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小中学校のいじめはなくせる

という思考実験。


「いじめをなくす」から「いじめはなくならない」に発想を転換すべき〜教育現場にリスクマネジメント手法を導入してはいかがか - 木走日記
http://d.hatena.ne.jp/kibashiri/20120718/1342597259


学校があるかぎり、いじめはなくなりません - デマこいてんじゃねえ!
http://d.hatena.ne.jp/Rootport/20120706/1341589544


2つとも内容は同意。
妬み、やっかみ、序列、生き残りなどいじめは人のサガという
本質的なところに触れるので根本的な解決は不可能。
でも、「人のサガより、人の知恵の方が上」なはず。


条件は閉鎖的な小中学校環境のままでOK。
人的リソースの再配置と、方針の転換でやりましょう。


担任と生徒が腹を割って話せる環境を
長期的視点で構築するという形を目指します。


まず構造的問題である教師の授業における負担を大幅に減らして、
社会的情操教育の方により多くの時間を使う
ようにします。
その余った時間で未来の大人達を育てていくよう指導します。

先生を増やす


数年前のNHKプロフェッショナルだったと思うのですが、
学級崩壊を立て直した先生の回で授業中の小テストを
本当に理解したか先生のチェックを受けるという方法を取ってました。
本当に理解してチェックをパスした生徒は、
他の生徒をチェックできる先生役になれます。

先生が増えるほど担任は手が空くんですね。
その間に気になってる生徒を別室に呼んで
個別に話を聞くという時間を作り出していました。

これはよい方法だと思います。


でも中学校だと教科ごとに先生がわかれて自分のクラスは
1日に1時限あるかないかです。
今回できれば全員と長期的に会話したいので、
中学も、小学校のように
担任がほとんどの教科を見たほうが生徒一人一人を見るのに都合良いかもしれません。


なので上記の方法をさらに飛躍させます。

生徒が先生に勉強を教える授業


教科書と机があれば生徒は勉強できます。
「この時間は○○ページまで進みましょう。」
と設定するだけでOKです。


できた人から先生に説明して
それをちゃんと先生が理解できたら合格。
その子は他のまだできてない人に教えることができます。
ねずみ算のように教える人を増やして
最後の一人まで理解したらクリア。
全員クリアしたら授業途中でも自由にして構いません。


40人の先生がいたら40通りの教え方があるので、
誰かが一番わかり易い教え方を見つけたり
共有したりというのもいいでしょう。
教える人の組み合わせは同じ仲良しグループだけに固まらないよう
担任がうまくシャッフルします。


この方法なら担任は教科の中身を知らなくても構いません。
生徒に教えてもらえばいい。

中には予習したり、塾で先行して学んでる人もいたりしますし。
テストだって一昨年のものとか、市販のものでもOK。
なんなら採点だって生徒に任せて
何が悪かったのか教え合わせれば、かなり手を抜けます。
授業中に生徒を呼んで個別に話を聞くことも可能です。


全教科やいろいろ機材が必要なものまで
この方法というわけにはいきませんが、
教科書で済む多くの部分は対応できます。

副次効果として


話すきっかけがふえて誰でも自然とクラスの輪に入りやすくなります。
クラスの中で自分と無関係な人がいじめられても巻き込まれたくないですが
長期間個別に教える、教えられるというのは
クラスで無関係な人間を作らずに済みます。


逆にクリアできない子がいじめられないかと心配かもしれませんが、
クラスでできない子を認める、許す、許容する、長い目で見守る、
ということをそれこそ長い目で指導していきます。
これはまた後ほど。

教える人ほど、頭に入る。


これは先生方ほど周知の事実だと思うのですが、
誰かに教えようとする人ほど頭に入るのです。
言葉で誰にでもわかるように説明できた時が
きちんと整理して理解できた証であり、
それを考える工程は良質な学びです。

だから、本当に勉強するのであれば生徒ではなく、みんな教師をしたほうがいい。


TVのクイズ番組でよく活躍してる京都大学卒、ロザンの宇治原は
部屋で勉強してる時は、一人先生ごっこをして
教師と生徒役をかわるがわる演じつつ勉強したそうです。
まさに教える過程の本質を掴んだ勉強法で、かつ
親から見たらかなり気持ち悪かったようですね。


出来る人は、他人に教えるより自分でどんどん先へ進んだほうが得なのでは?


