teruyastarはかく語りき

TVゲームを例に組織効率や人間関係を考える記事がメインのようだ。あと雑記。

今日からあなたも異世界生活

という瞑想のやり方を思いついた。
この瞑想の目的は「過去」のしがらみを切り離して「今」だけに集中すること。

やり方はこう。

「あなたは異世界ファンタジーの若い主人公として転生しました。しかし転生先の主人公は過去に家族からDVを受け、学校ではいじめられ、社会ではセクハラやパワハラにあい、ブラックな労働条件で働き、なんの天才的能力もないところからスタートというハードモードです。

"そういう記憶をもつ人物に" あなたが今、転生しました。」

異世界ラノベはたくさんあるが、その中にはハーレムものもあり、現実の専門職を活かすものもあり、中には能力無しでハード設定なものもある。そのハードなラノベの方にもしあなたが転生したら、どうサバイバルするか? という話。

そういう設定の異世界人の記憶が仮にあっても、"それは自分じゃないから" この先どう行動するかとは関係ないでしょ? いじめられっ子にあなたが転生したところで、いじめられた記憶が設定にあったところで、初対面でゼロからの異世界生活なら殴り返すでしょ? 異世界の他人の目や常識や正しさなんて気にする必要ないでしょ?

ではもし、あなたが今の世界に、今の自分に記憶だけ引き継いで転生した主人公なら、どうサバイバルします?

一時的に奮起しても、しばらくしたら元の自分に戻るかも知れません。しかしこの瞑想はいつでもできて、過去の記憶は一切関係なく、今から、ゼロからスタートできます。瞑想ならいつでも、何度でもできるのがよい。

異世界設定はいくらでも変更可能で、
「スポーツの対戦で1点を追うプレッシャーが厳しいとき、点差やプレッシャーとは関係ない第3者の自分が転生して冷静に状況を見直す」

「ビジネスの重要な判断で、人間関係やいろんなしがらみ抜いた関係ない自分が転生して大局を見る。」

「人間関係で、嫌われる嫌われないとかほんとにどうでもいい関係ない自分が転生して、言いたいこと、そのとき言うべきことをはっきり言う。」

「さまざまなしがらみや、関係性から、この会社や、この家族と一緒にいるべきか、全く関係ない自分が転生して冷静に判断する」

「今転生したばかりなら、転生先の人物がなんとなく続けてるネットやゲームをいちいちやるだろうか」など

普通、過去のしがらみや関係性はその人の「アイデンティティ」や「トラウマ」となり、行動、習慣、判断を支配するほど強力です。そこで、過去をただの「記憶」として切り離し「今」だけを客観的に、冷静に集中して見つめ直す瞑想ができると強い。常に転生しつづけるともっと強い。



人間は他人の事には、客観的で冷静で的確なアドバイスができますが、自分の事になると全くそれができません。それは過去の延長線上に今の自分があるため、それがどんな酷い状況としても過去のしがらみを切り離せない。他人事のようにあっさり開き治れるようなら、長年過去に苦しんだ自分はいったいなんだったんでしょうか。過去にこだわらなければ、自分が自分である意味が無くなるため、アイデンティティの一貫性を保つためにも、酷い状況から抜け出さないようこだわる必要があります。

これはアドラー心理学だと「無能の証明」というらしいです。自分を無能だと自分自身をいじめ抜くことで、矛盾した社会関係との整合性を保つ目的が達成されます。

アドラー心理学というと拒否反応を示す人が多いですが、
「あなたがその(酷い)状況にいるのは、あなたがそれを望んでるから」という主体性と目的を絶対視してるためで、普通これを「自己責任」と捉えるためです。
そりゃ、誰もこんな状況望んでるわけないだろ、と暴れますよね。

ここは仏教でもアドラーでもいいんですが、一度のトラウマで何百回も、何万回も思い出し心を傷つけることを繰り返していれば、脳に変な回路ができて当然です。過去はただの記録であり「今の自分」からは「他人事の記録」です。実際真の意味で起こったことの「責任」は誰も取れないのですから「自己責任」も「他己責任」も無いんですよ。その感情はわかりますが、事実に対して「じゃあ "今" どうするか?」を、感情と事実と切り離して考えるクセが人類には必要です。


アドラーの言うことを「ひどい自己責任論」と捉えてるうちは過去の感情にずっとこだわり、囚われ、動けなくなります。感情とは切り離し、常に「今から」「ゼロから」。といっても、心が暴れて受け付けないほうが普通に人間らしく、感情と事実を切り離せるほうがよっぽど冷徹な感じしますけどね。


転生して開き直って、他人の目やルールや常識を気にしなくなったとき、自分の心が自由になっても、社会とはある程度折り合いをつけ、妥協する必要もあります。どこまで妥協するかは知恵と工夫次第。心が自由で健康なほど知恵と工夫は生まれます。


この瞑想をよりよく活用するためには、宗教や哲学などの知識があるとやりやすくなります。本文は以上、以下は興味ある人の副読書ということで。

嫌われる勇気

嫌われる勇気

 

アドラー心理学の例えで出てくるのは「もしこの世界に人間があなた一人しかいなければ、あなたは傷つかず冷静に淡々と行動できる」というもの。全てのストレスは人間関係から来るという真理です。(この本で対話する主人公も強烈に反論します)

例えば原発なり戦争被害なり、通り魔殺人なり、人的な災害で私達は怒り心頭になりますが、巨大地震や大型台風では怒りに我を失わず冷静に対処します。自然現象には誰も最初から期待してないし、正義も悪もなく、世界に自分一人なら死ぬまで一生懸命サバイバルするだけで、他人と比べる幸せも不幸もありません。

これをそのまま人間関係に応用することができます。自分の子供や部下や仲間に期待する必要はありません。事態に対処し、どこまで予め準備できるか、今のコミュニケーションを大切にするだけ。

