teruyastarはかく語りき

TVゲームを例に組織効率や人間関係を考える記事がメインのようだ。あと雑記。

「従業員」というシステムはもう限界にきている

(追記あり)

ベンチャー企業あるあるにハマった。
http://anond.hatelabo.jp/20130811212721

起業して4年。年商4億、従業員10名まで到達した。

中途採用で新人を取り出してから我が社は完璧なブラック企業と化している。
というのも、創業メンバーの残り三人が
「創業時の自分と同じ働き方」を社員に強く求める傾向が
どうしても止められないのだ。

代取である自分としては、利益の最大化をムリに目指すより
永続する業務のシステム化を優先し
能力の属人性を限りなく少なくし、
誰でも回せる会社システム構築を目指すべきだと考えている。
その結果として、一人当たりの利益は少なくなっても、
労働量はより減るようにするべきだと。

「俺が出来たんだから社員もできるはずだ」の論理がまかり通っている。
でも、僕はサラリーマン出身だからわかるのだ。
裁量がない状態で10時間働くのはフリーハンドで20時間働くよりキツい。
そういうわけで、社員が全く定着しない。

我々創業メンバーには、上下の明確さがない。
また、同時に一人が欠けても会社自体が危ない危うい仕組みのまま
ここまで業務を拡大してしまった。
全員にとって全員の仕事がほとんどブラックボックスになってしまっている。
新人の導入は、個人職能に依存していた会社をシステム化し
最適化するための試みだったのだが、出来ている気がしない。
というか、全体の仕事の8割を相変わらず創業メンバーがこなしている。

(以上抜粋)

年商の3.2億を役員4人で、0.8億を従業員10人で稼いでる。
であれば、従業員雇うより1億円以上の年商を稼げる役員を
すこしづつ増やすほうがいいのでは?

零細企業では、
能力の属人性を限りなく少なくし、誰でも回せる会社システム構築
に、特許でもなければ競争力を保てない。(あるんだったらいいけど)


「このクオリティでこのスピードは、この人でしかできない」
という属人性こそが競争力の源泉かと思う。

モウレツ役員のブラックボックス化は、モウレツ役員でしか吸収できないだろう。
そういう意味でも役員を増やせばいいのではないか。

だって、彼ら(従業員)が我々と同じだけの利益の分配を得ることは絶対にないんだから。

これまで苦労した分の権益確保という考えだから絶対ないのであって、
さらなる利益シェアと考えてはどうか。

1億売るモウレツ役員が増えるなら、
売上も上がる、利益の分配もできる、一人あたりの利益も上がる、
役員が増えるほどブラックボックス化が解消される、
みんなの裁量が大きいままなら、
好きに遊べて休めるブラック企業で問題ない。



全員役員なんて無茶かと思うでしょ?

でも4人で立ち上げたメガネ21がこれに近いことを成功させてる。


管理職・上司なし、ノルマなし、給料はガラス張り−メガネ21 実践!シラケ社員の「やりがい10倍」の仕かけ【6】人事破壊:PRESIDENT Online - プレジデント
http://president.jp/articles/-/5970


内部留保を残さず社員とお客に還元。
社員が全員株主*1であり銀行(金利ももらえる)である。

何年か前に聞いたときはそういうやり方が果たして続くのかと思ったし、
そのときは給料の話はなかったけど、今この記事見ると
基本給は低く抑えつつも、賞与は500万超えもあるうえ上記仕組みもあるから
低価格メガネを扱ってながら収入は高いようだ。

平本清 メガネトゥーワンの実態と評判【同業者が嫉妬?】メガネ21の危険な裏情報 - NAVER まとめ
http://matome.naver.jp/odai/2130855039671358801?&page=2

カンブリア見たか?
優秀社員五百万
新入社員百五十万
これメガネ21のボーナス
しかもノルマなしだと
ばかばかしくてやる気なくなった

動画みたけど、冬のボーナス1回だけで560万らしいw
その代わり基本給が最大27万らしいので1500万はいかないぐらいかな。

『安く販売して多額の賞与が支払えるのは何故ですか?』
http://www8.two-one.co.jp/megane/qa.nsf/c632027efe0c30f5c925758500277bfe/af8a449d0d9fb5d9c9257664001a7c67?OpenDocument
 