という考えもできますが、
そこは最初のうちで「基礎が大事」ということを
担任としてきっちり教えておいてください。


「基礎が大事」という本当の意味を理解しているか? - teruyastarはかく語りき
http://d.hatena.ne.jp/teruyastar/20110208/1297157480


教えれば教えるほど、新たな気づきもあれば最適化もされます。
自分の基盤が盤石になるのは決して遅れではないですよ。

教師役があぶれたら先へ進んでもいいですけどね。


一番できそうな人を、一番わからなそうな人にあてるというやり方でも
自然と平均化されるかもしれませんね。


優秀なマネージャーは優秀なカウンセラー


僕の尊敬する先輩で立場や世代を超えた
いわゆる高校生アルバイトを率いて業績トップを達成した人がいました。


誰をどう配置してどう動かすかほんとに的確で、信頼も厚く
中にはプライベートなことを相談する人もいる。
バイトはいれかわり数十名にもなるのに
それだけ一人一人をよくみて性格、趣味、近況を
きちんと把握してるのが異常なぐらいすごい人でした。

その人はどうやって信頼を得たか?


先輩の秘訣はとにかく「会話」でした。
仕事中も、休み時間も、仕事後、遊びに誘われたら休日まで。
まず相手の話を聞き、「味方」であるというと認識してもらうまで
相手のありのままを認め、欠点はカバーしミスしても責任は全部負うと。


マネージャー職で仕事ができるから、仕事中に会話できるのはまだしも
休み時間や、仕事後までフォローするというのは凄いです。
先輩は
「人と話をするのが大好き。仕事は大嫌いだからみんなで楽できるようにする。」
といってたのでそれが苦ではなかったのでしょう。


もしこの人が先生だったら、
生徒からの人気度や信頼も抜群なんだろうと思います。
話を聞いて、ありのままを認め、褒めるところはひたすら褒める。
信頼感を得てから、相手のために自分の経験や考えを述べる。など、
相手の態度や行動への自然な影響力も高い人でした。


ただ、小中学生だともう少しコツが要りそうですね。


「常識だから」や「ルールだから」で対応しない


いじめの話だけじゃなく信頼関係を得るまでは
大人の正論、社会の法律やルール、
学校と先生の都合や常識を持ちだしてはいけません。
ほんとに「味方」だとわかるところまで肯定して
いちど常識やルールは無視したまま、
小中学生の独善的な倫理観の視点を認めることから一緒に考えていきます。


ゆっくり一歩づつ長期的な話に付き合っていくと、
独善的な狭い価値観は矛盾します。
信頼関係を得たあとで、その辺をうまく解決できる方法を
生徒と一緒に考えましょう。


まあ、この辺はわりと先生方みんな心得てそうで、
そんな長期的に話す時間はほとんど取れない、
ということが問題だったと思いますが。


ここからはどう指導していくかの話。
学校や親の誤ったメッセージがいくつかあります。

誤・いじめは絶対許さない


これは逆効果です。


生徒どころか大人にも「いじめ」という曖昧な部分は認識できません。
そもそもいじめと思ってなかったり、いじめと認めたくなかったりします。
この言葉から届くメッセージは「絶対許さない」だけです。
これは正義感を誤った方向に膨張させます。

いじめの発生源もこの「正義感」から始まることは多いです。


「あいつの知ったかぶりが許せない。」
「アイツのせいで大恥書いた。絶対許さない。」
「なんであいつズルしたのに特別扱いなんだ。絶対許さない。」
「なんでクラスで決まったことなのに協力しないの? 絶対許さない。」


「絶対許さない」という否定語がNGワード
むしろ絶対許してはダメだという公的お墨付きのメッセージみたいなもので
ますますちょっとしたミスや、スレ違いや、冗談みたいな悪さでも
全員で最後まで追い詰めるような正義感を助長することになり、
これでは将来的に誰も発言しない、誰も決断しない、誰も責任を取らない
ような社会を作り出します。


