teruyastarはかく語りき

TVゲームを例に組織効率や人間関係を考える記事がメインのようだ。あと雑記。

女性はジェンダーギャップ解消のため、どこまで割りに合わない仕事と責任を引き受けるつもりなんだろうか?

役員少ない原因「女性側にもないことはない」桜田同友会代表幹事
https://mainichi.jp/articles/20210216/k00/00m/020/211000c

「チャンスを積極的に取りにいこうとする女性がまだそれほど多くないのではないか」

 またこういう発言が炎上している。

www.doyukai.or.jp

Q : 森 喜朗 東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会 会長の辞任に関して、経済同友会では以前よりダイバーシティの重要性について発信してきている。多くの企業、また国会において、女性(管理職)の割合が3割に届いていないのが現状であり、女性活躍が進まない原因と、これを果たさない場合に国としてどのようなデメリットがあると考えていらっしゃるか。

細かいところだが、記者の質問に「役員」という言葉は見られない。経済同友会が記者の質問を書き換える動機はないため、毎日新聞の見出しが煽ってるのだろうか?


まあさておき、日本は叩き上げ役員多いが、そこへ至る管理職はプレイングマネージャーかつ、クソブラックなストレス鬱自殺環境でもある。そんなの誰もやりたがらんので男をむりやり放り込む。なんなら女性に気遣うつもりもあるがここに不平等が発生する。例え何人かの男が自殺しようが、多くの中年がリストラされようが、生き残ったわずかな1人が役員にまでたどりつくからだ。誰もやりたがらない炎上プロジェクトを引き継ぎ、立て直し、大逆転で出世する人もごくたまにいるのでこれをチャンスと考える人はいる。

例えばこの発言に正しく文句を言ってる人たちは、予算も期限も環境も限られた状況で、自分たちの事情も理解せず、こういう正しく文句を言う従業員と、正しいクレームを言うお客さんたちを抱えたまま、全員満足させねばいけないというストレス100%振り切る管理職なんか絶対なりたくないだろう。過去自分の言ったことが全部ブーメランになって動けず自縄自縛になるからだ。

女性が望む管理職というのはそういうゴロゴロ死体が転がってる戦場ではなく、プレイングはせずマネージャーに特化し、ちゃんと定時に帰れて、トラブルで休日に呼び出されることもなく、デスマーチで2ヶ月も泊まり込むことなく、部下から厳しい突き上げをくらわず、上司や顧客から厳しい要求されず、板挟みやストレスなく、自分も部下も顧客も家族も誰も犠牲にせず、誰にも嫌われず働けるという、ごくごく「普通」で「当たり前」の「どこにでもある」管理職を希望してるに過ぎない。そこで初めて女性が輝ける。

男性にそこまで高望みしてないのと一緒だ。若くて、年収800万以上、身長175cm以上、ハゲてなくて、適度に引き締まって、顔も普通で、清潔感あって、毎日話を聞いてくれて、家事育児はお互い負担半分で、うるさい姑や実家に縛られず、タバコもお酒も博打も女遊びもやらず、妙なオタク趣味で部屋を埋めず、土日は家庭サービスしてくれる普通の男性でいいのだ。

なぜそういう「普通」に輝ける管理職が少ないのかというと、資本主義競争がそれだけ苛烈な戦場だから。電通やキーエンス見たらわかるが、機会を見つけたら夜討ち朝駆けは当たり前のなんでもありな資本主義の戦場がブラックにならないわけがない。もっとゆったり生きたいなら共産主義や社会主義を目指さないといけず、EUはどちらかというと社会主義によってきている。ただし怠け者EUを支えるのは結局EUで一生懸命真面目に一番長く働くドイツだ。

一応コロナ過でも業績2倍なんて業界や、右肩上がりの会社なら別。それは誰が管理職やっても結果出るためみんな手を上げる。なんだったら同じ業界で独立する。ただほとんどの企業はコロナがなかった平時でもレッドオーシャンの戦いで、海外とも競争だ。

