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部下がホウレンソウをしない理由

多分、報・連・相の意味は間違って伝えられてるよ | 日系パワハラ
http://nikkeiph.com/spinaches/

私は、会社の"ほうれんそう"が立派に育っているかどうかの一つの目安はイヤな情報、喜ばしくないデータなどが何の粉飾もされずに正しく上に伝えられることだと思っている。
〜中略〜
上の人間が聞いて不快になりそうな情報は、なるべく伝えないようにしようという土壌がいつのまにかできているとしたら、この土壌には"ほうれんそう"は育たない。

そして山崎氏曰く、若い人からの率直な意見は吸い上げ、問題点があるならば改善するなど積極的な反応が大事だといっています。そればかりか、ほうれんそうを腐らせているのは管理職であるとも遠回しに言及しておられます。

この記事に共感したので、
上司と部下の視点で思うところを書いてみます。


ちなみに報連相の定義は、

ホウレンソウとは 〜 exBuzzwords用語解説
http://www.exbuzzwords.com/static/keyword_147.html

各々の定義は以下の通りである。
・報告:上司から指示・命令をうけたことに関して、その遂行の状況・結果を述べること
・連絡:関与者に必要な情報や有効な情報を自らの意志で知らせること
・相談:解決したいテーマについて上司や先輩・同僚の意見を求めること

ですかね。


まず上司は、なんで良い報告しか聞きたくないのか、、

悪い報告が上がってきたら自分の管理評価が下がるから。あるいは、余計な仕事が増えるから。

に決まってるんですが、
じゃあなんで管理評価が下がったり余計な仕事が増えるんでしょうか?

悪い報告がくるのは君がチーム管理できてないから?
それを改善するための仕事が余計で評価にならない?

つまり、管理職の仕事が決まったルールをまわすことだけで評価されてるんですよね。
悪い報告とその改善があまり評価につながらないなら、
悪い報告なんて誰も聞きたくないでしょう。

しかし、管理職の本質が、自分がいないでも仕事が回るようにして、
かつトラブルや改善のタネをみつける事であればどうでしょうか?

管理しないで済むような仕組みを作るのが最高の管理職

管理職の究極は自分がいないでも仕事が回る仕組みを作ることですよね。
きっちり情報を下まで共有して、
どんなときでも安全に臨機応変に判断する権限を少しづつ渡していく。

でも、その仕組みを作ってもそんなに高く評価されないでしょう。
仕事しなくてもよくなったら、最悪クビか、
よくても現場スタッフに戻りなさいと言われるだけです。*1

評価される管理職というのは、その人の判断でどんどん仕事を回す人

自分の判断で仕事を回すには、大事な情報を止めて部下や上に渡さないことです。
情報がなければ、部下は判断出来ません。
上からの評価も良くなります。
情報が足りないゆえ部下の報告もなかったりしますが、
そういうときに「ホウレンソウはどうしたあー!!!」
といえるのが評価される管理職です。

だからそういう人は会社の評価基準で自分の価値を最大化するために、
情報を止めて、ホウレンソウをつまらせ、
問題をもみ消す管理者が評価高くなります。

会社組織としてはそれはかなり危険なのですが、
管理者は評価基準通りに動いてるだけなので
自然とヤバイ問題をふくらませていくのが普通の企業なんですよね。

カンバン、ジャストインタイム、見える化は、ホウレンソウの見本

利益で1兆円叩きだすトヨタなんかは、
何か問題や改善点があればラインを止めるそうです。
目の前の緊急な仕事よりも、全然緊急でない重要な改善ばかり最優先しています。
本読んだ限りでは、ラインが止まってない事のほうを問題視すると書いてあったので
問題報告やめんどくさい改善こそ、評価の対象となってるかもしれません。


普通の企業だと、目の前の緊急な仕事こそ評価の対象になって、
特に緊急でない重要な改善や問題は、あまり評価にならず先送りされてしまいます。
だったら、トヨタみたいに問題の報告そのものを評価基準に加えたり、
改善することこそ大きな評価基準としたらいいのではないでしょうか?


でもそれが机上の空論なのは、、

組織や人は変われない

問題点や改善点はすでに明白な事が多いのですが、
すでにめいっぱい仕事が詰まってるし、資金繰りに余裕がない所も多いわけで
目の前の緊急な仕事をひたすらやらないといけないから無理です。

そんな余裕が無いところに改善だ問題だといっても
上司だけでなく現場も変わることに抵抗を示します。
長い目で見たらやったほうがいい改善でも、短期的には出力が落ちたりするし、
変わることで100%良くなる保証もない(やるなら変わり続けないといけない)
社内に派閥や立場上の利権があれば、根回しからやらないといけないし
新しいことを覚えることがとにかくめんどくさいです。

ほんとに改善できる余裕が無いのか?