教師が教える言葉は
正・「他人と違うことを認め、許容し、許すこと」
です。
各学校であの標語を掲げてたりしますが撤去したほうがいいと思います。

誤・みんな公平に権利をもらい、平等に扱われます。

これは標語でもないですが、そうあるべき当たり前の権利として
子供達に社会的メッセージとして扱われてます。
子供は弱いし学校ではそうあるべきだと。
でも僕は、学校の時点からハードルを上げたほうがいいと思います。


正・「あなた達は生まれた時から不平等で、これからも不平等に扱われます。悔しかったら知力、体力駆使して這い上がってきなさい。」と。


だからと言ってあえて不平等にするわけではないですが、
誰の目から見ても平等なんてありえないです。
ほんとに生徒に平等に接するとしたら、
生徒に一切かかわらないのが一番平等。
なんでもかんでも平等を求める大人にはならないでください。
平等を求める正義感は悪い方向に暴走します。


平等を求めるため、平等にするためのエネルギーとそれから得られる利益は、
そのエネルギーで新しい利益を生み出すことに比べたら圧倒的に小さいです。
人生80年しかないのに、平等感を得るために
パイの分け方に文句を言うことに時間かけてると
平等で喜んでるようにみえて、
パイの鮮度が落ち、全員で損しちゃう。


で、中にはパイすらもらえない人もいるわけです。
そういう人に自分のパイを分け与えることを教えましょう。
そこでも平等を訴える人は、自分の小さなパイではなく、
「より大きなパイをもらった人が分けるべきだ!」と言うでしょう。


でもいいんです。
大きなパイを一人で食べるより、
小さなパイを分けて食べるほうが幸せだということを教えましょう。
みんなが持ってる正義感は本来そういう人こそ助けたいわけです。
そのつながりがいずれより大きな力となって返ってくる。
利益を独り占めするんじゃなくて、
小さくてもみんなで分け与える大人になってください。

損得で考える人生より、楽しさで考える人生


平等というのは損得で考える価値観です。
悔しかったら這い上がってこいといいましたが、
みんながみんなそうでなくてもいい。
勝ち負けと、楽しさは別のベクトル
「楽しさ=全力を出すこと」です。


勝ち負けは運もあります。
当然負ける人のほうが圧倒的に多い。
トーナメントで一生勝てない人もいるでしょう。
しかし、全力を出して楽しむことだけはみな平等に得ることができます。


「生きてるだけで丸儲け」の意味 - teruyastarはかく語りき
http://d.hatena.ne.jp/teruyastar/20111024/1319401678

誤・人に迷惑かけてはいけません。


正・「あなたが生きてれば必ずどこかに迷惑がかかるんです。」


何気ない一言でも、そこにいるだけでも、何もしてなくても、
勝っても、負けても、何らかの理由で迷惑に感じる人はいます。



正・「だから人に優しくしてください。」



情けは人のためならず、自分のためにです。
自分が生きて周りに迷惑かけることを許してもらうために
他人に情けをかけてください。
出来る範囲でいいので協力してやってください。
決して優しさの押し売りではなく、さりげない手助けであってください。


あなたの積み上げた優しさポイントの分だけ、
あなたは周りの批判から免れます。
いじめの対象になりにくくなります。
優しく出来る人だけが自由に生きれる世の中です。


周りをよく観察して、適切なタイミングであるほど
大きなポイントが貰えますよ。

生徒の狭い価値観を広げていくことが教育


朝日新聞デジタル:いじめられている君へ - さかなクン
http://www.asahi.com/edu/ijime/sakanakun.html


さかなクンさんの名文。
メジナは海の中ではみんな仲良く泳ぐのに、
狭い水槽に入れると、弱い1匹をいじめはじめ、それを助けても助けても
次のいじめられっ子が発生するという話で必読です。


メジナは狭い水槽で、餌や水質などの限界を感じ取ったのかもしれません。
弱いやつをいじめなければ、自分の取り分が減る。
この世界は、決められたパイしかないと。


でも、みんな勝手に限界を決めるんですよ。
世の中の美味しいところはみんな取られたと。
今から追いつけないと。自分には無理だ。
ここはもう狭い水槽なんだと。
未来のあるこれからの子供たちですらもう狭い水槽の思考に浸かってたりする。