アメリカのように最初から役員を目指すにも、向こうは逆に「新卒信仰」がないため、実績や実力で勝ち取りに行かねばならない。役員は最初から役員。従業員はずっと従業員で新卒信仰もないとしたら、環境や会社がチャンスを用意してくれるものではなく、意識も能力も高いものだけが生き残れる社会で、より格差は強い。

lineblog.me
24時間上司からもサーバーからも呼び出されるようなブラックな管理職はいくらでもあるが、男女ともにやりたがる人は少ない。

note.com
こちらのモテコンサルの記事は本質をついてる。
「モテ」で考えるとわかりやすい。

男性はモテるために稼ぐ。
女性は稼ぐ男性を取り合う。
男性から男性へも、いかに稼げるかでマウントを取る。

女性はモテるためには稼がない。
むしろ高位職についたり、男性より給料高いとあまりモテない。
さらに自分より稼げない男にあまり魅力を感じないので選択肢がぐっと狭まる。
稼ぐ女性には男性も自信をなくし気後れする。
女性から女性へも稼がない圧力が働く。
「そんなことしたら男にモテないよ」と。


男女が男女に対する4方向の圧力全部が、
お互いモテるために男性有利社会を築いてるわけだ。

男は「度胸」「甲斐性」を目指し。
女は「愛嬌」「カワイイ」を目指す。

では女性の「カワイイ」は捨てて、アメリカのように女性も「カッコイイ」を目指してはどうだろうか。日本社会における女性のモテ戦略としてはよくないが、みんなで圧力かけて日本の「カワイイ」をアメリカなみに全て駆逐すれば、男性はカッコイイ女性から選ばなくてはならずモテの価値観が変わるかもしれない。

さらに男性を見る目も「稼ぐ男性」より「給料安くても家で家事をしてくれる男性」しいては「専業主夫」にフォーカスをあててその魅力をみんなで深く掘り下げていく。女が稼いで男が家のこと全部やってもいいじゃないかと。

男性もそれに習い「稼げない」ことを互いの恥とせず「稼ぐ」以外の魅力を磨くことを最優先にする価値観をみんなで深く掘り下げていく。年収100万円でも「あいつカッコイイよな」「あのひとステキ」と言われるにはどうしたらいいのかみんなで考えよう。

、、なんて悠長な事言ってたら何百年かかるのだろうか。
結局「カワイイ」で出し抜いた女性が得をし、稼ぐ男をゲットするのが合理的な生存戦略だ。夢物語の実現にはこのブログに書いてる、稼ぐ必要のない「お金のいらない国」の到来まで待たねばならない。

こちらに男女平等がどういう結果をもたらすか様々な記事をうまくまとめたものがある。プリンセスも徴兵されるオランダの記事は結構厳しいものだ。
geopolitics.hatenadiary.com

anond.hatelabo.jp
ジェンダーギャップ6位のニュージーランドもはてぶでは
「まさにこういう世界をめざしている」と絶賛された。

こういう社会の女性たちは確かに自信を持っており、自己肯定感も高い。
ただ、それに向けての努力も怠っていない。

ただし、ニュージーランドの平等な世界は結果に対しても平等。
超絶意識が高く、だれもが強くあらねばならぬ社会だ。

今の日本も少しづつそう変わっていってるわけだが、より推し進めて「全員強者になればいい」という意識改革でもある。フェミニスト自称する人は意識高いので大丈夫だろう。でもほんとに女性の大多数がそんなもの望んでいるのかは疑問が残る。


今日本では、女性だからという理由で不当に評価が低くなり、同じ能力で男性よりずっと給与が低い人が多数いるわけだ。とすると、かなり人材不足の現代で、女性起業家が能力差別されてる女性ばかりの会社を作れば、適正な給料で優秀な人材を獲得し放題でもある。いまこそ起業チャンスかもしれない。

でも実際にはそうならないだろう。
どうしたって、子どもを生んで育休で3年離れてしまうと、仕事環境はガラリと変わる。女性社長がそれを会社で吸収しながら、補助金で戦えるかというと負担はその何倍もかかる。

gigazine.net
かつ、女性起業家で家事も育児もこなすスーパーキャリアウーマンは、何をやらないかという優先順位の付け方がうまく、断捨離でその他いろんなもの犠牲にしたり、人間としての完成度が高い。そういう人から見てほとんどの人間は「怠惰」に映る。そうなると女性採用も同じように「自分で環境を勝ち取りにいける」スーパーウーマンを選ぶ。子どもがいるからとか、家事やるからとか、旦那が手伝わないとか、環境や社会に不平不満を並べる人たちはあまり採用されない。その環境をコントロールできず結果を出せない人とみなされるから。普通の女性は平等な社会でも結局報われず、能力ない人にずっと厳しい世界にされていく。

