ゲームバランス崩す作業が楽しくて、メインストーリーがいつまでたっても進まない。見た目は「スーパーファミコン時代のスクウェアRPG」が正当進化した感じなのに、遊んでみるとプレイは「フラグ管理ができていないファミコン時代のRPGぐらい自由」という面白さ。なんだ、この小ネタの山は!
思えば、昔のRPGの名作はどこか壊れていた。『FF5』は強すぎる調合を利用して低レベルクリアを目指すのが楽しかったし、『FF6』でバニッシュからどんな敵も1撃で倒せたり。
欠点はあれど、『オクトパストラベラー』もまたどこか壊れていて、キャラクターが揃って、プレイヤーが好き勝手に遊びを見つ始めると止まらない楽しさが出てくる。見た目だけでなく、内容も昔のRPGの系譜なのだと思う。開始10時間強で、メインストーリーが全然進まないプレイヤーではあるが、現時点ではそう感じている。
このレビューいいなあ。
そうそうファミコン時代も1直線にフラグ管理してるようで、実はチェックがずさんなのでいくらでも遊びの抜け道、ゲームバランス崩壊させる方法あったんだよね。それが楽しかった。裏技とか呼ばれてたけど、開発者が用意してた技ではなく、ただのバグ、バランスチェック、フラグ管理が適当だったから。
スーファミ以降はほんとにきっちりバグ管理も、フラグ管理もしっかりして、結果遊び方が1つしかなくて面白さの幅減っていったよね。ちょっと壊れてるぐらいが良かったのに。セガサターン、プレステでいろんな開発者が参入したときはまたいろいろぶっ壊れて楽しかったけど。
スーパーマリオやゼルダがわかりやすいけど、ファミコン時代って「ブロックチップで世界を作る」ゲーム開発だったわけで、小さな箱庭、小さなワールドシミュレーターの中で、そのブロックのルール上で何ができるかだった。
スーパーマリオの壁抜けとかゼルダのいろんな裏技は、そのシミュレーター上で何ができるかという世界のルールを解き明かす作業だった。だからゲーム本編以上の世界の広がりがある。そのワールドシュミレーターを発展させたのがグランド・セフト・オートであり、ゼルダ最新作のブレスオブワイルドへ戻ってきた感じ。
初代ときめきメモリアルに衝撃を受けたのは、単純なフラグ管理でしかない主人公恋愛成長シミュレーターを、キャラクターひとりひとりの関連性でフラグがあちこち入れ替わるワールドシュミレーターにしたことなんだよね。決まったイベントこそあるけど、あくまで個別のブロックに対する反応の連鎖でしかない。恋愛ワールドシュミレーターをフラグ管理でしかありえないテキストアドベンチャーで実現したというのがすごかった。
最先端のグランド・セフト・オートやブレスオブワイルドもそうであるように、ワールドシミュレーターのルールさえ解きほぐせばゲームバランスの崩壊にはなるものの、遊び方はそれだけいろいろ広がるし妄想も捗り面白い。でも、真面目に正しくゲームを作ってそのコンセプトを遊ばせようとするほど、ゲーム開発はバランス崩壊につながるバグチェックや意図してないおもしろ効果を全てチェックし封じてきた。
俺がゲーム開発チェックしてるときいつも苦々しく思ってた。
「えっ、こんな面白い挙動するバグを治すの?」
「この金の稼ぎ方残ってたほうが楽しいんだけど?」
そりゃ普通は治す。バグだしこれ気づいたらバランス崩壊だし当たり前だ。
仕様にない挙動や稼ぎ方は開発者が望んだように遊んでもらえないし、まだ知らない別のバグを誘発する可能性もある。「未完成だから面白い」より「ちゃんと完成してる」が優先される。
でもそれはまさにファミコンやプレステ1時代の楽しさだったし、開発中のゲームこそいろいろ遊べて楽しくて、できあがったゲームは1つの遊び方しかできず、裏技を友達に披露したり自慢や共有することもできずつまらなかった。
ファミコンやプレステ1の頃はちゃんと開発体制も開発技術も整ってなかったからバグチェックが甘かったり、見切り発売しないといけなかったりでいろいろ未熟だったからでてきた裏技でもある。きちんと体制も技術も整ってくるほど逆に面白くなくなる。ラフ原画は凄い魅力なのに、清書されると魅力が半減するような。
だから今どき、こういうキャラクターやNPCの個別の反応が独立した、バランス崩壊前提のワールドシュミレーターを作ってくるチームが現れて嬉しい。グランド・セフト・オートや、ブレスオブワイルドという良い例も出てきてるだけに、
「個別のキャラと各ブロックのルールはきちんと作った」
「一応はメインストーリーの流れも作った」
「後は知らん、全体の管理は大まかにしかしてない。勝手に遊べ。」
という壊れた作品が増えるとまたゲーム面白くなりそう。
書いてて思ったけど、 ガンパレがその極地にあったのかな。
続編失敗して、名前変わった芝村裕吏ワールドシミュレーターも売上的には失敗したけど、操作性、UIの快適さ、魅力的なキャラクターと世界観と遊ぶ幅さえきちんと抑えておけば、そういった壊れっぷりこそワールドシュミレーターゲームなんじゃないかと思うんだよね。
- 出版社/メーカー: ソニー・コンピュータエンタテインメント
- 発売日: 2000/09/28
- メディア: Video Game
- 購入: 4人 クリック: 82回
- この商品を含むブログ (111件) を見る
スクウェアのサガシリーズも近いし、オクトパストラベラーがまさしくサガの系譜だけど、サガもある程度自由に遊べるように作ってるはずなのに難易度高いせいで遊ぶ幅狭くなってしまうんだよね。コンセプトいいのに難易度は非常にもったいなく思ってた。 シリーズでは名作多いけどね。壊れっぷりをヒットさせるにはいろいろな条件が必要だ。
よく考えたらこれもかなりぶっ壊れゲームだったのでは。
アルティメット ヒッツ ファイナルファンタジーVII インターナショナル
- 出版社/メーカー: スクウェア・エニックス
- 発売日: 2006/07/20
- メディア: Video Game
- 購入: 11人 クリック: 41回
- この商品を含むブログ (52件) を見る
今やったらストーリーぐちゃぐちゃだし、キャラがバラエティありすぎだし、ムービーとかあちこちに発注しすぎてるのか頭身もクオリティも統一してないし、マテリアシステムはきちんとしてたが強さの上限はふりきれてたし、ミニゲームも全部単体で完成させ、町の世界観全部が独創的で、何もかも統一されてないのをむりやり詰め込んだ感がある。それぞれの統一感のなさと単体完成度のパッチワークぶりが、とんでもなく妄想世界を補完して広げた気がする。
いまFF7リメイクしようとしてるけど、統一感を持って今の技術で凄いグラフィックで綺麗にまとめようとしても当時の未完成のぶっ壊れた面白さにはならないんだよね。
俺だったらたぶん、FF7の世界観とストーリーを補完して今の超絶グラフィックで綺麗にまとめるのではなく、さらに雑多な今のスタッフのやりたいことや、作りたい新キャラや、すごい映像作りたいだけの才能を闇鍋のようにぶっこんで、ストーリーはさらに拡張して未完成を広げるだけにしてまとめず、オクトパストラベラーみたいに自由なパッチワーク作業と、エアリスの生き残る道も追加するかな。ストーリー上は死んでも霊体のまま使えるとかなんでもかんでも無茶やればいい。それぐらいめちゃくちゃしないと当時の面白さには届かないのではないかと。だからこれまでFF7のリメイクできなかったんだろうけど。