teruyastarはかく語りき

TVゲームを例に組織効率や人間関係を考える記事がメインのようだ。あと雑記。

サイゼリヤがすげーw

イタリアンワイン&カフェレストラン サイゼリヤ
http://www.saizeriya.co.jp/index.html


さっき、「がっちりマンデー」で紹介されてたのだが、
その特集がすごい面白かったので紹介。


TBS「がっちりマンデー!!」
http://www.tbs.co.jp/gacchiri/archives/20080914/1.html



理科系戦略で大成功


これは番組側の見出しなんだけど、
取締役12人中、8人が理科、工学系の大学出身者でしめられる。
当然社長も。
それがどうしたという解説は以下。

低価格でお客様に喜んでもらえるように。


全メニューを頼んでも2万6千円にしかならない
イタリア料理店としては驚異の低価格戦略


そんなんで赤字にならないかと思うけど
「お客様が喜んでくれる価格で提供するのが一番最初。
 そこからどう企業努力するのかを考える」


と、ここまではまだ普通。


普通の企業だと
そうはいっても、システムや発注や、業者取引や、材料やら
根本的にコストかかりすぎて手が出にくい努力ばかり。


理系ゆえ、理屈でのシステム構築がべらぼうに強い


種の品種から配送システム、調理方法から、
レジまで徹底して改善しつくす。


番組で紹介されてたのは
「数千の種から栽培して一番よい品種を選ぶ」とか
「煮汁がでず調理しやすいサイゼリヤ専用トマトを開発」とか
「レジで発注から、給与明細までワンタッチ管理」とか
「配送するソースの粘度を改良してパッケージに残さない」とか


この辺も大手チェーン店ならどこもやってそうな
徹底した改善を現在進行形でやってる。


6万まで厨房を一人でまわす。


これがビックリした!
マクドナルドとかだと、ベテラン4〜6人はかかりそうなところを
たった一人で料理を仕上げてる。


もちろんハンバーガー店だとどうしてもその場で肉を焼いたり
揚げ物あげたりして、それを調理しないといけないので
どうしても人が必要になる。


サイゼリヤではほぼ調理済み、カット済みの料理を盛りつけたり
自動機械で焼いたり温めたりするだけ。
ゆえにベテラン一人で厨房がまわる。


野菜は工場でカットすると鮮度が落ちていく物だが、
切った上で鮮度が落ちない4度の保存を徹底している。


広告・宣伝はしない

理由が面白くて「お客さんがきたら疲れるから」w
冗談で言ってるのかなと思ったけど、
どうも本気みたい。


「疲れないで、楽をすればもっともっと大きくなる」
というのは、社長の理念みたいで、
ゆえに低価格を実現する徹底した改善が実現できている。


もともと低価格で繁盛しているため
さらなる広告は必要ないということか、
広告や、宣伝費がそのまま低価格にもつながるということか。


発注の自動化


機械で在庫を数えたら自動的にレジが発注してくれるシステム。
こういうのはわりとどこでも実装できそうなんだけど、
例えば毎月新商品を出したり、季節商品をだしたり、
クーポンを発行したり、宣伝をしたりとかするファーストフードだと
そのたびに、発注が読めなくなって自動化に任せるわけにはいかない。


この辺も、サイゼリヤの疲れない戦略が効をそうしてるように思う。


会議はしないで権限と責任を委譲。


話し合いをするにしても、1VS1か、7名以下の討論。

「会議をしてみんなで決めると責任が不明確になるから」

というのが、その理由。


でも普通決定権は社長にあるんでしょ?
と司会が聞くと、

「それを決めるのもやるのも、その人の責任。社長は内部に対して一切の責任を負わない。社長が追う責任は会社の外部に対して」

と、司会の加藤浩次もまさにその通りという納得の答え。


番組見てて、サイゼリヤの躍進は全てここにある気がした。


普通の会社ではこういう権限は取れない。
会議で役員みんなを納得させられないと、
実行に移せなかったり、責任は誰が取るかであいまいになって
失敗も成功も次に活かせないということになりかねない。


普通のリーダーは部下の失敗が怖いので権限を委譲することはない。
責任も取りたくないから、なかなか改善もしたくない。
それで失敗したらどうするんだ?
というのが会議の弊害。


そしてこの決定プロセスの遅さが致命傷になったり、
リスクを取らないことそのものが
最大のリスクとなるのが普通の会社だったりする。


上記のさまざまな改善がなされる決断のプロセスが
権限と責任の委譲が、躍進の元となってるのかなと。


「おいしい」がわからない


これも面白かった。
新製品の試食において「一番まずいものをもってこい」と。
「おいしいのは当たり前」
「口に嫌な感覚を残さないことが大事」と。


意訳すると、
おいしいという感覚はひとそれぞれによって違うし、
味の上限というのはそれこそ千差万別。
100m走の0.01秒を競う戦いなんじゃないかと。


それより、「おいしくない、まずい」という感覚は
はっきり万人にわかる。
味の上限を見るのではなくて、下限を徹底して排除底上げしていけば
自然と美味しい物になる。
という解釈なんじゃないかと思われる。


冷めても味が落ちないように


またその手法のひとつとして、
「さめても美味しい料理であること」を追求していた。


通常、味の上限を極めるなら、
「いかに料理が最高の状態でお客様に提供できるか?」を考えるはずなんだけど
そこは「疲れないで楽をしよう」の社長だから、
「常に最高の状態で出せるわけじゃない。(コスト的にも楽をしたいしねw)そのためには冷めた状態でもおいしくなければいけない」
という発想になるそうだ。


これも某ファーストフードだと、
できたてが一番おいしくて、冷めると食えたもんじゃなくなるけど
この楽を追求する姿勢はほんと見習いたいと思う。


まとめ


ポイントは2つ。

「努力や根性で頑張ろうではなく、楽をしよう」
「リスクを恐れず権限と責任を委譲して、素早く動こう」

努力が美徳であり、
リスクが怖くて、権限も責任も委譲できないのが
企業というよりも、日本人個人の価値観として大きく根付いてる感があるけど
わざわざ苦労の扉を開けることはないんじゃないかと。



社長の著書も必読ですね。




関連


サイゼリヤの科学: 裏紙
http://yugo-yamamoto.cocolog-nifty.com/uragami/2009/12/post-a856.html