本質は女性差別でなく弱者差別だ。今回はセクハラの問題ではないので、女性が男性に怒ってるのはあくまで男性の権力者に対してである。「金のないキモいおっさん」は差別しまくってて、社会的に差別してもなんのニュースにもならないし、どの人権団体も怒らない。それは頑張らなかった、這い上がれなかった男が悪いと。所詮お前らは戦いの犠牲になる数億の精子のひとつ。勝つ精子はひとりだけ。「子を産む」という最大の社会貢献すら男はできない以上、リストラされた負け組の男には尊厳すら無い。そうなったら酒に逃げたり、DVをしたり、自殺したりするやつも出てくるだろう。「男性弱者に対する無意識の差別」も、弱いものがさらに弱いものを叩くループを放置することになる。


オランダやニュージーランドがほんとに正しいのだろうか?
日本も変わり始めてる。あまりに人手不足のせいか女性の土方や鳶職やトラックドライバー、女性自衛官も出てきた。女性は筋肉付きづらいはずだが、土方やるぐらいのパンプアップは全然可能だ。吉田沙保里選手の3分の1で充分男の上位と渡り合える。かわいいモテとは違う戦略だが、筋肉質を好む男性だっている。

しかし「カワイイ」のモテ価値観を維持したうえで、機会や給与だけ男女とも平等にし、セクハラが無くなれば、クソブラックな管理職なんて男に押し付けている今の状態のほうが楽しく生きれるのではないだろうか?

森会長が辞任した以上次の会長は女性が望ましいが、それは男が社会的に無理やり意識高い所に引っ張り出され責任背負わされるのと同じだ。ほんとにオリンピック組織委員なんて予算的にもコロナ的にもとんでもない泥仕事をやりたい人いるのか?

やりきれば美談や実績になる。コロナの感染者が減ってる昨今、ワクチンの準備も進んでることからあと5ヶ月でほんのわずかな大逆転の目はなくもない。「女性に任せて良かった」という大きなアピールチャンスとも取れるが、海外の感染状況や国内のオリンピック批判、ワクチンが5ヶ月で行き渡らないことを考慮するとかなり分の悪い賭けだ。男女平等とは女性にも平等に、誰もやりたがらない大変すぎる仕事を押し付けられることに他ならない。

例え女性のチャンスロスやジェンダーギャップ121位になったとしても、女性も徴兵されるジェンダーギャップ上位のオランダやニュージーランドより、もっと「怠惰」を許される世界のほうが幸せなんじゃないかと僕は思う。

日本から見る海外の評価も、日本からみる日本の評価も、海外のメディアから見る日本の評価も全部偏見があって、バイアスかかってる前提で考えたほうがいい。日本のAmazonで特に欠点も驚きも無い普通の製品は星3だが、アメリカのAmazonだと欠点がないから星5評価である。ネアカで大雑把なアメリカ人と、おとなしく、高機能、おもてなし、サービス過剰が当たり前な日本の違いだ。ならオランダやニュージーランド生まれの女性が日本で数年働いてから、日本女性の状況をどう思うか話を聞く必要があるだろう。


実際一部のフェミニストには、社会に文句をいい続けながら、ジェンダーギャップに関しては現状維持を望むようなフシがある。

togetter.com

知人も多く、今もツイートでこんなに緊張したことがないくらい口の中がものすごく乾いてますが……。
お一人ずつは悪くありません。
ただこのように著名な/社会的地位のある男性が集まることで生じるマチズモや権力性のことを、考えてほしいです。それを解体するのだ、であれば別のやり方があるはず。


変わらない男より、変わる男の方が良いに決まっている。ただ、それがこのように教導するような宣言をされるものであるならば、おそらくそれは強い者たちのスローガンと免罪符にしかならないだろう。

出演予定者にも性差別的な言動を繰り返してきた人を知っているし、本人がそれに気づいていなく深刻だったり、なかったことにするために #変わる男たち として前に出ることで「自分は女性差別なんてしない」とアピールして、女性をまた利用する。そういうことも既視感ありすぎる。


