teruyastarはかく語りき

TVゲームを例に組織効率や人間関係を考える記事がメインのようだ。あと雑記。

共産主義は自然と下から取り込まれていくのではないか?

anond.hatelabo.jp
これまで共産主義を主導した国の問題点としては、
計画経済によって製品や生産のイノベーションが破壊され他の国に遅れを取ったこと。
人による計画経済のミスから多数の餓死者や医療崩壊。
私有所得の廃止により国家、党の強権化。
強権化で法治国家が人治国家に。
人治ゆえ警察末端までの賄賂、汚職。
もし最初の党幹部が素晴らしい人でも、この強権に近づいた2代目、3代目の幹部が名君とは限らない。
数年ごと選挙のたびに資本主義社会やその思想が持ち込まれるわけにはいかないので、(軍事)独裁体制。
独裁体制を維持するためには暴力も人権無視もなんでもあり。
企業が潰れるような失敗をしても、ほぼ国有企業なため企業は潰れず、それはサービスを受けた国民が被害をこうむり泣き寝入りする。
(中国が崩壊すると言われ続け20年バブル崩壊しない一因)。
全ての計画の失敗は生きたまま土に埋める。


ではシビュラシステムやMAGIなどのAIが完成したら国家運営の大部分を任せられるかというと、そのAI初期の思想、哲学、文化、宗教観は誰が入力するのか? AIはAIにとって都合のいいイノベーションは生み出せても、人間の変わりゆく文化や価値観、AIより抽象度低い知的レベルに合わせた、人間の都合に合わせたイノベーションができるのか? そのAIがどこかの革命軍にハッキングされないか? など疑問点が多すぎる。ゆえに共産主義の実現は難しい。

しかし、中国が共産主義をベースに資本主義を取り込み、資本主義のアメリカやEUや日本が社会主義を取り込んでいってるように、このままでもそのうち融合してそこそこユートピアになるのではないだろうか。(中国の何百年も禍根残しそうなやり方は別として)

ポイントは
「AIロボの発達によるブルシットジョブや3K仕事の撲滅」
「知的労働意外なくなってやむをえず、ベーシックインカムの導入」
「計画経済はせず、資本主義でイノベーションをする」
「全てをサブスクリプション化していき、稼いだ富の使い道を生きてる間のサブスクリプションとする事で、私的所有化ではなく、富をレンタル権に変えていく」
あたりになる。

もうすでにプロのダンサーよりアクロバティックに踊れて、スタントマンもこなせるようになったロボだが、AIドローンやAIロボが全てのブルシットジョブの代わりになるかというとそれは2050年ぐらいまでかかるかもしれない。

しかしいずれ全ての仕事はスポーツ、芸能、文化、エンタメ、研究開発など知的労働や、本人の欲求、やりたいことに基づいたものしか残らなくなるだろう。今でもUnityエンジンのおかげで個人の作りたいインディーゲームが作りやすくなり、3Dプリンターのおかげで金型の試行錯誤が小規模事業者レベルで可能になり、中国の工場に発注すれば衣服もデジタルガジェットも作ってくれるようになった。

大変な医療も手術や介護ケアはロボがやり、医者も研究開発して論文書くことがメインになるかもしれない。つまらなくきつい仕事は全部ロボに置き換わる。仕事が義務ではなく権利になり、労働という概念ではなくなる。

資本主義のいいところはお金で製品やサービスを買うことが、その製品とサービスに投票することと同義であること。権力が国家と資本家に分散することでもある。労働を失った人達にその最低限の投票券をベーシックインカムとして持たせる事は重要。

富の拡大と格差は止まることを知らない。しかし、AIロボに置き換わる効率の良さは最低限の国家サービスの質も上がる事になる。ロボが作る料理の質も、人工食肉の質もどんどんあがる。資本や物の価値に天井はないが、最低限保証される文化的な暮らしというのもどんどん上げる事ができる。今でも人の価値観次第では年収200万で豊臣秀吉より贅沢で豪華なサービスと暮らしを日本で暮らせてると言える人は案外多いだろう。誰かと比べるから、日本の平均と比べるから、貧しい考えから卑屈になるのである。

そしてクラウド化、サブスクリプションというサービス思想は、もはや「自分で物を持たず、必要なときだけ借りる」という価格イノベーションである。AmazonPrimeなどはAmazon関連サービスの全てが詰まっていて、お世話になってる人も多いのではないだろうか。なんならKindleで同人誌を売り、Twitchで有名配信者となり、Amazonでショップ販売してる人はもうAmazon圏内でかなりの生活が完結してるかもしれない。これはAmazonという共産国家の始まりではないだろうか?

Googleだって、検索からマップからさまざまな無料サービスを展開し、Youtubeも取り込み、ときに関連同業者を廃業に追い込んだりもした。AndroidやiPhoneのストアで生活出来てる人も多いだろう。GoogleやAmazonに限らないが、サーバーや回線インフラ意外物理的制限のないインターネットにおけるサービス拡充の速度は圧倒的な価格破壊を起こした。ネットこそ一番早く訪れた世界平等なサービスのひとつと言える。

ソシャゲを想像してほしい。みんな無料で参加して遊べて、お金ある人だけサブスクリプションやシーズンパス、ガチャを回してドヤれるが、そんな名誉欲を満たそうとしなくてもストーリークリアまでは問題なくできる世界。お金あるプレイヤーは参加者にガチャチケット配りまくってノブレス・オブリージュ神にもなれる。

資本主義には上限がないものの、それは物理的サービスに限られる。宇多田ヒカルのライブには会場キャパに限界あるプレミアムチケット払う必要があるが、Youtube公開は無料という回もあった。いずれはそれが当たり前になるかもしれない。

小さい子供連れてライブにいけないとか、家で準備もせず化粧もせず、パジャマで酒飲みながらライブ楽しみたい層もたくさんいるだろう。現状でも新作ツアー前やコロナ禍のときに過去ライブの配信でプロモーションする事務所もあって、映画館にいけなくても名作は来年の金曜ロードショーで高確率に見れる法則である。

NetflixでもAmazonPrimeでもいい。リアルタイムじゃないと話題についていけないのはあるが、なんなら今は有名配信者とウォッチパーティで一緒に見て楽しむこともできて、映画みてひとりでTwitterにつぶやくよりそっちのほうが楽しかったりもする。Facebookがメタバースとかいって、FortniteやFF14以上の共有世界を作ろうとしてるが、VRやARのアバターでよりその世界も広がるだろう。

つまり、現状の延長線上でも共産主義が達成したかった平等と豊かさと平和は達成できるのではないか。資本主義の上限に限界はないが、資本主義の下限を社会主義で引き上げていくことで、相対的にお金が生活ではなく名誉欲を満たすためのものに近づけていく。ソシャゲでSSRカードを限界突破しどこまでも鍛えることはできるけど、現実的には無課金でもいつか引けて充分クリアできるという差。

俺たちにピカソやゴッホの絵は理解できず、フェラーリもかなり不便な乗り物だけど、持ってたらめちゃくちゃ自慢できるよねっていうところまで社会サービスの下限や質が今後30年でかなり引き上げられるだろう。それこそ共産主義が達成したかった国民の平和と平等ではないだろうか?


ただ、どれだけ社会サービスが充実しようとその分僕らの不満のレベルが上がるだけで、今度はサブスクリプション格差に文句を言って、ずっと共産主義の理想を追い続けるのかもしれない。首相が33万円の時計してたらBI層はやはり文句言うのだろう。そこは教育の質も上がることで、哲学や教養、他人と比較しない多様性や洞察など身につけることを2050年のキッズ達に期待する。