日本でMOBA系ゲームが流行りにくい理由の考察(日本人はチームワークコミュニケーションが苦手?)

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この中でも最後の「勝利のために特定の役割(推奨)が必須となる」という点が、日本でロール型ゲームが流行らない理由の一つだと思っている。

なぜかというと、日本全体の教育って就活とかを見るとわかるように「個性を持たずに汎用的な人になる」ってことを求められている。

大学に入り、会社に入り、結婚し、そして老いて死ぬ、という一般的な道筋が美徳だと教育されていた時代は確実に存在しており、今でもまだその風習は残っている気がする。

そういった点から見ると、「集団において、個人個人が特定の役割を担う」ということに日本人は慣れていないのではないだろうか。

主に見てるのはオーバーウォッチシーンだが上の記事を考察してみたい。

そもそもアメリカのゲームでアメコミの色合いが強い。
違法コピーでコンシューマゲームが育たず、変わりにオンラインPCゲームが発達してeスポーツ先進国にまでなった韓国は事情が違う。
日本生まれのスプラトゥーンやボーダーブレイクは日本で流行ってる。

、、という前提があるので、流行るかどうかは日本人の特性とは別の環境要因が大きい気がする。ただ日本人が案外MOBA的チーム戦苦手なんじゃないかと捉えるとこの説はわりといい線いってるんじゃないかと。トッププロチームはそんなことないだろうけど、日本の大会で勝てないアマチュアチームあたりとか。表現に語弊があるのでもっと分解しよう。

「個人個人が特定の役割を担うことに慣れてない」ではなく、
「日本は個人でPDCA回すのは得意だが、チームでPDCAを回すのが苦手」
と捉えたい。

日本人は「個人で道を極めるのが得意」で「人に伝える(スケールする)のが下手くそ」

と置き換えることもできる。日本人は空気を読み、仲間に気を使って大事なことを指摘することができない。(ゲーム中の話ではなくゲーム外での戦術の話) あるいは指摘しても聞かない。指摘すると人格否定みたいになってしまい、前向きな議論にならない。

すると自分たちに合わない世界トップの戦術や理論を盲目に真似たり、間違ったチームワークや戦術が間違ったまま進み、何人かはとっくにそれに気づいてるのに「この戦術にもメリットがあるから」、「みんなで決めたことだから」と、正しいことを言わないし、言えないし、言ったところで、変化することがチーム全体の和を乱し、モチベーションを下げ、全体非難として受け取られ評価されない。

このためロールをマスターする事には長けていても、チームの戦術フォーカスは合わない。日本人のトップランカーはいても、日本チーム全体の底上げや成長が弱くなる。

個人技が重要なゲームと、チームワークが重要なゲーム

野球とサッカーは、どちらも個人が特定の役割をこなすことには変わりないが、個人技とチームプレイのどちらに重視が置かれてるかで個人のPDCAと、チームのPDCAが違ってくる。

日本のサッカーで明日の試合、フォワードをまだ会ったこともない外国人助っ人選手に変えるとしたら、これまでの決めごとや練習が無駄になりチームワークはボロボロだろう。しかし「野球」の4番を明日から外国人助っ人選手にしたら強くなったりする。

野球はピッチャーで9割決まるという俗説でいえば、バッターとバッテリーの個人技対決がそのメイン。もちろんチームワークは大事な要素だが、重要さで言えばサッカーの方がよりチームワークを重視する必要がある。野球道を極めた日本人の野球は強いが、サッカー道を極めた日本人がいくら世界のチームで活躍しても、日本人チームとしてPDCAを回すのは難しい。

スプラトゥーンや、ボーダーブレイクはロールがあっても、なんでも対応できるようなカスタム汎用性がある。チームプレイは当然重要だが個人のスーパープレイでひっくり返すことも同じ割合で重要だとしたら日本人にもプレイしやすいだろう。日本人受けのゲームにするにはチームに見せかけた個人技の集団プレイゲームとしても成立するかどうかかもしれない。PUBGのスカッドとかよさげだね。