『マスコミは高額のボーナスをクローズアップしますが
 年俸は社長でも1000万円を超えません。
 (株)21は経営危機に備えて月給の最高額を27万円に抑えています。
 残業代も含めてですから他社と比べれば熟練技術者として最低額です。
 そして業績が良ければ多額の賞与を支払うシステムなのです。』


内部留保無しなのに、銀行でもある社員みんなが
会社から資金を引き上げたらどうするか?
という問にも公式で答えてる。

内部留保がないと、業績悪化等の経営危機が訪れた時、即座に倒産しませんか?』
http://www8.two-one.co.jp/megane/qa.nsf/c632027efe0c30f5c925758500277bfe/d8bc9f74f856b12349257073001aa481?OpenDocument

『フォッ・フォッ・フォッ  厳しいご指摘ですな〜。』

『しかし、ご安心下さい。
 (株)21は経営危機に対して、4枚腰の対策が用意されています。』
   
 (第一弾) 年間最高賞与は800万円くらいです。 業績が下がれば
        その賞与を減額します。
        更に、社内預金の利息を10%→0%まで引下げます。

 (第二弾) 更に仕事が減れば残業を無くし、休日出勤も無くします。
        年間一人平均99万円の残業手当と62万円の休出手当が
        削減できます。

 (第三弾) 更に暇になれば、時給1330円〜1520円のパート社員が
        勤務時間を減らします。

 (第四弾) 定率で減価償却していますから設備投資を中止すると
        毎年、経費が減少し経営が楽になります。

『創業当時を考えれば余りにも高額な賞与ですから、賞与が減額と
 なっても私達は簡単に受け入れられるじゃよ。
 社長の年収は社員の最高額と決めていますから、社長である私の報酬
 も自動的に減額されるシステムになっています。』

『多数の社員が預金引出しに殺到した場合は?』
http://www8.two-one.co.jp/megane/qa.nsf/c632027efe0c30f5c925758500277bfe/f9762c96ab1b6d854925709700219e22?OpenDocument

『不安を持つ社員の比率によって対応が異なります。

 【0〜10%の場合】
  預金・資金残高の範囲内ですからスムーズに返済に応じます。

 【11〜30%の場合】
  経営陣の自宅担保で銀行借入を行い返済に応じます。
  担保提供者には利益配分を増加して報います。

 【31〜50%の場合】
  商品仕入を現金支払から手形支払に変更して返済に応じます。
  取引メーカーに対して年10%の金利分を上乗せして支払えば
  喜んで協力してくださると思います。

 【51〜90%の場合】
  手形決済を採用すれば、潤沢な資金が確保できますから
  100%の社員借入返済が可能です。
  「社員の会社」から「メーカーの販売店」に変貌して、
  社員の幸福よりメーカー様の幸福を優先します。

 【91〜100%の場合】
  殆どの社員が(株)21の存続を願わなければ会社を
  清算すべきだと考えます。 』

ただ全員株主だからこそ、
仲間の採用に関してはその人柄や働きぶりをみられて厳しいようだ。

『採用基準を教えて下さい。』
http://www8.two-one.co.jp/megane/qa.nsf/c632027efe0c30f5c925758500277bfe/11e10fa7fe001e61c92575e400164563?OpenDocument

僕が最初に言ったような
能力の高いスーパー役員を採用するのではない。
不正行為をせず、冷蔵庫に入らず、モラルが高く、
一緒にこの文化で働ける人を採用する。
少しづつ採用しながらも、この試みが今日までうまく拡大してるのが面白い。


人間の心理では、野心ある人やモチベーションの化け物でも無い限り、
給与と裁量こそが能力と知恵の限界を決める。
狭い裁量の中で先が見えたら誰も頑張らないし、
給与の上限が決まってたら自分にとって一番効率のいい、
(会社には効率悪い)妥協点へ流れる。

創業者達に限界は大きくても、この雇った従業員が結局創業者の重い足かせになる。
創業者は常に雇った人数以上のバイタリティと知恵で、
変化の激しい時代で、限界設定された従業員を引っ張って行かないといけない。

上司や管理職をなくして、賞与最高が800万という
多分税法の上限までは頑張れるシステムがあったら
知恵を出して働く人が増えるんじゃないか?
単純に言えば全員役員でいいじゃないかと思ってたが、
誰もやらないのはある程度の規模になると
やはり創業者に旨味がないからだろう。
従来の従業員システムならこの規模の創業者で
何十億の資産をもてることになるのだから。


それをやった、メガネ21はどうか?

