teruyastarはかく語りき

TVゲームを例に組織効率や人間関係を考える記事がメインのようだ。あと雑記。

お笑い芸人を断絶させたい


このブログでお笑い論はめずらしいが
素人なりにTV見て思うこと。

お笑い界の「エース」がナイナイ以降出ていない
http://anond.hatelabo.jp/20140223193351

定義は曖昧ながらも、主に以下。

・20代から活躍し続けており、ほぼ停滞期がない
・冠番組しか出ない
・テレビ、または映画でしか活動しない


コント55号萩本欽一

やすしきよし

ビートたけし

タモリ

明石家さんま

とんねるず

ダウンタウン

ウッチャンナンチャン

ナインティナイン


比較的近い世代に固まることもあるが、おおよそ10年に一組は「エース」が出現する。
しかしナイナイ以降、このクラスの芸人は出ていない。

お笑いの下克上戦略は面白い

若い芸人が一生懸命上に歯向かって、
独自の世界観を作って人気者になっていく過程が面白い。

ダウンタウンなんかはまさにあっちこっちに噛み付きながら、
てっぺんまで登ったのに、頂上の位置から噛み付く相手がいなくなり
俺の笑いについて来いと、観客に噛み付きだしてから
追えなくなってしまった。


有吉は底辺だったころこそ上に噛み付いてる図だったが、
いつしか弱いものに噛み付いて、抱きしめるみたいな、
DVヤクザみたいな芸になった、、かと思えば、
流れが停滞したらかき乱し、
時間内に気の利いたこと言ってうまくまとめる進行役、
つまりたけしや、タモリのスタイルにピボットしてて
とても戦略的にすら思える。

なんで若手が下克上をやらないのか?

やらないというか、若手にとって
とんねるずダウンタウンウッチャンナンチャンの世代は
憧れや畏怖の存在であり
彼らに憧れた時点で誰も噛みつけないのだ。
とんねるずダウンタウンは怖いし、
ウッチャンナンチャンはいい人すぎるのである。

彼らの番組に取り込まれたらもう自分のお笑いなんて無理だ。
憧れたままの劣化コピー世代となって濃度が薄まるばかりである。

なれあうと芸人は駄目になる。

番組でお笑い界の上下関係になれあうとエースになれない。

ダチョウ倶楽部のネタに毎回付き合って、
流れが停滞したときの無茶ブリをこなし、
それが滑っても誰か拾ってくれたり、
ひな壇を上手くつとめた所で
それまでのお約束を分かってない視聴者には何も届かない。

そしてそのお笑いを受け継いでずっと引きずっていくので、
いつまでたっても新しい世界観のエースが現れない。
それこそ一発芸人だけ更新されていく業界になってしまう。

芸人は孤高であれ

ひょうきん族は当時新しいお笑いの形だったので、
そのメンバーのさんまやたけしは孤高でいられた。

8時だよ!に1週間準備したドリフターズや志村もそう。
そんな厳しさの中で志村は毎年なんらかのヒットギャグを飛ばしていた。

とんねるずの体育会系ノリも新しかったし、
ダウンタウンは当時の吉本では珍しく師匠をもたなかった。
さんまに挨拶しないで叱られたという噂もあるぐらいなので、
上下関係の断絶は徹底している。

ナインティナインなんかでも、
ダウンタウンを畏怖する世代だ。
しかし片岡飛鳥と組んだ冠番組(めちゃイケ)の
おかげで上下関係を断絶出来た。
ここでどんな企画でも顔芸と動きで楽しませるという
妙な世界観のお笑いが生まれる。

ロンドンブーツ1号2号も馴れ合わず、上の世代と断絶している。
淳が生来からもってる邪悪ないたずら心を
そのまま番組にしたような企画は従来の延長線からは出てこない。

理由は分からないが爆笑問題は、太田プロから独立して長年干され
自分達の事務所を立ちあげアルバイトから復帰する。
ここにも他の芸人たちとの大きな断絶があるが、
やはり政治哲学系ボケ?のような独自の世界観と立ち位置を築き上げてる。

オリラジが深夜冠番組などを持った時はチャンスだったのに、
エンタの神様で持ち上げられた芸以上のスキルを当時磨けてなかったため
独自の世界観構築には至らなかった。

はねるのトびらが惜しかったのは、
せっかくの冠番組でゴールデン進出までいったのに
立ちあげプロデューサーが片岡飛鳥めちゃイケのコピーに見えたこと
(キングコングすら99のコピーに見えた)
と、結局個別メンバーが他のいろんな番組で、
前世代をひきずる芸人たちとなれあってしまったことだ。

めちゃイケとカラーの差別化、
これまでの芸人と交わらない独自の進化を目指していれば
新しいお笑いエースになれたかもしれない。

新人お笑い芸人はセンパイに付き合ってはいけない

とんねるずダウンタウンウッチャンナンチャン
さまーず、くりーむしちゅーネプチューン爆笑問題
雨上がり決死隊、その他いろいろあるだろうけど
楽屋裏の放送なんか見ると彼らはある意味面倒見が良すぎる。*1

それが新人お笑い芸人の牙を抜き、
前世代の常識を無意識のうちに勉強させられる。

そこから抜け出すには、
若き日のダウンタウンや、現在の有吉のような
上手く上に噛み付くセンス、
どんな立場だとしても孤高の精神が要る。
だけどそんな適正がある芸人はごく少数だろう。

小さな深夜番組でもYoutubeでもいいから、
あくまで自分の世界観をもちそれを広げる努力をしないといけない。
事務所がこの芸人を成長させたいと思ったら、
今ある番組に混ぜてはいけない。

どうしても新しい番組は、
司会ができる今の人気芸人から選ぶという常識があるが
混ぜるなら新人同士を番組で組ませて、
なれあいによる前世代の笑いの常識を持ち込まない必要がある。
新人でもすでにセンパイに染まった奴と組んではいけない。


前世代の笑いの常識を持ち込まなければ、
初めてそれを見た人でも分かるようなお笑いや
番組構成にせざるを得ないからだ。


これ以上、新人芸人に前世代のなれあいを引き継がせると
本当にその笑いの意味がわからない子供が増えて視聴率下がったり
何をしてるのかテロップやワイプで
全てのお笑い解説が必要になる屈辱の時代になるかもしれない。


どんな番組でもいいからとにかく顔を売りたいとか
事務所の問題や、ギャラの問題もあるだろう。
でもそのやり方はジリ貧だ。

もう歴代芸人から勉強させてもらうな。
断絶せよ。
孤高であれ。

*1:爆笑問題は違うかな