チームワークにはちゃんと仲間と協調して自分の考えを伝える技術が必要だ。
それなのに日本人は議論が苦手で、議論が人格否定になってしまうことがある。
ここで仮説。

日本語は主語をかなり省略できてしまう。

「今日時間ある?
よかったらこの後、
付き合ってくれない?」

という日本語をアメリカ語では

「(あなた)今日(オーバーウォッチする)時間ある?
(あなたが)よかったらこの後、
(わたしとデュオでランクマ)付き合ってくれない?」

という主語がある文章が普通。
実際は音が流れるようにつながってるのでこんなにくどくない。

「主語の省略」というのはかなり前後の文脈に頼ることが大きい。また、アメリカ語ではgameとgamesのように単数形複数形がハッキリしてるが、日本語ではそこも文脈に頼る事が多い。

日本人は言葉ではなく「キルデス」「レート」「メダル」「オンファイア」の文脈でコミュニケーションしている

よくコミュニケーションにおける言語は3割しか機能を果たしてなく、残りの7割はボディランゲージや表情、感情、そのひとの立場、これまでの発言や思想、そのひとの信頼など、言語以外のコミュニケーションが7割だと言われる。日本語はもしかして9割ぐらい言語外の立場や役職や信頼にもとづいて主語以上の言葉が省略されてるかもしれない。

なのでTwitterなんかでも言葉の行間をどうにでも読み取れるし、そう読み取られないようわりと気を使って喋らないと危ない。

つまりキルデスやレートが伴わないと、TwitterやDiscordでどれだけ正しいことを言っても話が通じない。なので、戦術の否定、変化、修正というのも、9割が言語外による全体人格の否定、変化、修正ということに繋がりやすく、日本語でPDCAを回すのが難しいのではないか。

というのが一つの仮説。

ここ、謎の言葉を使ったがリアルで言えば「立場」「役職」「実績」「信頼」を通して言葉の重要性は1割ぐらいで会話してる感じ。

なぜ日本のAppStoreレビューには「暴言」「罵倒」が多く「何が悪いかの説明」が少ないのか?

ひいてはゲーム内で下手くそなプレイヤーをわざわざファンメール送ってまで罵倒し、2chに晒すという行為をするやつらがいる。そしてクソゲー作ったメーカーにはレビューで暴言を書き込む。メリケン人がそういうことをしないというわけではないが、メリケン人の暴言は「そこのマクリー勝手に盾から離れてウィドウに抜かれてんじゃねえ!ファッキンDPS Change!!」という説明口調の比率が多い。相手が初心者、未熟なプレイヤー、ゲーム初めて作ったインディーズメーカーだったとしてもどこが悪いかはちゃんと指摘してくれてる。

常識で考えたらわかるだろ? という文化

日本の暴言の多くは「noob DPS! 頭使って動けハゲ!!」「ハンゾー使ってんじゃねえ!常識考えろ!」という「言わんでもわかるだろ? 文化」なのだ。常識と言われてもま初心者にはその人の常識がなんなのかさっぱりわからず、晒されて嫌な気持ちになってゲームから離れていくだけ。(しかもメタが変わリ続けキャラが増え複雑さが増していくばかりのゲームでその人の考える常識が本当にあってるかどうかも定かではない。)

「言わんでも分かるよな文化」は、本当に常識で考えろというよりは単なる防衛本能で言ってる場合もある。説明したら反論が予想されるが、日本人は自分のイメージしてる事を言語化するのが苦手だ。(僕もリアルタイムで言語化するのは苦手) だから自分が論破されないために、自分の未熟さを露見させないために、あえて説明したくないし、相手を認めたくないから、自己防衛として説明をまるごと省略し暴言に飛ぶ。

