teruyastarはかく語りき

TVゲームを例に組織効率や人間関係を考える記事がメインのようだ。あと雑記。

ジュースこぼしちゃった

とても共感した子育てのエピソードを紹介。


ジュースこぼしちゃった


友人夫婦が小さな女の子を連れてあそびにきました。
楽しくお話していましたら、
その子がコップを倒してジュースをこぼし、
お母さんの白いワンピースにバシャッとかかってしまいました。


私は一瞬、そのお母さんが
「何するのよ! こんなことして!」と叫んだり、子供を叱ったり、
子どもが泣き出したり、という嫌なシーンを想像しました。


しかし、なんと、そのお母さんは「やったわね〜」といっただけ。
その子も「やっちゃった〜」と言って、二人で顔を見合わせて、
プッと笑ったのです!


そして、お母さんはちっとも取り乱さずに、
私たちに「すみませんね」と謝ると、
「あなたは床を拭いてね」と子供に雑巾を渡し、
自分は服やテーブルを拭きました。
片付け終わると、
何事もなかったかのように続きを話し始めたのです。


友人夫婦が帰ったあと、私達夫婦は顔を見合わせて、
「すごいねえ・・・」
「すごいですねえ・・・」
「あれだね!」
「あれですね!」
と言いました。
このできごとは、私達夫婦の子育てに大きなヒントになりました。

エピソードはここまで。


受け取り方は人それぞれだと思いますが、
僕は昔アルバイトでまったく同じ体験をしてて
「そう!それだよそれ!」と、大変共感できる話でした。
以下蛇足です。


アルバイトと社員


昔、電化店のアルバイトで
在庫運びと短い時間で搬入の高速処理をしながら
毎日何件か来る苦情処理の受付をしてました。


で、いつの日か、いつものごとく急いで商品取り出そうと
商品をつかみそこねて倒してしまいました。
ここでこっぴどく怒られるパターンを
他の班でいつもみてたのですが
そこで社員の人と目があったところ、
「プッ」ってお互い笑ったんですね。
で、それがなにごともなかったかのように
即座に例外処理してミスではなくバレないように
その社員の人と適当に話あわせてましたw


これ、当然かも知れないですけど
叱らないで笑う時の方が僕たちの仕事は手早く回りました。
雰囲気が険悪にならないから誰も萎縮しないで
ミスも仕事で起きる想定内として手早く片付けていくんですね。
特に叱らなくても同じミスは繰り返さず自然と減っていきました。
むしろ同じミスをして叱ってる班の方が雰囲気が険悪で
本来必要なコミュニケーションが減り、
バイトはさらに萎縮して同じミスばかりが目立ちました。
それがジュースこぼした女の子とすごくダブったわけです。



完璧にしないと後がない。仕事は完璧で当たり前。完璧な平等を願い、まだ能力が育ってない人にも完璧を求める。


叱る人の思考を思い返してみると
叱る人はもういっぱいいっぱいで余裕がないんですよね。
完璧にこだわるというか、
周りの評価を気にするというか、
世界がその周りの評価で閉じられてる。


もし他人の家でジュースこぼして叱る親だとすると
「躾のなってない親という評価」
「子供をコントロールできない評価」
「ミスはマイナスという評価」
「完璧じゃない自分が他人に評価される世界が中心」
「ジュースをこぼしたらもう完璧じゃないのでそこで終わりのように叱り始める」


社員でも同じですね。
「ノルマを完璧に達成できないという評価」
「部下の教育がなってないという評価」
「ミスはマイナスという評価」
「上層部からどう評価されるかが世界の中心」
「ノルマを達成できなければ完璧じゃないので減点。そこで終わり」
だから叱る。