仕事で目一杯といっても、
パーキンソンの法則で仕事が埋まってることも多いです。

パーキンソンの法則 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%91%E3%83%BC%E3%82%AD%E3%83%B3%E3%82%BD%E3%83%B3%E3%81%AE%E6%B3%95%E5%89%87

仕事の量は、完成のために与えられた時間をすべて満たすまで膨張する

であれば、1日の1時間ぐらいを
緊急でなく重要な改善や問題点対応に当てるのはどうでしょうか?
パーキンソンの法則ならむりやりやっても
1日の仕事を7時間に収まるような知恵と工夫も出てくるでしょう。

1日1時間じゃなくても、週の5時間を当てるでもいいですし、
緊急でないけど重要な改善案件を週の一番初めに当てれば
トヨタじゃなくても会社の変化への体質が強くなるのは当然なのですが、、、

最初からそういう文化の人たちで会社を作るならともかく、
途中からそう変わろうというのはやはり机上の空論かもしれませんね。



次に部下の視点。

上司が良い報告だけしか聞きたくないだけじゃなく、部下も良い報告だけしかしたくない

そうじゃないと褒められないですし、
上司の嫌な顔も見たくないじゃないですか。
中にはどんなことにもまず、「報告ありがとう」という上司もいますが
普通は部下に対して礼節を持って対応するなんてめんどくさいことしません。


例えば、ホウレンソウの心構えなどありますが、

報告・連絡・相談(ホウレンソウ)の基本 [ビジネスマナー] All About
http://allabout.co.jp/gm/gc/297587/

「報告」をする側の心構えと要点・注意点

1.相手の都合を確認する

2.指示した上司に直接報告する

3.重要な報告はすぐに行なう

4.結論を先に伝える

5.「事実」と「意見・憶測」は分けて報告する

6.口頭か文書での報告かを選ぶ

7.こまめに報告する

8.ミスやトラブルはすぐに報告する

9.報告する際にメモを持参する


「連絡」の心構えと要点や注意点

1.曖昧な言葉は使わない

2.内容に関係なく迅速に連絡する

3.連絡すべき順番を意識する

4.関係者全員に伝える


「相談」の心構えと要点や注意点

1.疑問が生まれたら相談や質問

2.最初に相談するのは直属の上司

3.アイデアやプラン変更は準備を整えてから臨む



重要な報告はすぐに行なう

こまめに報告する

ミスやトラブルはすぐに報告する

内容に関係なく迅速に連絡する

疑問が生まれたら相談や質問

1から10まで報告相談とか子供かww
怒られるわw


まあ、あまり冗談に思えないのは全部報告してたら仕事にならないし、
かといって何が重要で、何が重要でないかは
報告するまで部下にも上司にもわからないことですね。
自分で問題ないと思ってた雑談のつもりから、
ヤバイ問題見つかることもありますし。


普通に大人が仕事して
「なるべく自分でことを片付けてから、良い報告にしよう」
と考えると、
こんなこまめな報告は、わかっててもやりません。

良い報告だけしたいということは、
部下は自分で解決しようとしたり、
締め切りギリギリまで可能性をさぐってなんとかしようとして、
結局なんとかならなかったり
夏休みの宿題のような一夜漬けのできになってたりします。


最初の記事のマンガのように、
上司が良い報告しか聞かないとか、
全部自分でやりきってから、報告や相談に来いとかいうパターンもありますが、
そんなことしなくても、部下はなるべく良い状態にしてから報告したいわけです。

上司は余計な仕事を増やさないために余計なホウレンソウを聞かず、
部下はなるべく上司に認められるために、
できるだけホウレンソウを遅らせるわけで、

それは決して悪いことばかりではないです。
上の基本を全部守ったらホウレンソウばかりで仕事になりませんし、
部下が自分で考えて成長しないということにもつながります。

そこにホウレンソウの土壌なんて最初から育つ余地はないのです。


では、うまくやってる人はどうしてるのか?