『平本相談役は社長より偉いんですか?』
 

(株)21には相談役が10余名います。
皆さんは、年金・14万円前後の月給・社内預金利息で生活され
私達の相談に乗って頂いています。
もちろん平本も、その相談役のひとりなので
月給14万前後です。
  
でもその中で平本相談役は
(株)21の経営スタイルを提案した人物ですし
特許取得・講演料・著書印税などでも抜群の稼ぎ頭です。
 
だから
交際費や社用車は独り占め状態ですが
私達は甘受しています。
  
むしろ
経済界の実力者から経営指導を無料で授かり
私達に指南してくれますから助かりますし
出費より稼ぎが格段に多い平本相談役の貢献に
感謝しています。
  
だから
稼ぎが減れば待遇を即座に下げます。
でなければ
「丸見え経営」の(株)21では全社員が非難します。

こう書くと例外的な感じがしてしまうが、
ホントに儲けるというのは、ゴルフプレイヤーがCMで稼いだり、
プラットフォームハードより、そのソフトで稼いだり、
製品を作ってるメーカーが、その流通で稼いだり、
なにかしら本業より一枚上のレイヤーに出口はあると思う。

あくまで本業狙いだとしても年収3000万あれば、
年収何十億の人と贅沢の質は変わらないとどこかの博士が言ってた。
プライベートジェットや宝石を買うのでなければ、
世界99%のサービスを受けるのにそれで充分だろう。
3000万ならこのシステムでも充分狙えるのではないか?


人件費がほとんどのメガネ21がこのやり方でここまで来たのなら、
これは新しいベンチャーにも使える手法なんじゃないだろうか?
なにせ業種によっては安売りで還元する必要もないのだ。

税金が気になるなら、
全員役員で、みんな800万もらって年間200日休むとか、
それこそ会社のみんなが使える交際費が利益で決まるとか、
そういう会社が生まれてくるんじゃないかと思う。


人権、税金、ロボット、システム、ネット化のレベルが低い時は
「従業員」システムこそベストだった。
しかし、デフレで労働時間が長く先の希望がみえず
ブラック化や、鬱が増え、人を雇うコストは高くなり、
ロボットやネットと「従業員」が競争させられるなかでは
もう「従業員」の働ける限界を超えている。


必要なのはロボットやネットと戦える「海外のもっと安い従業員」ではなくて、
「日本人の役員」ではないだろうか。

でも、僕はサラリーマン出身だからわかるのだ。
裁量がない状態で10時間働くのはフリーハンドで20時間働くよりキツい。

役員とは裁量の拡大と、給与の上限を取り払うこと。
そのためのシステム透明化。
21のように、給与のいくつかが「投資」にまわり
みんなが*2「労働者」かつ「資本家」のハイブリッドになること。*3

これがストック・オプションだけでうまく働かないのは、
上司に監視されたまま自分で仕事を判断する裁量がついてこないせいだ。
自分の判断で価値を上げられない株に汗をかく奴は少ない。


すでに既得権益のある企業を変えるのは無茶だし、
いろんな業種にこれを当てはめるのも難しい。
でもこれから新しく生まれるベンチャーこそ、
みんなの知恵と能力を最大限に発揮する心理システムとして
「全員役員」という経営が増えてもいいんじゃないだろうか。

雑感(追記)

21経営のメリットは
権限と金を社員に下ろしたことで、

■リスクが共有され不景気に柔軟な対応ができる事。

■銀行に頼らなくても済むこと。

■いらなくなった膨大な管理費が全て収入になる事。

■社員が役員のハッパにシラケて適当なところに落ち着かず、やる気が発揮されること。

■ブラック化しにくい事。

■一族経営の吸い上げ、派閥化、社内闘争にならない事。

■社員が比較的幸せなこと。

■通常のフランチャイズ経営のように、
リスクは全部FC、リターンは本部と折半というハイリスク・ローリターンにならないこと。

フランチャイズ店の加盟手数料が、売上の1%では安すぎませんか?』
http://www8.two-one.co.jp/megane/qa.nsf/c632027efe0c30f5c925758500277bfe/9044a16c1d1c584749257073001ad470?OpenDocument
 