人はミスするのが当たり前。ミスは叱るものではなくて、ミスはチームでカバーするもの。


笑う人には余裕があります。
親でも社員でも
「もともと人はミスをする前提で動く」
「ミスはマイナスでもぐちぐち叱る時間よりすぐ取り返す行動や対策に移る」
「みんなに平等は求めず、笑いを求め、個人それぞれのベストが伸びればチーム全体の結果が伸びる」
「そのときのベストを尽くせば完璧でなくてもOK。それでできないならやり方を変える。」
「ジュースをこぼしたらもう終わりじゃない、商品を倒したらもう終わりじゃない。
そこから自分たちがどう動くかがむしろチーム力の発揮しどころ。」


そのバイトで僕らはミスしたら
すぐさまその場でコンテニューして
誰かがカバーできないかとか別の手をうつだけなのに、
叱る社員はそこでゲームオーバーにして
また最初からノーミスでやり直しだとかいうから
無駄に落ち込みますし、モチベーションも相当下がってました。


もちろん、子供が悪いことしたり、店員が犯罪をしたら叱るのは当然です。
しかし、子どもが善意でうごいて失敗したり、
店員が一生懸命働いた末のミスを叱るというのはデメリットのような気がします。*1


みんなの不公平感を、自分自身の不公平感をどう扱うか


「金を稼ぐ職場の意味」を突き詰めると
どうしても給料と働きのバランスで不平不満が出ます。
社員でもアルバイトでもです。


その不平不満を避けるためにも、
自分自身の不公平な感情からもリーダーは全員に完璧を求めたりします。
そういうのはどこまでいっても終わりがないんですね。


だから、完璧目指す平等ではなく、ミスを許す笑いと協力を求める。
仕事場に笑いがあって協力的という雰囲気は金で買えるものじゃないですし、
働きやすい職場というのは少々の給与の多寡よりもずっと価値あるものです。


確かに個人個人で能力差が低い人もみんなで助けあうというは
平等な扱いでも、効率的にもならないかもしれませんが、
一緒に笑い合える仲間というのが
働く1番目の報酬になるとベクトルを向けるのも悪く無いと思います。


実際ブラック企業の退職率は会社にとってもとんでもない負担ですし。
優秀な人だけが頑張る結果より、チーム全体が伸びる結果の方がでかいです。


高給でヘッドハントされたディズニーランドのスタッフが
殺伐とした職場に疲れてもとのディズニーに戻るような話とか、
未来工業という会社が地域一番の給与水準であれば
あとは業績アップを休みに転化したり、全社員でグァム旅行とかも
そういう事かもしれません。



そういう会社が多くなれば、
もっと精神的に余裕のある親も増えると思います。
会社と家庭で同じことやってるわけですから。


一度のミスが全ての終わりじゃない。どこまでミスしても必ずリカバリー可能なんだから、さあマーティ、次へ行こう。


僕の一番好きな映画が「バックトゥザフューチャー」なのですが、
ピンチと逆転の繰り返しが非常にテンポの良い爽快な映画です。
この映画のドクとマーティのコンビが大好き。
www.youtube.com


映画で二人は何度も何度もミスをしては落ち込みます。
やればやるほど泥沼で、タイムパラドックスをひどくしていく。


しかしマーティがミスして落ち込んで言い訳してる時は、
「マーティ、そんなことより次だ、、、」と
ドクがすぐさま次へ行くぞと、新しい対策を立てます。
マーティはドクに叱られることも落ち込んでる暇もなく
次の行動を取らなければいけません。


ドクがミスして落ち込んでる時は、
必ずマーティがドクを引っ張りミスを叱るわけでもなく、
「ドク、そんなことよりはやく、、、」と
やはり落ち込む暇を与えず次の行動へ移る。*2
お互い何度も何度もミスしても、悩んだり叱ったりするより次の行動がとても速い。
その前向きな姿勢が最後花開くのが見てて爽快なんです。


実際は、二人が常に時間に追われてるので
ほんとに悩んだりミスを叱ったりする暇なんかないということもあり、
もっとぶっちゃけると、映画の時間の尺であの物語を詰め込もうとすると
普通に悩んだり叱ったりするようなシーンはとても入りきらないとか
制作的な事情があるのかもしれませんがw


