teruyastarはかく語りき

TVゲームを例に組織効率や人間関係を考える記事がメインのようだ。あと雑記。

はてなブックマークのようなゲーミフィケーション


目からウロコでした。


「いい意味で "ゲーム感覚"!」の時代? | クロ子のプレビュー見学記 | クローズアップ現代 スタッフルーム:NHK
http://www.nhk.or.jp/gendai-blog/100/107238.html


(この記事は、組織内ゲーミフィケーションへの言及です。番組や本来の意味ではもっと社会的に広い応用の事を指すようですが、特に感心した所を取り上げてみました。)

ゲーミフィケーションって本当に使えるの?


僕はゲーミフィケーションというのを、
XBOXの実績や、PS3のトロフィー、スマッシュブラザーズ
プレイするたびに細かないろんなバッヂがもらえる奴だと思ってました。
もし会社側でこれを設定したとしても、どこかで限界があるんですね。
仮想のゲームと違い、現実はそんな簡単にレベルアップしない。
ある程度レベルにあったバッヂを集めると、みんな行き詰ってしまう。


他にも短期的な社内競争というのは有効なんですが、
長期的な競争は最初から勝負が見えてたり、
短期的な競争も同じ競争は何度も効かないので
毎回手を変え品を変えで、
競争の切り口を変えないと効果が薄れるけど
そんなめんどくさいセッティングをすることに余計コストが掛かる。

コメント付きバッヂの威力


番組で紹介されてたのは、
チープなソーシャルゲーム程度のグラフィックで
画面上にバッヂがもらえるという奴でしたが、
会社側で設定したバッヂ以外に、同僚からももらえるんですね。
「先輩のアドバイスで新規開拓が成功しました。」
みたいな、コメントと一緒にバッヂがもらえる。


仲間の感謝の気持ちが可視化される。
シュートした人だけじゃなく、パスした人、サポートした人が、
そのコメントと共に可視化され、バッヂが貯まる。

であれば、部下の教育にとても貢献した人や
目立たないけど社内調整にとても役立つ人などの可視化も可能でしょう。


部下の能力を引き出すリーダーとは


ある種の良いリーダーというのは、ほんとに部下に目が行き届いて
いろんな所で部下をほめたり、サポートしたりで、
部下の能力を引き出すのがとてもうまいです。
しかしそれには、相当な時間と細部の目配りが必要。
なかなかそこまで教育に時間を割く余裕と
実力の揃ったリーダーはいません。


目が届かない上司からの評価は、
単純に「営業成績」など数値化できるものと
その人の人柄や、あくまで目の届く範囲の評価でしかありません。

でもほんとに周りで働く人はちゃんとその人のことを見てたりする。
かといって、360度評価は談合になりがちなので、
周りの意見で評価というわけにはいかない。
実は大事な仕事してるのに認められない、成長してるのに評価されない、
実は認めてるんだけどあえて褒める機会もない、それが可視化されない
というのはちょっと辛いです。

給与とは違う社内評価


で、同僚による「コメント付きバッヂ」の進呈です。


これは別に給与へ反映されるわけでは無い。
それでは談合になる。
しかし、その人が「営業成績」以外でもとてもみんなに貢献してたとしたら
なかなか無視できないバッヂの数になる。


この間接評価は嬉しいですよ。
給与に直接反映されなくても、上司の主観や、
あるいはその上の社長の目にも止まるかもしれない。
ちゃんと自分のやってることが仲間に評価されてる証ですから。
不自然なバッヂの付き方はちょっと周りに聞けばいいだけで、
そうやって可視化されるのがいいですね。


ひたすら上へ目指すゲームと、みんなと協力するゲーム


これは確かにゲーム的です。
今の自分より常に強いモンスターを倒さねばならないというのはきつい。
それは成果報酬で、エースストライカーのみ上へ上がるゲーム。


しかし、自分よりLVの低いモンスターを倒して経験値を稼ぐ、
つまり自分が倒したモンスターの倒し方をみんなに教えるほど
経験値はかせげて、仲間のサポートをして、協力してより強いモンスター
を倒したら、主力でなくても、ちゃんとLVにあった経験値がくる。
こういった、下向きの協力プレイも評価されるというのは
オンラインRPGや、ソーシャルゲームに似てると思うんですよね。

コメント付きバッヂが、短期目標更新につながる。


で、この「コメント付きバッヂ」というのが、
はてなブックマーク的だと思うのです。
僕のブログも、はてなブックマーク
一種のモチベーションとなってここまで続いてますし。
はてブでは、罵詈雑言も言えますが、社内で使うバッヂでは
そんな人格を疑われるような発言なんて誰もしないでしょう。


この、営業成績ではないけど、
下向きの協力が仮にでも評価されるというのは、
いろんな方向性からの短期目標更新(バッヂの累積)になる。


会社がひとりひとり個別設定更新するには不可能な短期目標、
自分で個別設定してクリアしてもさほど評価されない短期目標、
その評価がゆっくり回り始める。

激的な効果ではなくても、
ほんとにゆっくり有効に使えるんじゃないかと感心した次第でした。




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