『銀行さん・信用調査会社さんは異口同音に「支払責任があり、リスク
 が大きすぎるので信じられない。」と言われます。 でも事実です。』

など、これだけでも充分変化に強い会社ですね。
なんといっても、
本来
「銀行金利
コンサルタント
「税理士」
「管理職」
「社外監査役
「株主配当」
「管理システム」
など普通に払うべき費用を
全て現場で働いてる人の収入(もしくはお客様)に還元できるのが強いです。


普通は
固定費である人件費をいかに圧縮して経営の健全化をはかるために
たくさんの時間と関節管理費用をかける。
のですが
できるだけ高い人件費を払うために、
いかに関節費用や時間的コストそのものをなくす。

という逆の発想は今でこそ異端ですけど、未来の健全な常識になるかもしれません。
*4


代わりにデメリットといえば、

■「めちゃ稼ぐわがままな人」よりも「モラルのあるいい人」ベースでしか採用できない。

■店舗を出店するにもみんなから信用されて出資されるまでに長い時間をかけるので、
このフランチャイズ形式ではチャンスがあるときにも急拡大に向かない。

■本部が利益を出さないので創業者達が億万長者にはならないかもしれない事。

でしょうね。

億万長者になりにくいとか、
自分が得しないのになんのために会社を作って大きくしたのか
まずこの前提条件が信じられなくて、マスコミの疑問がたえない。
そりゃ、宗教とか怪しいネットワークビジネスとか言われますよw

ほとんどの人は超金持ちになりたいとか、
ある程度の規模になったら、できるだけ従業員を市場原理で雇うようにすれば
もっと安くこき使えるし、上場とか億万長者とか手が届くところにあるので
合名会社もみんな経営フェイズとしてそっちに切り替えるはずなんですがね。*5
いや、会社に融資する金利など考えると長年経営してたら充分億には届きますし
金持ちにならないわけじゃないでしょうけど、極端な成金にはならない。

でも国がヨーロッパを真似してもどうしたって格差の埋まらないこの時代に、
こういう社員第一に考える志の会社が増えたら、
幸せに暮らせる人も増えますね。


LLP・LLCというのは、ブックマークコメントで初めて知ったのですが
極端な成金にこだわらないリーダーたちが増え、
これに近い取り組みが世界中に広がってくれたら、
資本主義(資本家)でも共産主義(労働者)でもない、
富の還元をうながすハイブリッドな21世紀になってほしいと
期待したいところです。*6



ブコメより、税金デメリット?

id:securecat
役員は裁量は無制限だけど、給与はむしろ上限あるんでは? まあ二重に税金払うの甘受するなら、賞与(配当でも一緒)出しちゃえばいいけど。

id:seo
役員賞与って損金算入できないから法人と個人で二重に税金払うことになるんじゃなかったでしたっけ

税金に詳しくないのでこの回答かわからないですが、うまく回避してるみたいですよ。

『LLP・LLC(Limited Liability Company)に似た会社ですね。』
http://www8.two-one.co.jp/megane/qa.nsf/c632027efe0c30f5c925758500277bfe/8e0d5850918682bc492570ce0004f915?OpenDocument

『LLPは利益を出資者と経営者で自由に分配できて二重課税が防げます。
 21は、株式会社ですが面倒な利益分配をコンピュータやネットを駆使
 して二重課税を免れています。
 法人所得税でなく出資者と経営者を兼任する社員が個人納税しますから
 LLPと似ています。』


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*1:利益が出ない仕組みなので、配当はなく賞与反映

*2:みんなじゃなく、出資者は8割とかどこかに書いてた

*3:20時間働くことではない。

*4:未来工業もこの異端発想ですよね。

*5:会社として変化に弱く、利益率も下がりそうですが

*6:昭和高度経済成長期も、資本主義の中で年功序列、終身雇用、家族経営とハイブリッド的な所ありましたね。