まあ事情がどうであれ、僕には強くこの二人の姿が焼き付いていて、
無意識に良い影響がでてたのかもしれません。
そしてミスを気にせずすぐさま協力して前へ進む姿は、
ジュースの親子にも似た共感をうけるのです。



ちなみにジュースの親子の話は以下の本から抜粋させていただきました。
これ、39ページの定価250円って、、こんな薄い本初めて見たw
いじめとか子育てについて他にもいい話がかいてあるのですが
ページ少なくて営業妨害になりそうなので、目次だけ紹介しておきます。
普段ネット見ない人にこのエピソードプレゼントするには
良い価格と厚さかと。
以上でした。

だいじょうぶ-ひとりじゃないー
高木 善之
ネットワーク地球村 2007-08


1.いじめって何だろう
・メガネザル
・ハゲ
・古い筆箱


2.きっかけ
・ジュースこぼしちゃった
・冬山での遭難


3.どうすればいいか
・受け止める
・片目
・コップの法則
・本当の自分

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翌日似た話みつけたので引用追記

追記:疑う人物を使わない。使う人物を疑わない。

宋文洲のメルマガの読者広場: 偽リーダー論2
http://www.soubunshu.com/article/158535726.html

完璧を求める人はリーダーではない


完璧を追求することは良いことですが、
それは匠や職人の世界でしか通用しない話です。
自然や人間を相手にする場合、完璧を求めることは我がままであり、不可能です。
ミスした人、失敗した事業、負けた競争・・・
組織をリードしていると不味いことの処理がリーダーの仕事の核心を占めます。
完璧を求めると部下が離れていくだけではなく、自分自身も体が持ちません。


しかし、どこまでなら部下の欠点を許し、
どこまでいくと厳しい判断をしたほうがいいだろうか。
これについて明確な基準はないものの、
リーダーは経験を通じて自分の中で一線を引く必要があります。


中国のリーダー学には「疑人不用、用人不疑」という言葉があります。
「疑う人物を使わない。使う人物を疑わない」という意味ですが、
その意味は決して文字の通りではないのです。
曹操が戦いに勝利した際、
敵陣から押収した書類に部下からの転向を探る手紙も含まれていました。
「全部焼け!」と命令した曹操は決して部下を疑っていないのではなく、
「このくらいは許してもよい」という線引きがあったからです。


「疑わない」とは「知りながらも気にしない」という寛容であり、
リーダーの心の広さです。
決して事実も知らないで「性善説」とか「信じる」とかを妄信する幼稚な話ではないのです。


中国の大手不動産の社長に部下の不正について感想を聞きました。
小学校卒の彼は笑いながら答えました。
「わしの企業は大樹。当然虫もつく。
外に出てきた虫はつぶしてやるが、木の穴に隠れている奴も多い。
むかし、わしはいろいろなものを穴に入れて退治しようとしたが、結局、木も弱ってしまう。
今はそこまでしない。大樹の元気を守るのが大事だから」。


これは無学な彼が苦労を通じて得た経験談ですが、私は妙に納得しました。
トータルでプラスかマイナスか、
たぶんこれがリーダーの「寛容」と「放任」を線引きする基準だと思います。


これはひっかかってたもやもやを見事に言語化してるなあ。
知りながら気にしない。凄い。




関連:


こどもが心を開く親の話し方
http://www.sweetnet.com/parenting2.htm

*1:これが軍隊とか医療とか、あるいは人の命にかかわる作業であれば確かに細かいミスすら許されない完璧さを求められるので、めちゃめちゃ厳しくて石橋叩きすぎながら慎重にいく緊張感もありかもしれませんが。たいていのビジネスは命がとられるわけじゃないので、軍隊体育会系の完璧さを教育に求めるのはデメリットと思います。

*2:酒でダウンするほど落ち込むときもありますがw