ホウレンソウは上司から部下に行う

僕の狭い観測範囲で昔の尊敬する上司とか、
TVのプロフェッショナルや情熱大陸で見た
名プロデューサー、編集者、社長、ディレクターなんかの
共通点なんですが、みんな自分から細かい連絡を取りに行ってるんですね。

立場は上だから黙って報告を受ける側にまわってもいいのに、
自分から毎日進捗を伺いに連絡をとる。
任せたからといってほったらかしにしないんですよね。

それがあまりプレッシャーにならないよう、
ただの雑談に混ぜる人もいますし、
そこからそれとなく問題点を引き出したりするのはやはりうまいです。

なんでそういうやり方にたどり着いたのかわかりませんが、*2

部下は良い状態になるまで絶対報告してこない

という気持ちは僕自身にもすごくよくわかる心理なので、
それを踏まえると、このやり方は見習うところがあると思います。

会議はホウレンソウの役に立たない

多人数へ縦横の情報共有と、問題点の洗い出しができ、
報告連絡相談の全てがつまった「会議」という物はとても便利です。

管理職は管理するのが仕事なので、
会議をすればするほど、ホウレンソウが徹底され
管理職としての仕事が達成されます。

が、会議では現場の仕事が進まないどころか
むしろ現場の仕事を遅らせます。
多人数の会議では、人によって必要のない議題も聞かないといけません。
率直な意見も出にくく、悪い報告や、相談案件もなかなか引き出せません。
全員の時間を使ってるのにです。

会議は管理職にとって効率がよいのですが、
現場の時間をうばい逆に進捗を遅らせます。

うまくやってる人たちは、
効率悪そうでも個別に話を聞きに行く方法を取ってました。
このほうが、率直な意見や悪い報告も引き出しやすいのでしょう。
会議があっても小さなチームで10分とか30分以内に限定したりと、
現場の時間を減らさないことには神経をかなり使ってる様子です。


会議が全部悪いというわけではなくて、
管理職にはホウレンソウがまとまった効率のよいものですが、
だからこそ形骸化しやすいのが会議です。
それよりは管理職側が手間をかけて聞きに行く方が、
本当に欲しい危険察知の報告や
緊急じゃないけど手をつけたほうがいい重要な提案をほりだせると思われます。


無駄な会議はもうイヤだ! AppleGoogleに学ぶスマートな会議の進め方 : ライフハッカー[日本版]
http://www.lifehacker.jp/2013/07/130710hw_to_tun_meeting.html

まとめ。ホウレンソウの土壌を作るためには


■マイナスの報告をプラス評価基準として加える。

これだけで、ホウレンソウがかなり育ちやすい土壌になります。


■マイナスの報告を改善する時間を確保する。

20%ルールでもなんでも、ラインを止めるための時間、刃を研ぐための時間
常に変化していくための時間や予算を、業務の中で常に確保しておきます。
この時間とお金がないと、目の前の緊急な仕事だけしかできず報告は無駄になり、
「どうせ言っても無駄」という空気に覆われるので
誰もホウレンソウなんかしなくなります。


■上司から部下(できれば個別)にホウレンソウを行う

部下は期日までに良い報告にするつもりで報告を遅らせてるのだから
報告がギリギリまでこないのは当たり前と思ってたほうがいいです。
プレッシャーのない形で接触して、そこから問題点や、改善点を引き出すのが、
よいマネージャーの役割です。



最初の記事を見て、悪い報告を聞かないのも、部下が報告をしないのも
評価基準なり、仕事の仕方なり、
多すぎず少なすぎずのホウレンソウが
ただ理想的に動いて欲しいだけのポジショントークになってて
みんなそれぞれ良かれと思って行動してる結果だと思うんですよね。

上司や部下がどう考えてるかわかれば、打つ手はなくもないですが
組織や人が変わるというのは抵抗が強く、
それこそトップの入れ替えで強権発動レベルとなるような机上の空論ですから、
マンガのような光景はずっと続くのでしょう。

でもこれから新しい会社を作る人には、
よい反面教師として、ヒントになるかもしれません。


関連:

フィードバックの国アメリカ - Ken Sakaiが発信する米ビジネスの最前線が読めるブログ - Yahoo!ブログ
http://blogs.yahoo.co.jp/kenfsakai/39762050.html
トラックバック先で知ったホワイトカラーの生産性が高いアメリカの管理職も、
上司→部下の形式のようです。


なぜ新人は聞きに来ないのか? - teruyastarはかく語りき
http://d.hatena.ne.jp/teruyastar/20091118/1258499089

*1:ほんとに優秀な人材と見抜けるなら、役員に迎え入れたり、新しい役職を作ったりするのがベストですが。

*2:まあ、編集者に対して漫画家とか、クリエイティブ系が締め切りやぶるのはわかるw