サボる人や頭の悪い人をバスに乗せていいのか?

withnews.jp
前澤社長には共感するポイントが多くて、例えば

「そもそも、貸したお金なんてかえって来なくて当たり前じゃないですか。だから、『貸してくれ』って頼まれても、返ってこなくて良い金額くらいしか貸しませんし、お金が返って来なくても関係性が悪くならない人にしか貸さないですね」

俺はお金持ってないからそう人に貸すことないのだけど、そういうときは「この人にだったらいっしょにやってきたし、また将来世話になるかもだし、これぐらいあげてもいいか」と思って、貸すのではなくあげて忘れることにしている。あげたものだから貸した金が返ってこないとはならない。もちろん相手は律儀に返してくれたりするんだけど。

誰をバスに乗せるか問題

ビジョナリー・カンパニー 2 - 飛躍の法則

ビジョナリー・カンパニー 2 - 飛躍の法則

 

 この本で、
「成功する会社を起ち上げるには、
何をする会社か?
というニーズやコンセプトの設定よりも
誰をバスに乗せるかがずっと重要だ」
というような指摘があった。

スタートアップで何をするかを決めても、その事業を継続するとは限らない。やってみたらニーズもなく、コンセプトも上手くいかず、隣の業種に鞍替えして成功する事例もよくあるから。

会社を育てる人達がそれぞれ「能力の高い、いい人」でないと、柔軟に対応できず会社は成長しない。みんながそれなりのレベルでないと、不均衡や衝突や足の引っ張りあいが発生するみたいな話。

でもスタートアップで全員優秀な人揃えるとかジレンマなんだよね。
優秀だからこそお互いの方向性揃わないというのもある。
そしてジョブスの伝記とかAppleなんかわかりやすいけど、会社の成長と共に

「創業を支えてきた、ついてこれなくなった仲間を切っていかねばならなくなる」

ペーパーバック版 スティーブ・ジョブズ 1

ペーパーバック版 スティーブ・ジョブズ 1

 

 会社の成長に合わせて、さらに良い人材が上の指揮を取る必要がある。
トップの社長は数々の判断や失敗という「立場」がそのまま経験値となり勝手にレベルアップするからいいけど、周りは同じレベルアップできる「立場」にはいない。会社運営で経験値が平等に割り振られることはない。今までの勇者の仲間より、レベルの高い新しいパーティーメンバーに入れ替えないといけない。

これまで勇者を支えてきた古い仲間は2軍落ちに耐えられるものではない。成長が止まった仲間を重要なパーティーメンバーに置いたままでは会社の冒険は終わり、老害化してしまう。これがより大きなジレンマ。

お金のいらない国

この答えはもう「業績連動でみな同じ給料」しかないなと。
誰が上に立とうが会社の業績から給料が決まる。

エンジニアとして優秀なのに給料あげるためには、マネージャーへクラスチェンジする必要があってポンコツ上司を大量発生させてしまう。エンジニアとして優秀ならエンジニアとして給料が上がったほうがいいが、需要と供給でエンジニアとしては国内屈指でもなければ限界がある。マネージャーはその会社に特化した部隊の指揮官なのでより希少価値があり、それを目指す社員のポンコツ化が止まらない。

逆にエンジニアとして無能でもマネージャーとして有能かもしれない。それも普通の評価エスカレーターでは絶対ピックアップされない人事。でもどこに立っても給料が同じなら、それぞれが一番最適で、ベストではなくてもベターとして比較優位な職位に収まる。

こうすれば古い仲間ともずっと一緒にやっていきながらレベルアップしていける。みんなが一番給料を高くするため、会社の全体最適化のため、それぞれが比較優位な職に落ち着き、ジレンマは解消。

この給料をさらに上げたければ、2倍とか5倍の売上を達成するため部署の垣根関係なく協力する必要がある。自分の効率を1.2倍にするより、周りのみんなが2倍働きやすくなるほうが全体最適化が進み、会社の出力も売上もあがり、給料も上がる。

普通の個別評価ではこれが逆に働いて、自分(上司)の効率を1.2倍にするため、周り(部下)に2倍の手間や負担をかけるという社内競争や、派閥闘争が始まる。

経理も人事も自分の効率優先のため、めんどくさがってこっちの仕事してくれないのは、周りのみんなを優先しても自分の評価あがらないシステムだから。

「僕、『お金のいらない国』っていう本が好きなんですよ。『お金』っていう仕組みが無い国では、お金に縛られる事もなく、それでもみんな好きなことを仕事にして社会がまわってる、みたいな内容なんです。コーヒーが好きな人はカフェの店員をして、絵を描くのが好きな人は絵を描いて、とかそういうの。そういう世界が実現出来るといいなって思ってます」

「なるほど。抽象的すぎてぜんぜんわからん」

「うーん、本当はお金なんてなくたっていいじゃん、って思ってるんですよ。みんなが好きなことを勝手にやって、それでもなんとかまわっていく世の中になると素晴らしいなって。僕は会社をどんどん大きくして、よく働く人もサボる人も、頭の良い人も悪い人も、いろんな人を採用して、そこでみんなそれぞれ好きなことを探してそれを仕事にするような会社にしたいんです」

「それもさっきの平等思想みたいなところから出てるやつですね。でも、採用とかはどうするんですか?適当に選ぶの?」

「究極的にはそれで良いと思ってますよ。クジ引きで選ぶとか先着順で選ぶとか。学歴やスキルやバックグラウンドに関係なくどんな人でも皆平等に働けるような環境を作りたいですね。『働きたい』っていう人が居たら『じゃあどうぞ』って。だから会社としては『誰にでも出来るような仕事』もたくさん用意しておかなきゃいけないんですよね。簡単な仕事から専門的なものも、あらゆる仕事を全部用意しておきたいんです」

これがまさに、同一給料という「お金の価値観」を崩した世界。
(株配当の矛盾はしらん。あくまで社内という閉じた世界で内側に競争せず、外に一丸となる仕組み。)

この本質は「サボる人、頭の悪い人でも、どうやってお互い成長して同じ方向むけるようになるか?」という度量の広さかと。

ホウレンソウ禁止で1日7時間15分しか働かないから仕事が面白くなる

ホウレンソウ禁止で1日7時間15分しか働かないから仕事が面白くなる

 

休みが日本一多く、給料も地域では一番。
ノルマもホウレンソウもない、未来工業がまた似た価値観を持っている。
創業者であり、相談役の山田昭男がおなじくサボりというか、人間のダメな所を許容するような度量の広さと、それにつながるルールを持っている。貸したお金なんて返ってこない前提で人間のダメなところをある程度許容し、社内で競争しないZOZOと、とても哲学が似ている。

ビジョナリー・カンパニーで示された「誰をバスに乗せるか」を考えるのは、もう過去のものではないだろうか。

そうではなく「誰を乗せても、お互い成長して、協力しあっていけるバスの運営システム」を考えるのが、これからの社会を担っていくのかもしれない。
 

お金のいらない国

お金のいらない国