言語化するのが苦手なのは、語彙力や内省が足りなかったり、メリケン人がやってるディベートの授業を受けてなかったり、良くも悪くも「空気読み能力の高さ」が大きく補ってどうにでもなるので、言語化を省略してしまう。小中学生のKids同士のあらそいなんか特にお互い耐えられないでやめていくだろう。

だから僕が「野良ランクなんかヒーラー1人で充分だろ!俺にDPSやらせろ!」と言っても許して欲しい。

日本人は口で説明するのがとにかく苦手

日本人の言語化が苦手という問題は、自分の技術を他人に教えない、背中を見て覚えろという職人気質にもつながる。これはよそ者に自分の技術を教えたくないムラ社会的な考えもあるのだが、言語化が苦手なので「どうせ口で言ってもわからん」「口で言っても評価されない」「同じ職業でも極める道、その進み方はみんなそれぞれ違う」という考えもある。

職人が技術を説明するにも本質的なところで職人のそれまでの人生や哲学レベルの話になってしまい、結局同じ時間を過ごさないと伝わらない求道的な文化になる。これはよくITやゲーム業界で話題になる、オープンソース戦略や、ゲーム業界を横断したGDC、ゲームデベロッパーカンファレンスにもつながる。

説明が苦手だから情報共有も苦手

メリケン人は会社の垣根を超えて情報共有するのに、日本の会社は何も情報共有をしない。それどころか部署ごとにサウンドやUIデザイナーを抱え同じ作業をしていて、部署単位ですらまるで官僚の縦割り行政のように情報共有が少なく、ノウハウが全く違う。これが後の大規模化ゲーム、開発の合理化、ゲームエンジンで大きく差をつけられることになったと言われ、日本でも社内部署は統合され、CEDECなどでどんどん情報共有のカンファレンスが始まり、ついには任天堂まで参加し始めた経緯がある。*1

韓国チームは感想戦を配信する

今年のはじめ、オーバーウォッチJapan open divisionで優勝した「ナチュラルズ北海道」だが、そこでビックリしたのがかわいい女性選手がいたこととコーチが優勝後に「感想戦」の配信を始めたこと。いままで日本のオーバーウォッチチームが自分達の試合を公開で解説するというのは見たことなかった。チームの戦略やダメな所も見え、対策されやすくなるからやらないのが当たり前だと思ってたのに、その情報共有をコーチがしていいんだとビックリした。

このコーチはオーバーウォッチが一番強い韓国のなかのトップチームの1つ、X6GamingからきたGilyコーチだったかな。韓国では普通にこういうことやってるようで、それでファンが付いたり、オーバーウォッチシーンのレベルが上がったり盛り上がったり、コーチの評価が高まったりするからいいのだろう。過去の試合を解説したところで、次の試合に使える戦術の幅広さがあり、自分たちの弱点を指摘されるメリットや、どうせ対策されるのだから同じ戦術を短期間に繰り返さない前提なのかもしれない。

日本だと(自分たちが思う)常識的なことをあえて説明する理由がないと思ったり、5ラウンド解説する労力も大変だし、説明によって見る人の解釈の違い、マイナス評価を恐れるかもしれない。

改善するとしたらこういった日本人の気質にどう対処していくか?

日本でMOBA系が流行るかどうか、、スクエニやセガがアーケードでチャレンジして、スマホでもいろいろタイトルがあるが、日本のアーケードやスマホではなくワールドワイドで日本発の流行を目指すにはまず任天堂、カプコン、ナムコあたりに頑張ってもらうしか無いだろうか。それ以外、プレイヤーやチームレベルで日本的環境にどう働きかけていけばいいか?

暴言の前に何が悪いのか説明を!