これは森会長大炎上の発言を受けて、Choose Life Projectが立ち上げたYoutube番組企画である。第1回が女性陣のみを集めた番組で、第2回は男性視点からこの問題をメタ的に考えてもらう番組だったはずが、こういった批判を受けて中止になった。

 

note.com
CLP女性企画者達の意図はとても意義あることで、「性差別的な言動を繰り返した人」まさに「無意識の差別」を男性が語ること、そのメタ認知を語ってたくさんの男性が自覚し、より多くの気づきを探すことこそ重要だと思う。その人がこの番組で免罪符となって罰を逃れるかどうかよりも、それを語ることこそジェンダー論を進めることになる。

togetter.com

私がジェンダーの話題で怒ってると、夫は常に笑顔で冷静な視点で議論してくれるんだけど、念のため「君が冷静でいられるのは君が男だからだってことだけ忘れないでね」って言ったらハッとした顔してた。自分が理不尽を受ける側になるときの例を挙げて「そっか、その立場に四六時中いるんだもんね」と。

 

男性の理解者やともに考えてくれる方が増えるのはとても嬉しいです。けれど「冷静に、建設的に」と思えるうちは、もっともっと当事者に耳を傾けなけらばならないし当事者にマイクを渡さなければいけないし怒りの声を骨の髄まで浴びなければいけないと知っておいてほしい。

こちらもである。

男性という加害性から、冷静で建設的な議論をすることを咎め、それ以前にまず女性の怒りの共有を最優先している。男性の罪が裁かれるのが先であって、男性が全員泣き土下座するまで女性の怒りをまず聞けと。私達女性の怒りが収まるまで法案の話には進ませないという風に見える。

しかし、話が進まなければ事件は繰り返され怒りはとどまることを知らない。今までがその無限ループだった。男性全員が女性差別をしてるわけではないので、これも無意識の男性蔑視であり、冷静に建設的に話を進めようとしてる女性に対しても失礼になる。男性が「無意識の差別」をメタ認知しないといけない当事者である以上、一部の女性がマズローの承認欲求段階で議論止めると、ジェンダー論はここから先へは進まず女性差別も解決しない。

www.youtube.com
第1回の番組で女性たちはそれぞれの不満や怒りを多く共有した。でもこれを永遠に続け骨の髄まで浴びても、女性が発散するだけで男性のメタ認知問題の解決にはならない。免罪符や権力になろうとも、男性へマイクを渡しメタ認知を語って自覚してもらわねば先へ進まない。

その先で「無意識の差別」は「男性弱者への偏見と差別」が放置されてるところも通る。金のないキモいおっさんが男からも女からも差別される、それが当たり前とされる弱者差別であり、平等意識であり、意識の高い弱肉強食の世界を肯定することであり、「無意識の差別」は男も女も全ての人が内包してるというところまでいって初めてスタートラインとなる。

そんな意識高い平等世界など多くの女性は本当はいきたがらず、承認欲求でずっと足踏みしてるほうが、、弱い女性でいられる方が、強者に都合よく加害できる弱者の方がアイデンティティを保てるということもありえる。本当の平等社会はずっと厳しいもので、女性が弱者でなくなったら「弱者の気持ちに寄り添って共感してもらえる存在」という弱者の特権を失うから。

より下の安全欲求を求め必死に前向いて生きてる男女はジェンダー論どころじゃないので、こんな話鼻で笑うだろう。みんなインターネットで繋がりすぎてしまったが、問題を解決するのではなく、それぞれの領域でブロックし、外に文句いいながら自分の気持ちに共感してもらって暮らすのが一番幸せかもしれない。はてぶや増田というチラシの裏で自分の気持ち吐き出してスターやブクマもらうのはちょうどそんな感じだ。

自分の幸せは自分で切り開き、足ることを知るなんていえば、どの段階だろうが身もふたもないが。森会長の差別発言は、批判者も含め男女全員の「無意識の差別」を浮き彫りにさせた大きなテーマである。自分の無意識は自分で気づくことができないので、他人の無意識にある盲点やメタ認知を探り、それを自分に当てはめる、自分ごととして考えてみるほどよりよい議論になる。その方がメディアのあおりで弱者同士が踊らされず、より波長の合う仲間と有益な時間を過ごせるようになるだろう。差別問題の解決は自分では気づくことができない、自分の無意識との戦いである。