明石家さんまは「幸せ」という単語を辞書からなくしたほうがいいといいました。これは僕も同意で「今」があれば「幸せ」とか「不幸」という概念をあえて考える必要はありません。

正義と悪も同様。僕らは社会正義や社会悪というものに憤ったりするのですが、結局それをどうコントロールし予防していくかという話で、罪を憎んで人を憎まずと、感情に寄り添い、事実には対処と、分けて対応することが可能です。

こういうと「自分の大切な家族が通り魔に殺されても、憎まないでいられるのか?」という意見が出てきますが、まさにその通りで「落雷で家族が事故死しても、雷を恨む事はない」のと一緒です。家族の死は悲しみますが、病んだ人を生む社会に期待はしていません。*1 罪は裁判所に任せ、僕と通り魔は関係ない。それを冷たい人だと他人から思われるのなんかどうでもいい。少しでも心病む人が出ない社会に働きかけていくだけです。

感情と事実をくっつけて「あなたの仕事はクソだから、あなたが大嫌い、死んで!」、みたいなセリフを仕事でも、Tiwtterでも見かけて、社会がどんどん病んでいきます。

「あなたの仕事はクソだが、どんな人間も愛すべきバカである」

という態度なら、他人を病ませない以上に、自分の病みを防止するのに役立ちます。他人を嫌う人のほうが自分の縛りを厳しくし、他人の目を余計怖がるようになるので。ゆえにパリピとか、ウェーイ系とか、ヤンキーとかリア充なんかも受け入れたほうが楽。

twicomi.com

僕が僕であるためのパラダイムシフト

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  • 作者:EMI
  • 発売日: 2018/12/14
  • メディア: Kindle版
 

ホッテントリに上がってた鬱病を克服した漫画。アドラー心理学も出てきて、理不尽な感情と、過去の事実の受け取り方を切り分ける話もあり、自分の心の付き合い方としてこのエントリーよりわかりやすく、ためになります。EMIさんという方は、病んだ感じの動画配信者だったようですね。女性なので、主人公とは男女逆のフィクション混ぜた体験記といったところでしょうか。

最初にこちらを紹介したかったのですが、鬱を治すレベルの瞑想ではなく、アドラー心理学なんて受け入れられない人の方が多いし「治さない決心」の人には心が暴れる毒にしかなりません。というか鬱なんてほぼ「治さない決心」みたいに見えるので、独学で「治す決心」あるいは漫画のように、長年不思議に思って考え続けもがいた上で「治せるかも」という自分で治す心変わりがまず必要かも。


人間は思考の都合上さまざまな錯覚を引き起こします。事実と感情をつなげてしまうのもその一つ。高度文明社会の発達速度に対して、人間のOSは錯覚やバグだらけで、パッチがまるで追いついていません。ふろむださんの著書で、さまざまな錯覚に対するパッチを自分に当てるのもいいでしょう。

 

哲学の入門としては今はなきサイトですが、とてもおもしろかった飲茶さんがいいですね。

史上最強の哲学入門

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  • 作者:飲茶
  • 発売日: 2018/12/21
  • メディア: Audible版
 
哲学的な何か、あと科学とか (二見文庫)

哲学的な何か、あと科学とか (二見文庫)

  • 作者:飲茶
  • 発売日: 2018/12/01
  • メディア: Kindle版
 

哲学というのは、いろんな常識を変えたり、多角的な物の見方につながります。何か物事を極める人は何らかの哲学に通じてます。僕らが信じてる正義や悪というのは幻想ですし、国家も国境も幻想。お金すらとっくに金(きん)と交換できる兌換紙幣ではなく、国の信用というバブルと同じ構造で膨らんでる幻想です。苫米地博士などは、その常識から逃れるためにいちど1万円札を破り捨てろと言い放ち。エヴァのカヲルくんなどは「生」も「死」も同じ意味と捉え。いつか消滅する宇宙開闢のなか生きてる意味など必要はなく、楽しんだもの勝ちだったりします。

 

21世紀の資本

21世紀の資本

 

資本主義社会の再分配はもはや成り立たないという研究もあります。
 

お金のいらない国

お金のいらない国

  • 作者:長島 龍人
  • 発売日: 2006/09/01
  • メディア: 単行本
 


お金のいらない国 カテゴリーの記事一覧 - teruyastarはかく語りき

富の偏りすぎにたいして、お金のいらない国という思想もあって、資源はきちんと分配する限り再利用的に地球にも宇宙にも豊富にあるわけで、AIとドローンで3Kの仕事や、最低限の衣食住を全て自動化してしまい。無料で受けられるサービスをひたすら拡大しつつ、困ってる問題に人の知恵を集中させ、働かなくてもある程度の生活は保証し、やりたい芸術活動は惜しみなく、人がやりたくない仕事や資源開発が追いつかないうちはAIが進化するまで妥協する。などの現状はまだ荒唐無稽に見える考え方もあります。



自分自身の脳が錯覚で世の中や他人を見る必然性とか、信じてる常識や社会や歴史やお金や会社というのもが、どれだけ脆弱な幻想の上に成り立ってるかひとつずつ知っていくごとに、この世界はラノベよりよほど異世界ファンタジーなんだと認知を修正してくれます。実際コロナ過で欧米はより大変な事になってますしね。そこまでいくと他人が作った世界のままで生きるには、あまりにも常識が脆弱で矛盾して頭おかしくなるので、自分の生きる世界は自分の手と足でひとつづつ作り直していく理由になるのです。

*1:ついでに家族や自分が長生きするかどうかも期待していません。メメント・モリで、常に死は家族や自分にいつ来るかわからない事をときどき思い出しながら接する方が他人に優しくなれます。