そうすると、自分が少しでも優位な存在になるには
誰かの欠点をあげつらい、落としこんでいくしかない。
狭い水槽ばかり見て、足を引っ張り合い、
広い海を見ないなんていう人材ばかり送り込んでいては
国の将来も危ういです。


平等とか公平とか、正義感が狭い水槽の中に向けられたときはまずいです。
広い海へむけていろんな価値観を見せてあげないといけない。
生徒たちの授業中の行動や発言の端々に、
当然の権利、公平感、など内向きの正義感が見られるはず。

その場で注意するのではなく、
後の会話で個別に広い海へと少しづつ誘導していく。
そうやって育った人たちと一緒に未来を作っていきたい。


すごい物を見てもへこたれないために - teruyastarはかく語りき
http://d.hatena.ne.jp/teruyastar/20100719/1279480691

そんな無茶な案は通らない?


思考実験でしたが
前半は時間確保の方法、
後半は時間をかけて広い海へと少しづつ誘導するための
価値観の話でした。


とはいっても、中学の教科を
担任が全部担当しますと言ったって認められないでしょう。
国が完璧に穴がないよう議論して、根本的に何か変えるとしたら
役所仕事だと20年以上かかるかと思います。
先生だって生徒へ教えるために勉強してきたのに
そんなこと受け入れられないという人も多いでしょう。
うまくやってる学校のほうが多いとしたら
それを変える必要も無いですし。


でもうまくいってなくて変えなければいけない学校は、
別に完璧じゃなくていいから、
70点の仕様でいいから特区やテストケースとして
試しながら試行錯誤したほうが早いかもと思います。


まあ、無茶はわかってるのでもう少し現実的な代案を。

生徒との交換日記という代案


これも先週放送プロフェッショナルのカリスマ先生の受け売りですが
「生徒との交換日記」をやってました。
最初はつたないそっけない言葉しかなくても、
先生がひとりひとり真剣に向き合った言葉を返し、
長い時間をかけることで
どんどんプライベートな心情を書いてくれるようになったそうです。


これならどこでも始められますね。
とはいえ、40名分の日記に真面目にコメント返すなんて
相当な負担だと思いますから、やはりいろんな授業準備や
授業そのものの負担を軽減出来る仕組みも欲しいところですが
いい方法だと思います。

小中学校のいじめはなくせる・まとめ

生徒が先生に勉強を教える授業で、
個人ごとのペースで勉強を進め、
クラスで無関係な人を作らず、
先生の役割を勉強ではなく、社会性の情操教育へ重点を移す。


日記や、日常的会話、たくさんの個別面談を通して、
大人の常識やルールではなく、
まずは生徒の独善的価値観を認めることから
長期的信頼関係を築く。


他人の癖を許容すること。
できないことを許すこと。
不公平を受け止めいちいち目を向けず、
不公平すらいかに楽しむかを考えること。
普通に生きてるだけで人に迷惑をかけることを前提で、
人にはなるべく優しくしていくこと。など、
日常の言動から、狭い水槽向きの正義感を
多様な価値観の広い海へ向けるよう誘導していく。


そういった情操教育を小学校4年生あたりからして、
さらに先生方で方法論を洗練させていったら
その環境で育つ生徒からは「いじめ」という曖昧な単語はなくなって
より個別の問題や、家庭環境の問題などの方が
強く浮き上がってくると思います。


そこまで問題のレベルが上がるともう、
学校の責任範囲を超えてるのでどうしようもないですが、
解決はできなくても
真剣に話を聞いてくれる理解者がいるというだけで
子供にはかなり助けになります。
そのときは、先生とクラスメイトが良き理解者であって欲しいです。



第25回 田尻悟郎(2006年9月7日放送)| これまでの放送 | NHK プロフェッショナル 仕事の流儀
http://www.nhk.or.jp/professional/2006/0907/index.html


第189回 菊池省三(2012年7月16日放送)| これまでの放送 | NHK プロフェッショナル 仕事の流儀
http://www.nhk.or.jp/professional/2012/0716/index.html


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