それぞれの興味を一番引き出し伸ばす実験が、
その中の1割が、100倍にも1000倍にも育つ。
それをきっちり観察することが大事で、長期的視野を持てるかどうか。



ここ数年で大ヒットしたWebサービスなんかでも
会社の本業とは違うところから生まれてきた例が結構ありました。


しかしそれは真似できないかもしれない


こういう組織やチームの運営方法は、かならずしも隠されてきたわけではなく
昔からいろんな形でありました。
ですが普通、会社は株主や経営陣がトップダウンで方向性を決めます。


このとき株主や経営陣が、従業員に好き勝手なことをさせて
減点法視点からその実験の9割がダメになるという事を許せるでしょうか?
普通に考えたら給料払ってるんだから20%ルールなんてわがままいわず
言われたことをしないとダメですよね?


はたまた経営陣発の練りにねられた大プロジェクトのほうではなく、
従業員発の好き勝手なアイディアが大ヒットしたら
それがさらには自社のカラーにまったく合わないとしたら経営陣のプライドは許せるでしょうか?
いったいその会社は誰の物なんだとか思うでしょうか?
部下を信頼して全肯定なんて出来るでしょうか?
それを見守りながら責任は全部取るとか言えるでしょうか?


派閥争いというか、意外に自分では気づかないプライドや嫉妬というのが
死のスパイラルの入り口なんじゃないかと考えます。
経営者とは何か、
リーダーとは何か、
3つのシンクロニシティが指すところは、、、、



そういえば鉄鋼王と呼ばれたアンドリューカーネギーの碑文を思い出しました。


「自分より能力のあるものを周りに集める術を心得し者ここに眠る」


        〜アンドリュー・カーネギーの墓碑文〜




おまけ


蛇足ですが同じゲームデベロッパーカンファレンスで
ポピュラスやFABLE2を開発した北米では有名なピーターモリニュー氏のチームもこう動いているそうです。

Game Developers Conference 2009現地レポート−GAME Watch
http://game.watch.impress.co.jp/docs/news/20090330_80148.html


 では新しい試みを行なうことに対して、どのように助け合っているという点では、社内スタッフであれば、誰でも立案・実行ができるといったルールがあることを提示。その際、チームは1人から5人で構成されており、チームメンバーにはプロジェクトが一段落し、手の空いている人たちで作り上げられているという。実験をする期間はおよそ1〜12週間で、平均的には4週間程度で行なわれているといった内容が語られた。


 実験を行ないたい場合には社内のシニアメンバーに協力を仰ぐ必要があり、協力者はできたアイデアを Lionheadのクリエイティブボードに提出し、審議の後、通常のプロジェクト同様にスケジュールを設定していく。また、この実験に対してのコストはどのように捻出されていくかという点では「どのような用途で使うのか」、「どれくらいコストがかかるのか」、「ゲームではどのように実装するのか」、「プレーヤーにどのように訴求するのか」といった部分を明確に提示することで、制作中のタイトルからの予算ではなく、会社のR&Dから降りることもあるという。


 実験時に使われる素材としては、社内に用意されたプロトタイプエンジンを利用するとのこと。また「Fable II」や「Black & White」で使用された素材を共有化し、再利用するで迅速に行なうことができ、これらのことをLionheadでは「concrete」と呼んでいると語った。


中略


これらのプロトタイプは、コンセプトにあったゲームに巡り合えば実装されるといった部分もあるが、それ以前に資産として共有しておくことで、必要な時にアイデアを引き出したり、流用したりできるほか、フルスクラッチからの制作よりも迅速に対処できることなどが利点としては明らかだろう。今回の講演では、この誰でもアイデアを提示でき、プロトタイプの作成もできるという現在のLionheadの体制が公開されたが、今後このプロトタイプから、新しいアイデアを模索することで、また新しいゲームの発明などが生まれてくるのかもしれない。