teruyastarはかく語りき

TVゲームを例にチーム理論やその人間関係考える記事がメインのようだ。あと雑記。

みんな同じである国は、職人ばかり育てて、商人やリーダーになるインセンティブが働かない

anond.hatelabo.jp
アメリカや中国に負けて、諸外国にも追いつかれそうなほど日本が停滞し続けてる原因は何かという話。

前に書いたことのアップデートとして考えてみる。


結論から言うと、同一民族、同じ教育を受け、空気読みが支配し、道を極める職人が好きな日本人は、良くも悪くも商人やリーダーに向かない。

職人はスケールしない。
職人は教えるのが下手くそだ。
野球道だと2年4ヶ月という短い期間しかない中で、一年はまず球拾いとか、寿司道だと10年は握らせないとか、先輩や師匠の背を見て長く空気を読んでいく必要がある。ただし、それぞれがガラパゴス進化する職人らしい利点を備える。独自進化ゆえ他社、他部署では扱えない技術だったりして、余計スケールしないが。

職人なので部品を作るのは得意だし、現場で優秀な人はたくさんいるが、それをまとめる優秀なリーダーはいない。優秀なプログラマーはたくさんいても、みずほシステムをまとめる優秀なプロジェクトマネージャーがいない。優秀な官僚がいても優秀な政治家はいない。

なぜリーダーがいないかというと、仮に「リーダー」になったとしても「和」を大事にする日本は合議制で決断するため、権限のない調整役でしかない。なんらかのプロジェクトリーダーになっても遂行権限はないため、相手先にいっても「社に持ち帰って検討します。」となる。

権限がない変わり「責任」もない。責任は合議制で分散。そのため「報酬」も少ない。日産社長の給与は、カルロス・ゴーンの何分の1かだろう。

「責任と報酬」がないリーダーでは、イノベーションを起こすインセンティブが発生しない。革新的な事をしようにも副作用で「余計なことはするな」と言われ、失敗したら責任をネチネチ問われる。

「クビか英雄か」みたいなチャレンジはありえない。成功したら会社のおかげ。失敗したらみんなの責任。リーダーがいないのに、何もチャレンジしないという継続的失敗で、その失敗はみんなの責任というスパイラルが一番まずい。


なぜ日本は合議制システムになってるかというと、社員を「クビ」にしない、簡単にできない、高度経済成長時代の「社員は家族。終身雇用。」という社会主義文化が尾を引いてる。雇用保障の厚い社会主義文化では「責任と報酬」をもたせて失敗したらクビなんて、ドライな事をしにくい。社長と社員は株主からみた契約における役割上の同列関係でなく、もっとウェットな縦社会となる。


「責任と報酬」のないただの調整役がまずいのは「政治」を始めることだ。上司や部署や取引先、人間関係のメンツなど「政治」をすることで自身の立場の強化とメリットを得ようとする。

「政治」でメリットを得る事の何がまずいかというと「お客」を見なくなること。

「自身の立場と人間関係」が「お客」より上に来る。このため、客に利便性のあるサービスや改善でも、自身の立場を脅かすような革新性は却下され、自身の立場や報酬につながらなければ合議制会議でデメリットを強調する側に周り、自身がそのプロジェクトにうまく食い込むまで決断は長期化される。いわゆる老害化。政治家が自身の立場とメリットを最大化させるため、票や献金を持つ各種団体を見て、国民というお客を見なくなる「政治」そのものである。*1


戦後の高度経済成長は池田勇人なり田中角栄なりいろんなリーダーがいて、松下電器、ソニー、ホンダなど革新的な起業もあって、その松下幸之助は「水道哲学」(水道の水のように低価格で良質なものを大量供給することにより、物価を低廉にし消費者の手に容易に行き渡るようにしよう)という 戦後のどうしようもない日本の生活インフラを支えるという志があった。

戦後や昭和のめちゃくちゃさは、人権も著作権もゆるく、メディアは限定され、各地方で空気なんか読まず、そうとう自分(自社)ルールで好き勝手にやってたはず。



村社会的な空気読みや決断の遅れ、政治的老害も日本特有ということではないが、「失敗の本質」と同じことを2020年に繰り返してるだけあって戦前からの縦社会求道文化と環境の影響は強い。アメリカは多民族移民国家で「みんなちがう」が大前提で話さないとわからない。他人を説得する自己主張が必須で転職が当然。

失敗の本質 戦場のリーダーシップ篇

失敗の本質 戦場のリーダーシップ篇

 



中国も多民族国家であって、自己主張なしでは生きていけない。社会保障が弱く、企業のやらかしから国民を守るということもあまりなさそうで、何度もバブル崩壊すると言われてるが、すべてのツケは弱い国民を保証もせずそのまま犠牲に埋めて見なかったことにすれば国有企業は崩壊しない。そんな環境で生き抜いてる華僑は親族が強く横につながりタフだ。

中国は1980年代の日本のように「護送船団方式」で重要な内需産業、特にIT関連でGAFAを許さず自前で抑えてるのも強い。もし日本が戦争で負けてなかったらGAFAどころかWindowsすら許さずTRONが日本標準になってたかもしれない。


日本の社会的環境要因といっても、別に遺伝子的にリーダーに向いてないというわけではない。たいていの評価システムがピーターの法則でポンコツ老害を生み出すようになってて、日本のウェットな空気読みと責任も決断もしない合議制が悪循環してるだけなんだ。


大企業のリーダーがインセンティブ弱いとなると、現代のソニーやホンダを起業するしかないだろう。風船のように膨らむソフトバンクや、楽天、LINE、CyberAgent、DeNA,ドワンゴ,ZOZO(は今やYahooJapanか)、バルミューダなどに続く会社を増田やこれからの人が起こすんだよと。



そして起業するなら「お金のいらない国」というタグでいくつか書いてるんだけど、社員を評価しない評価システムというか、全員のインセンティブが同じ方向に全体最適化される仕組みをどう生み出すかだ。

teruyastar.hatenablog.com

*1:票や献金に政治判断を左右されないエヴァンゲリオンのようなAI政治はいつやってくるのだろうか