まずプレイヤーとしては、暴言を吐くなとは言わない。ただ、
「合図してソンブラEMPで突っ込んでるのに自爆合わせないとかファッキンビッチ!!」とキチンと自分の考えを言語化して暴言をはこう。逆に説明なしの暴言だけを受けたらちゃんと説明を求めよう。暴言同士でもお互いのやりたいことの考えがわかれば次に繋がる。説明できない奴には「理由を説明すらできないおまえのコミュニケーションが低レートなんだろ」と思っとけばいい。

いや、できれば暴言は避けたい。

それはそうだ。俺もジェントルマンだしな。
ならビジネス英文なんかでよくある例ように
「これは決して君自身のことを否定してるわけではない。ただ、味方の到着を待たずに1人でハラスして死ぬソルジャーはクソだ。」

という風に必ず人格否定ではないという前文をつけよう。
「あなたを否定してるわけではない」「あなたを嫌いというわけではない」(だから俺にDPSやらせろ) というメッセージを省略しないだけで、日本語でもだいぶ話しやすくなる。

チーム間をこえた情報共有

コーチとしてはやはり韓国のようなチームを超えた情報共有。感想戦などはそれ自体がチームのコンテンツとなりファンが増えるし、シーンの盛り上げにも一役買う。

まあこれは別に、選手があちこち移ったり選手間の仲が良かったりするのでITやゲーム業界ほどの問題ではないだろう。

ミスや改善を安心して報告できるルール

チームとしては日本人の会社で世界にスケールしたトヨタに見習うところがある。すべての規格や決めごとを統一する標準化とか、在庫を持たずボトルネックを次々と解消するカンバン方式や、それこそ自分たちの仕事の仕方を会社見学で他社に公開するなどいろんな哲学があるが、ここではミスを発見する「自働化」に注目したい。

日本人の場合選手や現場の誰かが何か気づいてても言わないし、現状のメリットやコストやそれを決めた上長の前では何言っても無駄だと、修正しないのが問題。トヨタは何か現場でミスであれ改善であれ発見があればラインが止まる。この止めた回数が評価になる。ミスや改善を報告しても怒られないし、煙たがられず、むしろ評価される。このシステムが物言わぬ日本人に優しい仕組みと会社のスムーズな改善やスケールにつながっている。*2

例えばチームで6人いたら、毎日ひとりだけチーム5人へ修正してほしい部分を報告する時間を作る。「だからソンブラいらないって!」「今ブリギッテルシオ最強でしょ?」「シンメトラ使ってもすぐリワークされるよ? 頭湧いてるの?」などの反論はあとまわしにしてメンバーはまず否定せずに修正してスクリムしてみる。こうするとお互いがちゃんとお互いのことを見て理解しようとしてるんだということの確認にもなるし、ずっと言えなかったことを無理やり引き出す時間にもなる。

また、それぞれの考えで試したいことはそのローテーションの日に互いに「だからなんでバスティオンなんだよ!」などと文句を言わずやってもらう。ヒーラーをタンクに変えて「これからは4タンク時代の到来だ!」とやってみたい戦術をスクリムで試す。一時的にとはいえそれだけ好き勝手言えて風通しのいいチームなら大丈夫だ。

そういうのは普通監督か、コーチの役目じゃないのかと思うが、よほどの名監督でもない限り、ほんとに選手の考えてることを引き出すのは難しい。確かに従順な日本人と鬼監督はよく伝説的に語り継がれる組み合わせではあるが、日本人だとコーチや監督には従うもので、自分がほんとにやりたいことや自分の考えを伝えきれてるかどうか怪しい。だから無理やりミスや改善をあぶり出す、個人の考えを全部吐き出すローテーションが必要なのだ。

「きちんと1人1人の物を言わぬ日本人メンバーの本音や考えを聞き出す」事ができればやり方は何でもよく、それを定期的に実行、試行錯誤してちゃんと議論発展できればロールを割り振ったチームゲームの定着もよく、より面白くなるんじゃないかと思う。


*1:でもこの日本らしい職人気質のメリットは残ってて。大規模感的ゲームがある程度安定して開発できるようになった最近、ちょうどそれで苦戦したPS3時代から業界が1週した今年になってやっと任天堂やカプコンが反撃開始といったところだろうか。

*2:それをスムーズに行うための標準化や、在庫をもたないカンバン方式でもある